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2021年7月27日火曜日

映画 「ディスクロージャー」

1994年 アメリカ。




『ディスクロージャー』って何?と思っていたら、《情報公開》の意味らしいのだ。


てっきり、この映画の主題《逆セクハラ》にそった意味だとばかり思っていたら、とんでもなかった。


公開当時、この映画はスルーしていた……


と、いうのもマイケル・ダグラスは好きでも、この手の映画には、いささかウンザリしてきて、食傷気味になっていたのだ。(「またか」って感じ)


『危険な情事』、『氷の微笑』と観てきて、今度はデミ・ムーアを相手に逆セクハラの話。


「マイケル・ダグラスもよくやるよ~」って思ったくらいだ。



今回、初めて観てみると、マイケルとデミ・ムーアのお色気シーンはあっても、映画の中ではほんの一部。(「アレ、こんなもんで終わり?」と少々肩透かしをくらった感じ)


デミ・ムーア演じる『メレディス』が副社長としてやって来て、強引に妻子ある『トム・サンダース』(マイケル・ダグラス)にSEXを強要するのだが、デミ・ムーアは脱がないし、胸すらも見せない。


トムのズボンのジッパーを下ろして、興奮しかけるトムが、土壇場で理性を取り戻して、「やめろー!」と断る。


「あたしに恥をかかせて、許さないからーー!!💢」


悪鬼の如く怒れる『メレディス』(デミ・ムーア)は、部屋を出ていくトムの後ろから、金切り声をあげて叫んでいる。


逆セクハラ、SEXYシーンなんてのも、こんなものである。



その後は、ドロドロの逆セクハラ裁判をおこすトム。


迎え撃つメレディスは、

「彼こそが、逆に乱暴なことをして襲ってきたんです。とても怖かったわ~💧」

なんて、イケしゃーしゃーと言ってのける。


女性である事の立場を利用して、非力さをアピールすれば、断然、自分の勝ちと思いこんでるメレディス。

トムには圧倒的に不利な裁判と思えたのだが……



「メレディスさん、これは何ですか?どういう事です?!」


何と!二人のあの夜の会話が、偶然にも録音されていて、それをトムの友人が持っていたのだ。


もちろん、メレディスの一語一句、

「あたしを抱きなさいよ!」や「あたしに恥をかかせて許さないからーー!!」なんて言葉が、存分に入っている。


もう、グ~の音も出ないメレディスかと思いきや……


「あたしはSEX好きの女よ!それがどうしたっていうのよ?! あたしは男たちと同じやり方をやっただけじゃないのーー!💢」


もう、開き直りの逆ギレである。


こうして、ホクホク顔で勝訴したトムだったが、話はこれで終らない。



この『ディスクロージャー』は、2部構成になっていて、この映画では、やっと1部が終わったばかりなのだ。



トムが働いている会社『ディジコム社』は、マレーシアに生産工場をおいて、当時としては画期的なCD-ROMプレイヤーの製作に乗りだそうとしていたのだが、作られてくるモノは、どれもこれも欠陥だらけの粗悪品ばかり。


製品は、大手の会社との合併を左右するほどの目玉製品で、開発チームに加わったトムは、このままでは責任をとって自任しなければならなくなる。(一難去って、また一難)


刻々と、製品の《ディスクロージャー》(情報公開)の日は迫ってくる。


この難関をトムは無事に乗りきれるのか………


こんなのが、この映画の本題となる2部なのだ。


けっこう、しっかりした真面目な話だった『ディスクロージャー』。



もちろん、お察しのように、諸悪の根源は、ここでもまたもや悪女『メレディス』である。


マレーシアに自ら出向いて、勝手にコスト削減を命じていたのである。(よ~やるよ)


そして、トムに罪をなすりつけて失脚させようと企んでいたのだ。


だが、そんなトムには、謎のメールを送ってくれて、助けてくれる人物がいる。(誰だ? まぁトムの味方なんだけど)


そんな力を借りて、情報公開の日、トムは重役たちやお偉方が集まる中、舞台の中央に立った。


目の前には、あのメレディスがドーン!と鎮座していて、トムを糾弾しようと待ち構えている。


「この失敗はトム、あなたの責任じゃないかしら?」


「ある人間が、私の知らないところで、勝手にマレーシアに出向いて指示を出したのです」


「誰なの?それは?」


「あなたですよ、メレディス」


「私が?ハハッ、私はマレーシアなんか行ってないわ」


ここでトムの秘書がビデオのリモコンを作動させると、マレーシアで工場見学をしているメレディスの様子が映し出された。


重役やお偉方もビックリ。


「これはマレーシアのテレビ局が撮影したものです」


もう、グ~の音も出ないメレディスかと思いきや、ここでも……


「何よ!それが証拠になるっていうの?! 笑わせないでよーー!💢」

と、またもや逆ギレ。


「メレディス、ちょっと表に出たまえ……」と社長の『ボブ』(ドナルド・サザーランド)が、そっと外に連れ出していく。



こうして、二段構えでメレディスの嘘を暴き、コテンパンにやっつけたトム。


トムの爽快な勝利で映画は幕となる……。



いや~、この映画、面白いねぇ~、最高でした。


なんたってデミ・ムーアのイヤな女っぷり、負けっぷりが最高!


それをやり込めていく『トム』(マイケル・ダグラス)に胸がスーッとして、久々に爽快感が広がる。



何だか、この映画を観た後、ごく最近、世間を賑わした某女性グラビア・タレントを思い出してしまった。(誰とは言わない。おのおの想像して下さい)


「他人なんて簡単に欺ける」と、高をくくって、自らの策に溺れてしまい馬脚をあらわしてしまう……このメレディスの性格や行動を真似しているくらい、そっくり。


この手合いは、いつか必ずボロを出して自滅してしまう。


第三者的な目を持たず、主観でしか物事を判断できないからだ。


「他人を見くびるなかれ」…… 周りはそれほど馬鹿じゃございませんよ。


4半世紀前の、この映画が、ちゃんと教えてくれてるじゃございませんか。


星☆☆☆☆。

※尚、こんな『トム』(マイケル・ダグラス)でも、たった1つ怖いものがある。


それは夢の中で社長の『ボブ』(ドナルド・サザーランド)にキスを迫られる事。


エレベーターの中で二人っきり。


「トム、君、可愛いねぇ~💖 ん~ん💖」

「ギャアアァーーーッ!!」(大爆笑)


2021年1月2日土曜日

映画 「M★A★S★H マッシュ」

1970年 アメリカ。





時は朝鮮戦争の真っ只中。


最前線から5キロくらい離れた場所に、それはある。


アメリカの陸軍移動外科病院。(単に野営テントをいくつも張り巡らして、そこで戦場負傷者の手術をしたり、外科的な処置をする場所だが)

通称《MASH》である。



そんなMASHに配属されてきた軍医『ピアース大尉(通称、ホークス・アイ)』(ドナルド・サザーランド)と『フォレスト大尉(通称、デューク)』(トム・スケリット)。

二人とも外科の腕前は一流なのだが、酒は呑むし、女好きだし、イタズラ好き。



毎日、大量の負傷者が出て、12時間以上も激務をこなしている軍医や看護師たちの中では、到着そうそうから、特に異彩を放っていた。


「助けられる命は助ける!でも死人が出ようが、負傷者が次々運ばれてこようが、悲観的なってたまるか!こんな所でも明るく楽しくワイワイやる!」


簡単に説明すると、常にそんなのを信条にしている二人なのである。



そんな二人が、この場所の責任者で司令官の『ブレイク中佐』に案内されて、住居となる野営テントにやって来ると、同室の『バーンズ少佐』(ロバート・デュバル)は、二人とは真逆の堅物。


酒は呑まないし、熱心なクリスチャン。


仕事がない時は、常にブツブツと祈りの言葉を唱えるという変わり種だった。

こんなバーンズ少佐と、二人が合うはずもなく、「気が変になりそうだ!早く、バーンズを変えてくれ!」とすぐに直訴。



そして、代わりに、二人のテントにやって来たのは、『マッキンタイア大尉(通称、トラッパー)』(エリオット・グールド)だ。

髭もじゃで、おかしな風体のトラッパーだが、外科の腕前もピカイチで、冗談も通じる相手だ。


ホークス・アイ、デューク、トラッパーの3人は、すぐに意気投合する。


そんな3人は《MASH》で激務をこなしながらも、女性看護師にモーションをかけたり、仲間をふやしながらイタズラに明け暮れる日々をおくるのだが………。



ちょっと分かりやすく書いてみた『M★A★S★H』のあらすじというか、この話の骨格である。


と、いうのも、この映画、たくさんの登場人物たちが次々現れるわりには、個人の名前以外にも、ご覧のように通称なんてモノが、一人一人にあって、1回観ただけじゃ、とても覚えられないかも。


その人物たちを区別して覚えるだけでも大変なのに、通称なんてのがあれば、「誰が誰だっけ?」って頭こんがらがってしまう。(自分は、とても1回観ただけじゃ覚えられませんでした)



おまけに、ドナルド・サザーランドや、トム・スケリット、エリオット・グールドたちも出ているのだが、この3人も、いつものそれとは、全く違う容姿なので、最初観た時は、「この人が、誰々でいいんだよね?……」と、ゆっくり確認しながら観るという、今回ばかりは、特別な念のいれようでした。



ビートルズのように前髪をそろえたストレート・ヘア、ブラウンのサングラスをしているのが、ドナルド・サザーランド。(クルクル・パーマで口髭のサザーランドを見馴れていたせいか、「本当に誰?」って感じ)


中央の一番若そうなのが、トム・スケリット。(こちらも『トップガン』で口髭をたくわえた中年のスケリットしか記憶に残ってないので、「髭がなくて、若い時のスケリットって、これ?」と妙な違和感)



エリオット・グールドなんて、特に異様に感じた。


髭もじゃで、髭ダンスみたいな姿は、もはや、誰とも判別しにくいかも。(「グールドだよ!」と言われなければ、ただの山男だよ、これ! (笑) )


こんな3人だけでも、とりあえず覚えて判別できれば、やっと映画の内容に入っていきやすいかも。




酒はマティーニを愛し、暇さえあれば女看護師を口説くホークス・アイ。


デュークは、デュークで、お祈りの合間に現地の少年に読み書きを教えるバーンズ少佐をからかったりする。


そして、その少年には内緒で、「絵があったほうが覚えやすいだろう」と、過激なエロ本をあげちゃうデューク。


ホークス・アイは、昔トラッパーとアメフトの試合で知り合いだった事を思い出した。


「お前、あの時のトラッパーか?!」

こんな3人は、たちまち仲良くなる。



でも、こんな奴らを、あのお堅いバーンズ少佐は苦々しく見ている。


3人は3人で、クリスチャンでお堅くても、死人が出れば他人に罪をなすりつけるバーンズ少佐のひねくれた性格が大嫌い。


とうとう、ある日、トラッパーが、そんなバーンズを殴り付けてしまった。


そこへ、軍から派遣されてきた、お堅い女性将校『ホーリハン少佐』に、その現場を見られてしまったのだから、さぁ大変だ。



トラッパーは、しばらくの間、宿舎に逮捕監禁。


でも……「司令官のブレイク中佐は甘いわ!軍に告発状を送るわ!!」と、軍の規律が一番のホーリハン少佐は、ひとり、プンプン息巻いく。



ホークス・アイにもお説教するホーリハン少佐。


「軍では上下関係が第一。規律を乱すあなたたちは最低だわ!!」と。


美人でも、軍人バカのホーリハン少佐に辟易する3人。



こんなホーリハン少佐、憎む相手が同じなのか、次第に、あのバーンズ少佐と意気投合していく。


「あなたに出会えたのは神のお導きだ!」と、バーンズ少佐もホーリハン少佐にメロメロになっていく。


「まぁ、うれしいわ。抱いて!抱いてちょうだい!バーンズ少佐!!」軍の規律には厳しくても、女の本能がバーンズ少佐を欲してしまったホーリハン少佐。(どこがお堅いんだろう (笑) )



夜のテントの中で、二人は激しく求め合いはじめた。



と、そこへ、(チャ~ンス!!)とばかりに、仕掛けられた隠しマイク。


二人の喘ぎ声は、実況放送され、他のテントにまで大音響で響き渡った。



大きな声で、「Oh!、No!、Oh!」と悶えるホーリハン少佐は、次第に自分の声で我にかえる。



「キャアーーーッ!!!」


そして、次の日から、ホーリハン少佐の通称は『ホット・リップス(熱い唇)』と呼ばれるようになったのだった………。




戦争の悲惨さなんて微塵もない、戦争を茶化して、馬鹿にして、こんな風刺的なブラック・コメディを作り上げてしまったロバート・アルトマン監督。


アルトマンの、この『M★A★S★H』は、珍しい切り口で、当時、皆を驚嘆させて、たちまちアルトマンの名を世界中に広めた。



カンヌ国際映画祭ではパルムドールを受賞したり、アカデミーでも脚色賞までとってしまう。

それまで、異端児すぎて、あちこちでつまはじきにされてきたアルトマンなのに。(天下のワーナーには首にされてるしね)



ただ、早くから、このロバート・アルトマンの才能に、いち早く目をつけていた人物がいる。



あの、アルフレッド・ヒッチコックである。


「あいつ、面白い!」と、自分のテレビ番組『ヒッチコック劇場』の監督をさせたりしている。



確かに、ハマれば面白いロバート・アルトマンの映画なんだけどねぇ~(でも、この『M★A★S★H』にしても、私のように、1度観たくらいじゃ理解できない人もいるかも)



それに、この映画、どきついイタズラを公然と描いていて、それをおもいっきり茶化しているし、今のハリウッドでは、これを《良し!》としないはず。



この後も、映画は続き、3人組の破天荒さは、さらにエスカレートしていく。


たわいのないイタズラとして受け取れない人には、あんまりオススメできないかな~。(自分は充分面白かったし、笑えたのだが……)


とりあえず、今の時代に配慮して、星★★★とさせて頂きます。(ちょうど、タイトルに★が3つ入ってる事だしね)



それにしても…戦争中に、ゴルフしたり、芸者遊びしたり、アメフトの試合したりして、本当にいいのか?こんなんで?!


「これでいいのだ!!」(by ロバート・アルトマン (笑) )


2020年12月12日土曜日

映画 「SF/ボディ・スナッチャー」

1978年 アメリカ。





全然関係ない話を少~し。


これ、自分だけが思っている事なのだけど……昔から、この方々の判別が、時々できなくなる。


そのくらい、この3人はそっくりだと、ずっと思っている。



『サスペリア(1977年)』のジェシカ・ハーパー。



『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のリー・トンプソン。



そして、この映画『SF/ボディ・スナッチャー』に出演しているブルック・アダムス。



みんながみんな、同じに見えてしまって、時々「誰が、誰だったっけ?」ってな具合である (笑)。

これ、案外、私と同じように思っている人もいるんじゃないかな?




(まぁ、アホ話はこのくらいにしてと……)映画の話に戻ろう。



この映画の原作は、1955年にジャック・フィニィという作家によって書かれた『盗まれた街』。


小説自体は、なんてことない出来なのだが、この『宇宙からの生命体に、人間が身体を乗っ取られる』ってシチュエーションが、アメリカ人には大ウケするらしい。



今までに4度も映画化されていて、最初の映画化が、何と!あの巨匠ドン・シーゲル監督。


『ダーティハリー』や男臭いアクション映画を得意とするドン・シーゲル監督が「SFモノ?」なんて、ミスマッチにも思えるのだが、案外本人もノリノリで好きなのかもしれない。


このリメイクされた2作目にも、監督は違えどチョイ役の演者として友情出演しているしね。(タクシー運転手役。イーストウッドの『恐怖のメロディー』もだったが、頼まれると俳優もしてくれるドン・シーゲル)



そして、4度映画化されていて、一番評判がいいのが、この2度目。


全作を観ていないので、なんともいえないが、この2度目はサターン賞を受賞している。(現代においてアカデミー賞が低落した今、サターン賞だけは信頼できる賞である)



こんな前知識を頭の隅に入れて、さて観たわけなのだが……色々と「?、?、?」なんて思いながら、ツッコミを入れたくなるSFでございました。




ある惑星から浮かびあがり、飛ばされた泡の気体?の大群が宇宙空間をさ迷いながら、地球へ飛来する。(もう、この時点でこのSFはオカシイ。宇宙空間なんて-270℃の世界ですよ (笑)  泡や気体なんてキンキンに凍り付いてしまうはず。)



それらは、雨と一緒に地上へ降り注ぎ、植物に根付いた泡は、奇妙な毒々しい赤い花を咲かせた。


「まぁ、綺麗…」


それを見つけて、ひと千切りして、家に持ち帰り、花瓶に挿したのは、衛生局で働く『エリザベス』(ブルック・アダムス)。

恋人のジェフリーは、テレビの試合観戦に夢中だ(アメフト?)。


(フフッ、お気楽な人……まぁ、そこが好きなんだけどね……)


二人は毒々しい花を生けた花瓶を寝室に置いて、その夜は就寝した。



だが、朝、エリザベスが起きると恋人のジェフリーの様子がどうもおかしい。



普段はだらしないジェフリーがスーツを着ていて、話しかけても無表情。

寝室に置いた花瓶は割れていて、粉々になった破片が散乱している。いつの間にか、あの花は無くなっていた。



それからジェフリーは、エリザベスの知らない人物たちと次々会うために出かけていく。それを尾行するエリザベス。


(あんな人知らないし、こんな人たち知らないわ……いったい急にどうしたの?!ジェフリー!!)


不安を感じたエリザベスは、同じように衛生局で働く衛生調査官『マシュー』(ドナルド・サザーランド)に相談する。(クルクル・パーマで口髭姿のサザーランドが、全く衛生局員には見えないけどね (笑) )



だが、街中では、ジェフリーだけでなく、不可思議な行動をとる無表情な人間たちが、次々と増えているのであった……。




こんな感じではじまる『SF/ボディ・スナッチャー』。



一応、タイトルに《SF》なんて唱っているけど、ジャンル的にもSFホラーなのか?これ?!(前回にも書いたが、ホラーなら科学的な深い意味なんてのも無視、無視! とにかく怖がらせたモノ勝ちなんだから。)


でも、この映画は全くSFホラーには、なっていないんだけどね。(笑)




もう、お察しのように、エリザベスの恋人ジェフリーは、謎の生物に乗っ取られているわけなのだが、この生物ってのがだいぶ変わっている。



本人が寝ている間に、何を養分にしてるのか全く分からないが、薄い繭状なモノに包まれながら、一晩で急成長して、近くの人間ソックリに擬態するのである。(擬態が完成した後、オリジナルの本人は殺されるのかな?それとも吸い上げられてコピーの養分になるのか?そこのところが、やや分かりにくいが……)


でも、この擬態人間たち、無害っちゃ無害。


特に地球侵略の為に盛大な破壊行為をするわけでもないしね。


たま~に、犬と一緒に寝ていた本人がいると、とんでもない生物に変化してしまう例もあるが。(気持ち悪い人面犬など)


主人公のドナルド・サザーランドとブルック・アダムスが手に手をとって奮走する中、着実に増えていく擬態人間たち。


そんな途中で、レナード・ニモイ(Mr.スポック)やら、ジェフ・ゴールドブラム(ザ・フライ)などの、濃い面子も登場する。


ドナルド・サザーランド一人だけでも濃い顔なのに、画面には濃い顔、濃い顔がいっぱい出てくる。(Oh!)


そんな人物たちが、「アアアアアーーーーッ!」なんて叫びながら、力いっぱい顔芸を繰り広げるのだから、怖さよりも「ウププッ!」なんて吹き出すのを我慢しながら観るような、笑い溢れるSFホラー・コメディーに、結果仕上がっているのだ。



これは、リメイク監督したフィリップ・カウフマンの最初から意図したものだったのだろうか……ならば大成功だったかも。(サターン賞まで受賞して)


大体、この原作からしても真面目な雰囲気などまるでない、与太話なのだ。


本気で怖がらせようってのも無理な話で、ならば表向きはSFホラーでも、裏テーマを《馬鹿話》として笑いに持ってきて大正解である。(これに続く3作目、4作目のリメイクは知らないが、このあたり分かっていてリメイクしているかなぁ~? たぶん分かってねぇ~だろうなぁ~)



午後のひとときに、ところどころツッコミながら皆とワイワイ観る映画。


これはこれで、そんな役割を充分に果たしている映画なのだ。

これも今後、私好みの1本になりそうである。

星☆☆☆。


2020年12月9日水曜日

映画 「赤い影」

1973年 イギリス、イタリア合作。




イギリス郊外の深い森に囲まれた一軒家。


昨日の降り続けた雨が、庭の芝をまだ濡らしている。



雨上がりの庭では、幼い娘の『クリスティン』が真っ赤なレインコートを着て、庭を散策中。


それより少し歳上のお兄ちゃん『ジョニー』は、自転車を乗り回している。



家の中では、父親の『ジョン・バクスター』(ドナルド・サザーランド)が、机に向かい、何枚もの教会のネガプリントに目をとおす作業。

教会修復の仕事が近づいているのだ。


妻の『ローラ』(ジュリー・クリスティ)も、そんなジョンのそばで、ゆっくりとくつろいでいた。


そんな時、突然、ジョンに何やら、不思議な悪寒のようなものがはしった。



言い知れぬ感覚に、ジョンはいきなり家を飛び出すと一目散に走り出していた。(妻のローラは「何事?」とビックリ)


そして、庭のそばの沼に、そのまま飛び込んだジョン。


沼の中から引き上げられたのは、娘のクリスティンだった。


すでに息をしていない、沼に落ちて溺れたのだ。


死んだ娘を抱えながらジョンは絶叫、そして嗚咽した。



―  それから半年後。


傷心のジョンとローラの夫婦は、教会修復の為に、イタリアは水の都、ベニスを訪れていた。(息子はロンドンの学校に預けて)


昔ながらの荘厳な建物が並ぶベニスの街並み。


水に沈んだベニスでは、どこに行き来するにも舟かモーターボートを利用する。


夫婦は舟を降り、石階段を上がると、暖をとるために近くのレストランに入っていった。


「寒いな……」ジョンが、そう言い隙間の開いた窓を閉めると、反動で玄関が開き、後ろに座っている老姉妹の一人の目にゴミが入ったようだった。


「痛い!」


老姉妹は立ち上がると、ヨタヨタともう一人が手をひいて、トイレの化粧室へと向かった。

手をひいている方は、あきらかに盲目らしいのだ。


「お手伝いしますわ」見かねたローラは、立ち上がり、二人を先導していった。


トイレで目のゴミをとってやると、老姉妹の姉ウェンディは「ありがとう」と言った。



だが、そばにいる盲目の妹ヘザーはローラの方を向きながら、不可思議な表情を浮かべている。


そして、突然、こう言い出したのだ。


「……そばにいるわよ、あなたと旦那さんのそばに。今でも娘さんがいるわ………」


「えっ?何ですって?!」


驚くローラに、姉のウェンディが代わりに答えた。


「ごめんなさい、妹は霊感があるのよ」


「女の子が笑っているわ、『もう悲しまなくていいのよ』って、あなたに向かって言っているわ」


ヘザーの言葉に、ローラは蒼白になった。


(もしかして……死んだクリスティンが、私のそばにいるの?!)



「馬鹿馬鹿しい!」

トイレから戻って、夫のジョンにこの話をすると、案の定、ジョンは冷笑。馬鹿にして取り合う気もないらしい。



(でも……)


ジョンが教会の修復作業をしている間、ローラは、暇をみつけては老姉妹に会いに行った。


どんどん心酔していくローラ。


そして、霊感の強い妹ヘザーは、念押しのように、続けてこう言うのだ。


「今、このベニスでは不気味な事件が起きている。早く、このベニスから立ち去りなさい!!危険が迫っているわ。あなたより旦那さんが危ないのよ。霊感の強い旦那さんの方が………危険が及ばぬうちに早く!!」



そんな夫妻に追い打ちをかけるように、ロンドンから電話が。


「息子さんが、避難訓練中、消火器が頭に当たって怪我をしました」電話は息子ジョニーを預かっている学校の校長からだった。


次の日、ローラは慌てて一番の便でロンドンへと戻っていった。




だが、ジョンは、ロンドンへ戻ったはずのローラの姿を町中で目撃する。


船に乗っているローラの姿、………あの老姉妹と一緒じゃないか!!


(あの胡散臭い老姉妹に騙されて、きっと、ローラは連れ去られたのだ!)


ジョンは早速、警察署に行って捜索願いを出した。


そして、自身も無我夢中で、ローラを探してまわる。



どこにつながっているのか分からないような石階段や橋にかこまれたベニスは、まるで迷路のように複雑怪奇だ。



ジョンが必死に探してまわりながらも、あちらこちらでは、水辺から警察によって舟に引き揚げられる遺体の姿が見える。


誰が、どんな目的で殺してまわるのか?


町中では不気味な連続殺人事件が横行しているのだった………。



たまたま、この映画を観たタイミングがよかったのか。


素直に面白いと思ってしまった。

でも、本当に若い時に観なくてよかったかも。


この映画を観るには、この意味の分からなさを許せるだけの感性が必要なのかもしれない。


原題も゛Don't Look Now゛(今は見るな!)だしね。



とにかく、監督のニコラス・ローグが行う演出方法が独特なので、理路整然とした物語に慣れ親しんでる人には、やや取っつきにくいかもしれない。



ドナルド・サザーランドやジュリー・クリスティのSEX場面なんかも、まさにそんな感じ。



この二人、映画の中で、5分の長い間ベッドシーンを繰り広げているのだが、二人で悶えまくりのカットがあるかと思えば、事が済んで身支度をする二人の場面を交互に差し込んでくるという、なぜか?凝った演出方法をとっている。



そのまま素直に撮ればいいのに、「何じゃこりゃ?」のイライラするカット割りで、観ているこっちは熱量も冷めてしまうという、まれなSEXシーンに仕上がっているのである。



雰囲気をあくまでも重視したいのか……それとも映画の技巧を色々試したいのか?(やれやれ)


それにばかり夢中になっているニコラス・ローグ監督なのである。


その為か、この映画でも説明できないような言葉足らずの場面に出くわす事が数多い。(ゆえに映画の冒頭を、少しでも分かりやすいように長々と書いてみたのだが)


それでも、この映画では、暗く不気味な雰囲気のベニスの街並みに、この意味の分からなさもマッチしていて、ホラーサスペンスとしては、なんとか着地している気がする。



でも、ジャンルがホラーだからこそ!である。


ホラーに意味なんて誰も求めてないのだから。(怖がらせたモノ勝ち)




※《注意》ここから、多少ネタバレになるので知りたくない方は、ここでおやめください。





簡単に言うなら、これは《自分が霊能力者として自覚していない男の悲劇》なのだ。


主人公ジョンは、間違いなく霊感や不思議な能力を持っている男である。


冒頭でも書いたように、娘の死をすぐさま察知したりするのは、まさしくそうなのだ。



そして、そんなジョンが迷宮のようなベニスをさ迷ううちに、見かける赤いレインコートの後ろ姿。


追いかけて……追いかけて(本当に死んだ娘のクリスティンなのか?)と思った矢先、振り向いたのは……





ドドォーン!!


醜悪な化け物の殺人者!!(本当にいきなりである。誰なんだ?お前は!(笑) )



いきなり斬りつけられるジョン。



何度も、何度も斬りつけられながら死に際には、まるで綺麗な万華鏡のような景色が目の前に広がる。



(あ~そうか……あの時、見たと思ったローラと老姉妹が舟に乗っていた光景は、自分の葬式だったのか……自分の棺を舟に乗せて佇むローラと、それを慰める老姉妹だったのだ!)


自分の死の光景を、先もって見たんだと自覚してジョンを死んでいくのだった。





この、最後に突然現れる化け物のビジュアルは、夢に出てきそうなくらい醜悪で破壊的である。


このインパクトだけで、それまでの、この映画の言葉足らずな部分や、変な凝った演出方法の不満も、全て吹き飛んでしまうほどだ。

それでも………



なんで死んだクリスティンと同じ、赤いレインコートを着てるのか?(殺人鬼でしょ?逆に目立つのに)


なんでジョンが突然殺されるのか?



はてさて、そもそも、お前はいったい《何者》なのだ?!(笑)




一切説明なし。



でも、ホラーだから怖がらせたモノ勝ち。

ホラーに意味なんて必要ないのだ。



これで強引に最後まで推しきった映画……あなたは許せますか?


私は少しだけ許せる度量をみせて、星☆☆☆とさせていただきます。


許せないなら、゛Don't Look Now゛(今は見るな!)ですよ (笑) 。