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2020年2月28日金曜日

映画 「七人の無頼漢」

1956年 アメリカ。



大雨が降りつける森の中、大きな岩蔭の下に、雨宿りの場所を見つけた男二人組は、焚き火をしながら、優雅にコーヒーなんぞを飲みながら、ユックリとくつろいでいた。



旅の途中なのだろうか……そばには繋がれた馬が二頭いる。


そんな二人の元へ、雨に濡れた男が、フラリとやって来た。


「雨宿りさせてくれないか?」


咄嗟に現れた見知らぬ旅人に、身構える二人組。


「馬もなくて、この雨の中、歩いてきたのか?」

「旅の途中で盗られた」


シレ~として旅人は、そう言うと、男たちにコーヒーを要求してきた。


コーヒーを飲ませながらも男たちは警戒している。


「どこから来たんだ?」

男の一人が訊ねると、旅人の男は「シルバー・スプリングス」とだけ答えた。


男二人の顔つきが、途端に変わる。


「確か……殺しがあったとか?犯人は見つかったのか?」

「あぁ、目の前にいる二人だけはな」


そう言うと旅人は、男二人に向けて素早く引き金を引いた。


雨の中に響き渡る銃声………。






翌朝、旅人の男、『ストライド』(ランドルフ・スコット)は殺した男たちの馬を引いていた。


元保安官のストライドは妻を殺されて、大金まで奪われていたのだ。

そうして、その妻を無惨に殺したのは、七人の無頼漢たちだった。


(絶対にこの仇はとる!)

復讐を誓ったストライドは、こうして旅を続けていく………。






リー・マーヴィン見たさに、借りた『七人の無頼漢』だが、この時は、まだまだ主役なんてものでもなく、それを引き立てるような悪役。

ストライドが旅先で出会う、大金を狙う『マスターズ』を演じている。




でも!、でも!、やがて主役として君臨して輝き始める、その片鱗は充分に伺える。




もう、リー・マーヴィンがうつるだけで、目はそれを追わずにはいられないのだ。


ストライドは一味を追う途中で、幌馬車で旅するジョン・グリーアと妻アニーの夫婦と知り合い、それに、やがて合流するのが『マスターズ』(リー・マーヴィン)とクリントという男たちなのだが………


この『マスターズ』(リー・マーヴィン)、こともあろうに、そのアニーを口説きはじめるのだ。(アララ)



「あんたによく似た女を見た事がある………昔………。そんなに青い瞳じゃなかったが……」なんて、気障なセリフも、サラリと言ってのけるマスターズ。


ストライドもアニーも、怪訝な顔でマスターズを見かえすのだが…………それにしても『マスターズ』(リー・マーヴィン)の溢れ漏れる男の色気よ。


表情、声、仕草、こんなのになびかない女なんて逆にいるのか?なんて疑いたくなるほどである。(単に自分がマーヴィンびいきなのもあるだろうけど)


案の定、この後は、ストライドの怒りにふれて、翌朝マスターズはおいてけぼりにされてしまう。


憤慨した彼は、この後、ストライドの敵になるべくして、残りの一味たちの元へと、はしるんだけどね。

まぁ、主役を引き立てる悪役だし、こんな展開もしょうがないか。



でも、こんな悪役でも、画面に映れば、男の色気ムンムンで、やがてのスター性を見せつけまくるリー・マーヴィンなのである。






一方、主役ストライドを演じているランドルフ・スコットはというと…………




とてつもなく棒演技!


ビックリした!あまりの演技のヘタクソさに!



ランドルフ・スコットの映画自体は初めて観たが、色々な噂と名前だけは知っていた。それにしても………。





西部劇専門のスターで、あの有名なケーリー・グラントと仲の良かったランドルフ・スコット。


二人は12年間、一緒に住んで共同生活をしていたほどである。


「二人はゲイじゃないのか?」なんてオフレコが、当然ついてまわったほど、終始ベタベタで、一緒のスナップ写真が、今も数多く残っております。



そんな二人の仲を「本当にゲイなんじゃねぇの?」なんて、直接からかった俳優のチョビー・チェイスは、ケーリー・グラントの怒りにふれて提訴までされたらしいけど。(また、余計な一言を……)


でもケーリー・グラントも5回結婚していて、娘まで授かっているし、ランドルフ・スコットも生涯2度結婚しているし、ほんとのところはどうなんでしょう。


今となっては分かりませんけどね。



そんな噂がたつほど、ケーリー・グラントにしてもランドルフ・スコットにしても若い時は、超ハンサム。

ランドルフ・スコットも整った顔をしている。


でも、演技の方は………ゴニョ、ゴニョ………。



顔の良さだけで、戦前は西部劇のスターとして、もてはやされたかもしれないけど、戦後、歳を重ねていけば、それだけではすまなくなってくる。



動き、表情、声の出し方……自分を観客たちに惹き付けるような演技の工夫。


それらは一朝一夕では身に付くものでもないし、長年の積み重ねや内面から滲み出てくるものじゃないだろうか。




案外、本人も西部劇専門にやっていて、他のジャンルには手を出さなかったところをみると、自分の演技の限界を自覚していたのかもしれない。(こんな風に書くと、あの世からでもケーリー・グラントが現れて激昂するかもしれないけど(笑))



人は良さそうな、見るからに善人そうなランドルフ・スコットなんですけどね。





でも時代が進み、観客たちの目が肥えてくると、そればかりではすまなくなってしまい………。



その後、1962年『昼下がりの決斗』を最後に引退した。(最後の映画も大赤字をだしてしまったらしい)



ランドルフ・スコットとリー・マーヴィン。


この映画で二人を比べてみると、その差は、あまりにも歴然としていて、ランドルフ・スコットが気の毒に思えてしまうほどだ。



この映画が完成して、ラッシュを観た時、本人も思ったんじゃなかろうか。


(あぁ、俺の時代も終わった………)なと……。


顔だけ良くてもスターとしては生き残れない。

厳しい世界でございます。

星☆☆☆。

2019年12月30日月曜日

映画 「特攻大作戦」②

《①の続き》

そして、いよいよ囚人たちの紹介である。(これも豪華な面々が揃う)




チャールズ・ブロンソン………ジョゼフ・ワラディスロー。

囚人の中でも、かなり教養があり、そして人一倍冷静な判断力を持つ男である。


やがてライズマンの右腕になるような才覚をみせていく。(さすがブロンソン!)



髭のないブロンソンの出演は貴重だが、やはり、この人には髭があった方がお似合い。

この後に、映画『デス・ハント』で再び、リー・マーヴィンとタッグを組んでいる。(まるでリー・マーヴィンを中心に広がる友達の《輪》)





ドナルド・サザーランド………ピンクリー。

終始おどけているようなアホな囚人役。


まだデビューして3年目の初々しいサザーランドに、最初気がつきませんでした。(こんな時代もあったのね)


ドナルド・サザーランドは、ニコラス・ローグ監督の『赤い影』が有名である。(不気味なサスペンス)






ジョン・カサベテス…………フランコ。

威勢だけは、一丁前の囚人。(喧嘩になれば、簡単にのされてしまう、このヘタレっぷりよ。)


ジョン・カサベテスが、俳優をやっているのを初めて観た。


だってカサベテスといえば、監督として有名ですもん。


奥さまのジーナ・ローランズを主演にした『こわれゆく女』や『グロリア』などは、超有名。

でも、調べてみると、このお方、コンスタントに俳優もやってらっしゃるのですね。



リー・マーヴィンの『殺人者たち』にも出ているという。(ここでも広がるリー・マーヴィンの友達の《輪》である。)







テリー・サバラス…………マゴット。

そして、そして、サバラスである。


とんでもなくイカれている囚人。


人種差別は当たり前。強姦殺人の死刑囚役。


この見た目のビジュアルが、この映画では、特に不気味で、恐ろしく思えるほど。(こう見えても実際のサバラスは、コロンビア大学で心理学を専攻したほどの知性派なのですよ)


この方の代表作といえば、海外ドラマ『刑事コジャック』。

ピーター・フォンダの映画『ダイヤモンドの犬たち』でも大活躍している。


スキンヘッドは、その見た目だけで、相当に破壊力のあるビジュアル。





と、まぁ囚人役で気になったのは、こんなところかな。(後、8人いる。他ははあまり知らないけど)


それでも、これだけの豪華な面子が揃えば、集団劇でも見分けるのは、とても楽だ。(大人数になるほど、脚本や監督の力量が試される気がする)



それにしても、リー・マーヴィン、アーネスト・ボーグナイン、ジョージ・ケネディ、チャールズ・ブロンソン、ドナルド・サザーランド、テリー・サバラスなんて名前がズラズラ並ぶと、まるで自分が、この1年で書いてきたblogの総決算のような気がしてくる。



もちろん星☆☆☆☆☆である。


「悪を知った者しか、悪に立ち向かえない」と言ったのは誰の言葉だったか……。



男たちの熱い闘いを、どうぞご覧あれ。


そして、みなさま良いお年を。(お粗末さま)

2019年12月29日日曜日

映画 「特攻大作戦」①

1967年 アメリカ。






1944年、アメリカ陸軍の『ライズマン少佐』(リー・マーヴィン)は、突然、お偉方が集まる本部へと呼ばれた。


破壊工作のプロとして、その実力は認められていたものの、型破りな方法をとるライズマンは、軍でも異質な存在。



「ったく!何の用なんだ!」とふてくされているライズマンを、「まぁ、まぁ……」と、なだめる昔馴染みの『アンブラスター少佐』(ジョージ・ケネディ)。


ライズマンが本部の応接室に入ると、待ち構えていたように、ギロリと睨む幹部たち。




その中でトップの『ウォーデン少将』(アーネスト・ボーグナイン)が立ち上がると、ライズマンに対して新しい任務を告げた。(このボーグナインの顔を見るだけで、「ププッ!」と笑いをこらえるのが大変)



「君にやってもらう事は、ノルマンディー上陸作戦の前に、ドイツ国防軍の高級将校たちが集う保養所を襲撃することだ!」



ライズマンが黙っていると、ウォーデンは、次に、とんでもない条件を突きつけてきた。



「ただし、この作戦に従事する者は、アメリカ《陸軍刑務所の囚人たち》から選ぶように!」



な、何だって?!



囚人たちに戦争をさせようっていうのか?!

無茶苦茶な!!



「そんな馬鹿な提案に、アイツらが素直に首を縦に振るとは思いません!なにか見返りがなければ……」


そこは、ウォーデンも多少、譲歩して、作戦成功の暁には、囚人たちの恩赦を約束してくれた。




ライズマンとウマが合わない『ブリード大佐』(ロバート・ライアン)は、ウォーデンの提案に、あきらかに面白くなさそうである。



(それにしても、こんな突飛な作戦が上手くいくのか………。)





ライズマンは翌日、刑務所を訪ねた。


この中から12人の囚人を選抜するのだ。



戦争で死ぬか、刑務所で死刑を待つか、それとも戦争で勝ち抜いて無事に生き残るか……選択肢は3つ。


はてさて、ライズマンのお眼鏡にかなって、選ばれた囚人たちは……





やっと観れた、『特攻大作戦』。




面白かった!


監督は、ロバート・アルドリッチ



それにしても、スゴイ顔ぶれを揃えたものだ、この映画。



これは、ぜひぜひ、順をおって紹介しなくては!






まずは、



リー・マーヴィン………ライズマン少佐。

さすがの貫禄である。やはり一癖も二癖もあるような囚人たちを束ねるのは、この人以外に適任者はいない。


囚人たちにも気迫負けなんてしてしない。


「なんだ!文句があるならかかってこい!」なんて言いながら、一対一で正々堂々と対決する。(かるく背負い投げ!)



でも、自分の部下として認めはじめると、囚人だろうが、命がけで守ろうとする。(カッコイイねぇ~、男だねぇ~、憎いねぇ~)


いちいち横槍をいれてくる嫌~な『ブリード大佐』たちには、容赦なく機関銃乱射をおみまいしたりする。


まぁ、何をしても痺れるくらいカッコイイのがリー・マーヴィン様なのだ!







アーネスト・ボーグナイン………ウォーデン少将。

ここでは、リー・マーヴィンの上官役だが、映画『北国の帝王』でも共演しているボーグナイン。


『北国の帝王』を先に観ているためか、ボーグナインが画面に出てくるだけで、不謹慎だが、笑いそうになる。


1度見たら忘れられない、この顔面の破壊力。

「ニカッ」、と笑うと見える、デカイ口に並んだ沢山の歯。



そしてギョロリとした飛び出しそうな目よ。(『北国の帝王』でも同じような事を書いた気もするが、毎回違う役でも顔面のインパクトがスゴくて、ボーグナインといえば、それなのだからしょうがない)







ジョージ・ケネディ………アンブラスター少佐。

ライズマンとウォーデンの間で、右往左往するような中間管理職。(だいぶライズマンの味方になってくれてるけど)


この映画でも、人の良さが、にじみ出ているようなジョージ・ケネディである。




けっこうジョージ・ケネディが出ている作品を観ている自分。


以前、このblogでもあげた、オードリー・ヘプバーンの『シャレード』や『超高層プロフェッショナル』、『エアポート´75』、イーストウッドの『サンダー・ボルト』や『アイガー・サンクション』なんてのもあったっけ。


ハリウッドで、誰にでも好かれていたケネディは、もちろん名バイブレイヤーである。






★ロバート・ライアン……ブリード大佐。

ライズマンに対するライバル兼、悪役。

ネチネチと嫌味ったらしく、イケすかない野郎を演じております。


ロバート・ライアンは、あちこちの映画で有名らしいが、初めてこの映画で見かけた人。


今後、有名な作品、『罠』や『ロリ・マドンナ戦争』などにも出演しているらしいので、いずれ観てみたいと思う。






なんだか、こうやって、ダラダラと紹介していくと長~くなりそうなので、本日はここまで。



②へ続くとする。
(名優たちが続々出ているので、とてもこの紹介を中途半端でやめられそうもない。この気持ち、どうぞお察しくださいませ)

2019年11月20日水曜日

映画 「キャット・バルー」

1965年 アメリカ。






リー・マーヴィンが、この作品で、アカデミー賞主演男優賞を受賞しているのは知っていたし、主演がピーター・フォンダの姉、ジェーン・フォンダなのも知っていた。



DVDのパッケージは、馬に乗ったリー・マーヴィンが壁にもたれかかっている物憂げな写真が使われている。


どんなに重々しい西部劇なんだろうと、勝手に決めつけて思っていたのだが………。





観てみると、まるで中身は大違い。




パッケージとのギャップに驚かされる。



なんなんじゃ、こりゃ〜???






オープニングには、皆様、ご存じのコロンビア映画の『コロンビア・レディ』(白い布をまとって、頭上にトーチを掲げている。自由の女神のようなコロンビア映画の象徴)が登場するのだが、それが突然アニメーションになると、白い布を脱ぎ捨てて、女ガンマンに早変わり。


バキューン!バキューン!とピストルを撃つ。(何これ?)


そんなのに度肝を抜かれていると、西部の街並みに変わり、バンジョーを弾きながら、二人の男が画面に現れて、突然歌い出す。



「キャット・バルー ~♪、キャット・バルー ~♪」



歌うのは、コメディアンの『スタッビー・ケイ』と当時、有名な黒人歌手、ジャズ・ピアニストの『ナット・キング・コール』。



「キャット・バルーは、縛り首になるぅ~♪それは彼女が人を殺したからぁ~♪」(なんちゅ~歌詞じゃ(笑))



この二人が、場面場面に出てきては、ストーリー・テラーのように、状況説明を軽やかに歌いあげながら、去っていくのだ。



そんな『キャット・バルー』(ジェーン・フォンダ)こと、キャサリン・バルーは、牢獄の鉄格子の中で、縛り首の時間を待っていた。




彼女がこうなったわけは原因がある。



あれは数ヶ月前 …………



教師になるために、都会で勉強して、無事に卒業したキャサリンは、故郷に戻るために列車に乗っていた。


そこで保安官に連行中の男『クレイ・ブーン』とその伯父『ジェド』と知り合う。





何の因果か、人の良いキャサリンは、クレイの逃亡を手助けしてしまう。(この伯父と甥、この後も出てくるのだが、この映画に必要か?というくらい、まるで役立たず。)




そんなこんながあって、何とか故郷についたキャサリン。

父親とユダヤ人の牧童が出迎えて、実家に馬車で戻ってくると……。



家が荒れ果てている。


父親は、この土地の水利権のため、「土地を手放せ!」と町の権力者、『パーシヴァル』に脅されていた。





こんな顔の殺し屋まで、差し向けて脅してくる。



そんな不安な様子のキャサリンに、再び出会ったクレイは助言をする。



「君も殺し屋を雇えばいいさ!」と。(「あなたが助けてよ!」というキャサリンに、へっぴり腰のクレイは、「俺に人殺しはムリ」と言うだけ。本当に頼りにならない男である。)




仕方なくキャサリンは、伝説のガンマン、『シェリーン』(リー・マーヴィン)を破格の50ドルで雇うも………また、またこの男も ………


常に酒がないと生きていけない、もはやアル中で、手が震えてピストルの弾は的にすら当たらない。(ダメだ、こりゃ)




そんなキャサリン、とうとう父親を殺されて、自ら復讐の為にのりだすのだが ……





父親の為の復讐劇なのに、何だか、とんでもなくお気楽〜な西部劇である。





ジェーン・フォンダが美人だけど、どこか、トボケていて愛嬌のある『キャット・バルー』を演じている。



ちょうど、この頃は、あのブリジッド・バルドーをスターにした『ロジェ・ヴァディム』と付き合い、「《セクシー道とは何ぞやを、徹底的に叩き込まれていた時期。(この後には、ロジェ・ヴァダムとのお色気SF映画の傑作『バーバレラ』が待機する)



表情や色気もムンムン全開で、バルドーのようにも見えてくる。(これが後に演技に開眼して、アカデミー賞主演女優賞をとるとは、この時点では、とても思えない)






リー・マーヴィンは、鉄の鼻を持つ殺し屋と、ヘベレケのアル中、シェリーン役の2役を演じていて、見事、アカデミー賞主演男優賞に輝いた。


このシェリーン役の情けなさを見ると、後年の渋みのある役柄なんてのも、こちらも、全く想像もできないが……。




映画の最後、馬に振り落とされそうになりながら、ヘベレケで、なんとかしがみついているマーヴィン。(これは演技なのか?それとも素なのか?実際のリー・マーヴィンも、当時、アル中寸前だったようだ)




何にせよ、この映画がターニング・ポイントになったのだけは確かである。




「キャット・バルー ~♪」と歌う二人組の歌も、映画を観た後、しばらくは耳に残るほど。




ん〜、不思議な西部劇だ。

星☆☆☆☆。

2019年10月20日日曜日

映画 「ブラック・エース」

1971年 アメリカ。






最近、自分がお気に入りにしていて、贔屓しているリー・マーヴィンの主演映画である。(ムシャクシャした時は、リー・マーヴィンに限る)






シカゴのギャングのボス、ジェイクは部下を引き連れて、ある酒場に『ニック』(リー・マーヴィン)を呼び出した。



ニックは名うての殺し屋である。

「仕事を依頼したい!」


ジェイクの依頼は、カンザス一帯を仕切って、牧場や精肉工場など手広くしている『メリーアン』(ジーン・ハックマン)から、ネコババされた50万ドルを取り返す事だった。




「自分の部下にやらせればいいだろう?」


ニックが知らぬ顔を決め込もうとすると、ジェイクはカウンターに、ある包み紙を置いた。


差出人はメリーアン。





開いてみると、中からはソーセージの塊が ……


「これが、先に送り込んだ俺の部下の成れの果てだ」(ゲゲーッ!人肉ソーセージ?!)

ただ事じゃない事態に、ニックの目も鋭く変わる。



「5万ドル払う、頼む!依頼をうけてくれ!」


ジェイクは、何人かの部下たちをニックの助っ人として差し出した。



「分かった……」

こうして、ニックはジェイクの部下と共に、夜のシカゴからカンザスへ向けて出発したのだった ……





何だか、冒頭から背筋が凍りつくような展開にドギマギする。


監督は、あの有名な『がんばれベアーズ』や『フレッチ / 殺人方程式』、『ゴールデン・チャイルド』のマイケル・リッチー。


『がんばれベアーズ』の監督が、こんな映画を撮っていたのに、今更ながら驚く。


でも、こんなのは、まだ序ノ口。

これから、我々は、もっと酷いジーン・ハックマンを拝む事になる。






ニックがカンザスに着いてみると、ニックは、悪党『メリーアン』の所業を見て、その鬼畜さに驚愕する。


牧場や精肉工場をしながらも、孤児院から少女たちを麻薬浸けにして、売り買いする。


そう!ここでは人身売買までやっていたのだ。




その売春のやり方が、またひどい!


牛舎の柵に牧草をしいて、少女たちを一糸いとわない丸裸で投げ込んでいる。


それをニヤニヤ顔の男たちが、柵の上から顔を出して売り買いするのである。(これを鬼畜といわずして何と言う!)





柵に入って素っ裸の二人の少女を抱き抱えながら、

「ニック、くだらねぇ~事に縛られないで、お前も楽しめよ!コイツらの相場は20ドルってとこだが、お前なら15ドルに負けてやるぜ!」なんてヘラヘラ笑いながら言ってのけるメリーアン。(本当にクソ野郎だ)




ワナワナ怒りに震えるニックに、一人の少女が朦朧としながらも、


「助けて …… お願い ……… 」と声を絞り出すようにして囁いた。


ニックは、たまらず、その少女を抱えると強引に連れ出した。




後ろからは、鬼畜のメリーアンが、「おい!15ドル払えよ!」と言ってるが、もう知ったことか!


「ツケておけ!」と叫ぶと、一緒に来たジェイクの部下の車に乗せて、とっとと連れ去った。





(こんな年端もいかない少女に …… なんて野郎だ …… 許さねぇー!、絶対に許さねぇーーー!




ニックの怒りは、ジェイクの部下たちにも充分伝わってくる。


皆が、少女に同情して怒っているのだ。





最高級のホテルに着くと、毛布にくるんだ少女を運ぶニック。


部下たちは少女の着替えを買いに向かっていった。(みんな良い人たちだ)





そうして、少女が最高級ホテルの一室で目覚めると、ベットの上には、ドレスやら何やら、数々の洋服が✨✨✨


「これを私に?着てもいいの?!」

喜ぶ少女に、ニックも嬉しそうだ。(そりゃ家畜扱いから、いきなりのお姫様扱いですものね)




ニックは、ドレスを着た少女『ポピー』(シシー・スペイセク)を伴うと、ホテルのラウンジに降りてきて、食事をする為にテーブルについた。




次々、運ばれてくる料理にマナーを知らないポピーは、うろたえるが、さりげなく親切にマナーを教えてあげるニック。(もう、ここまでくると殺し屋どころか、まるで足長おじさんである)



美味しい料理に舌鼓をうちながら、ポピーはこれまでの出来事を、ポツリポツリと、ニックに語り始めた。

「一緒にいた子は、孤児院で妹も同然に育ったバイオレットよ …… 」


ポピーの独白に、ニックは、

「そのバイオレットも、きっと救ってみせるさ!」と胸をたたく。





もうジェイクの為だけじゃない!


あのメリーアンをぶっ潰して、少女たち、皆を助け出すんだ!




【漢の男】、『ニック』(リー・マーヴィン)は、そう固く決心したのだった ………







この映画が、後に『キャリー』で有名になるシシー・スペイセクのデビュー作である。




でも、デビュー作から、いきなりオールヌードで売春させられる役なんて衝撃的過ぎる!(今ならコンプライアンス的に許されないだろうよ)


まぁ、当時だったから、こんな配役や脚本も、すんなり通っただろうが。




それにしても鬼畜や卑劣漢をやらせたら、ジーン・ハックマンは上手い。


クリント・イーストウッドの『許されざる者』もだが、本当に憎らしくて、憎らしくてやっつけたくなるくらい。


そんなジーン・ハックマンがいればこそ、映画を観ている我々は、自然に主人公リー・マーヴィンにドンドン感情移入していく。



殺し屋『ニック』(リー・マーヴィン)の人間臭さや、情愛にホロリとしたりして。


そうして、怒りのマシンガンが火をふくのだ!(ダ、ダ、ダ、ダ、ダッ!!)



格好いいねぇ~、もう、最高!





リー・マーヴィン、やっぱり好きだなぁ~


好きこそ、リー・マーヴィンに甘い自分は、もちろん、この映画に星☆☆☆☆をつけさせて頂きます。(でも邦題のタイトルは何で『ブラック・エース』に変えられたんだろう?全く意味はないんだけどね)




2019年9月29日日曜日

映画 「殺しの分け前 / ポイント・ブランク」

1967年 アメリカ。






「ウォーカー助けてくれ、俺には金がいるんだ!」



何十年ぶりに再会した、戦友でもあり親友の『マル・リース』(ジョン・ヴァーノン)。


マルの切実な頼みに、『ウォーカー』(リー・マーヴィン)は、密売金の強奪計画をたてた。


そして、見事に成功。



だが、………… 廃墟のビルで、強奪した金を数えながらマルは浮かない顔。



「足りないの?」マルのそばでは、ウォーカーの美人妻『リン』(シャロン・アッカー)が心配そうに見ている。


ウォーカーの妻なのに、裏ではマルと、ちゃっかりデキちゃったりしてるリン。(不倫リン)



そうして、卑怯者マルは強奪した金を独り占めしようと決心。



そして、立ち上がるとウォーカーに向けて何発か発泡した。


「キャアァーッ!」


叫ぶリンを引っ張って金を奪うと、ウォーカーを置き去りにして、マルは、とっとと夜の闇に消えていった。(金も女もとられて最悪)


哀れウォーカー。

だが、奇跡的に弾は急所を外れていて、ウォーカーは命をとりとめた。




しかし、あの有名な孤島に浮かぶ『アルカトラズ刑務所』に収監されてしまう。


脱出不可能と言われる『アルカトラズ刑務所』だが、ウォーカーはあっさりと柵を乗り越えて、水温10度の海を泳ぎきり、脱獄に成功した。(ある意味、クリント・イーストウッドより凄いんじゃないのか?)




この恨みはらさでおくものかぁ~!(オオッ!怖っ)




妻を寝とられて、強奪した金も奪われて。

当然ちゃ、当然のこと。ウォーカーの復讐が始まる!






原作は、リチャード・スターク(ドナルド・E・ウェストレイク)が書いた『悪党パーカー / 人狩り』。



そう、これは近年、ジェイソン・ステイサムが演じた『PARKER / パーカー』と同じ、パーカー・シリーズなのである。(主人公の名前が『ウォーカー』に変わっているのは、主演のリー・マーヴィンがシリーズ物はやりたくないと言ったからだとか)





そして、これは映画化された記念すべき第1号。



悪党なのに騙されやすいのは、ジェイソン・ステイサム版と似ているが、とにかく、このリー・マーヴィン版は…………




ほとんど喋らない(笑)。




ほとんど喋らないのに、元妻リンの住所を簡単に突き止めたりする。


「許してね、ウォーカー……」

魔が差したリンは、とっくにマルに捨てられて、今はアパートに独り暮らしだった。(月に1度、マルから生活費が送られてくる)



その夜、リンは毒を煽って服毒自殺した。(不倫の代償は高くついたね)





そして、次の朝、配達人がマルから送られてくる生活費を持ってやって来る。



「おい!奴はどこにいる!」(アッ!ウォーカーが喋った!)


配達人の若い男を締め上げると、マルの居場所は知らないが、ジョン・ステッグマンなる中古車販売の男の事を白状した。



(ステッグマン? マルの仲間なのか………?!)




「やぁ、どんなお車をお探しですか?」

中古車店に行くと、調子のいいステッグマンなる男が近づいてきた。



「この車を試乗させてくれ」

運転席に乗るウォーカー、そして助手席にステッグマンが乗ってきた。


シートベルトをきちんと閉めるウォーカーに、「なかなか用心深いんですね」と声をかけるステッグマン。(60年代だもん。シートベルトなんて付いていても誰もしません)


ウォーカーはエンジンをかけると、いきなり猛スピードをだして、メチャクチャな運転を始めた。



車をbackで壁に激突させたり、前進でまたもや壁に激突させる。それを何度も何度も繰り返す。(もう、車はボッコボコだ)



「ヒェーーーーッ!助けてくれぇ~!」

ステッグマンは、フロントガラスに頭を何度もぶつけて血だらけだ。



「マルはどこにいる?!」(アッ!また喋った)


ステッグマンは居所は知らないが、リンの妹であるクリスが知っていると白状した。



「姉妹で、奴の女になってやがるんだぜ」なんて血だらけで言ってのけた。





今度は、クラブ経営をしているクリスを探すウォーカー。


宿敵マルへ辿り着くまでの道のりは、まだまだ遠い………。






すっかり、リー・マーヴィンイズムに感化された自分。


この映画にもリンの妹役クリス役で、アンジー・ディキンソンが出演している。



リー・マーヴィンとは、昔ながらの名コンビだったのですね。(ヤッパリ『デス・ハント』より14年も前だと、アンジー・ディキンソンも若くて綺麗)



それにしても、リー・マーヴィンは1967年でも、『デス・ハント』の1981年でも、ほとんど変わらない姿。



昔から銀髪で老けているせいもあるのだろうが、彼だけ時が止まっているかのようだ。





なんか不思議な感じである。



周りの人々は、いかにも60年代の空気を醸し出しながら演技しているのに、リー・マーヴィンだけが、60年代も、70年代も、そして80年代も、ほぼ姿が変わらなんてね。




監督のジョン・ブアマンも、もちろんリー・マーヴィンの大フアンで、『リー・マーヴィンの息子たち』なる秘密結社のメンバー。




男が惚れる男、それがリー・マーヴィンなのである。



映画は、60年代らしく、凝ったフラッシュバックの回想シーンを何度も挟んでいたりして、今観ると、ちょっとゴチャゴチャしてるかな。



もうちょっと、ストレートに話の展開を持っていければ傑作になり得たろうに、ちと残念な仕上がり。



それでも、ギリギリおまけして星☆☆☆。(リー・マーヴィンにつくづく甘すぎる自分である)

2019年9月28日土曜日

映画 「デス・ハント」

1981年 アメリカ。







1931年頃、冬のカナダ、ロッキーの山麓で闘犬で盛り上がっている人々。




犬は血だらけで噛みつきあっていて、白い犬の方は瀕死の状態だ。

その犬の飼い主『ヘイゼル』(エド・ローター)は、それでも止めず、

「やれ!やれ!」と逆に煽り立てている。



そこへ轌(そり)に乗って、颯爽と現れた『アルバート・ジョンソン』(チャールズ・ブロンソン)なる男。




「その犬を逃がしてやれ」

そう言うと、飼い主ヘイゼルを、簡単に背負い投げして、首をねじり押さえつけた。



「とんでもない!あの犬には元手がかかってるんだ!」

押さえ込まれながらも、威勢だけはいいヘイゼル。


そんなヘイゼルの側に、ジョンソンは100ドル札を投げた。


「200だ!」

足元を見て強欲なヘイゼルは、値を釣り上げると、またもやジョンソンは100ドル札をヒラヒラ投げた。


そして、傷ついた犬を轌に乗せるジョンソン。




「おい!犬が欲しければ1000ドルよこしな!」

強欲なヘイゼルは、まだ叫んでいるが、今度はジョンソンも完全無視。(当たり前だ)


さっさと轌(そり)で行ってしまった。




「畜生〜!あの野郎!」

金を貰ったのに強欲で、芯から根性の腐ったヘイゼルは、まだブツクサ言っている。(まぁ、クズを演じさせたら天下一品のエド・ローター)



我慢がならず、町の騎馬警察隊長の元へと向かった。

途中、赤いピカピカの騎馬兵隊の制服に身を包んだ若い男に出会うヘイゼル。


「ミレン隊長はどこかね?」

ヘイゼルは、その男の身なりをジロジロ見て、(イケすかねぇ野郎だ)と思ったが、「付いてきな!」と道案内をかってでた。



警察隊長『エドガー・ミレン』(リー・マーヴィン)は、警察署には居ずに、ヘイゼルは男を酒場へ連れていった。



ちょうど一杯やっている最中のエドガー。



赤い制服の男は、ここに着任してきたばかりの新人のアルピンという巡査だった。


(この、呑んだくれが新しい上司?……)

エドガーの様子に驚きもしたが、とりあえず敬礼して自己紹介をしたアルピン。




でも、その横でヘイゼルが、

「おい!犬を盗まれたんだ!なんとかしてくれよ!」

と、キャンキャン吼えている。



でも違法な闘犬をやっていて、死にかけている犬を救い出された事など、エドガーはとっくにお見通し。

相手にするわけがない。



「俺が祈っている間に、とっとと消えな」

と捨て台詞を吐いて背中をむけるのだった。(格好いい!リー・マーヴィンである)




(畜生……畜生!畜生!畜生〜!)

苦虫を潰した顔のヘイゼルは、頭の中で『畜生』を連呼した。(本当にクズな演技がお上手)



その頃、薬を買って犬を手当てしている心優しいジョンソン。


「ここまで生きられたんだ、きっと治るからな」


人里離れた小さな小屋で、孤独なひとり暮らしのジョンソン。

そんなジョンソンの手厚い看病に犬も応えた。





次の日、犬は立ち上がり、餌を食べるまでに回復した。




でも、そんなジョンソンの小屋の周りに不審な人影。



あのクズのヘイゼルが、クズ仲間たちを集めて復讐しようと迫ってきたのだった ………






面白かった!


チャールズ・ブロンソンの映画を急に観たくなって探したのだが、あの『北国の帝王』のリー・マーヴィンとの共演。



渋い!渋すぎる男たちに、男ながら惚れ惚れする。




やさぐれて老いた警察隊長『エドガー』(リー・マーヴィン)なんて、一言、一言の台詞が痺れるくらい格好いい。



新人で頭の固いアルピン巡査は、「闘犬は違法だし取り締まるべきです」なんて必死に訴える。


でも、エドガーは

「坊や、忘れちまいな。人と人が殺し合うよりよっぽどいいさ」

なんて返答する。(か、格好いい~!)




こんな、老いても渋くて格好いいエドガーを町の女がほおっておく分けがない。

美人の未亡人『ヴァネッサ』(アンジー・ディキンソン)なんて旦那が死んだばかりなのに、エドガーの魅力に、もうイチコロ。



新年のダンスを踊った後は、二人すぐさまベットへと ……(あらあら)





そこへ不粋な、あのヘイゼル(エド・ローター)がやって来て(本当に不粋)、


「仲間のトムをあいつ(ジョンソン)に殺された!!」

と、ヒステリックに叫びわめきたてる。(自分達が襲撃しようとして逆に返り討ちになったくせに)



ベットの上で、ヴァネッサを抱いているエドガー。

オロオロしたり、慌てたりなんて決してしない。



悠然と構えながら、一言。


「俺が調査する!」だけである。


しだいに、ヘイゼルの方が、目の前の光景を目にして恥ずかしくなり、いたたまれず飛び出していく。




漢の男は、どんな時も慌てず騒がず。(たとえ、あの最中を見られてもである(笑))




リー・マーヴィンがかなり役得だなぁ~。




まぁ、チャールズ・ブロンソンの渋さも光っているのだが。


それにエド・ローターのクズっぷりがピカイチで最高!(クズ野郎を演じさせれば天下一品)


星☆☆☆☆である。


《追記》そうそう、『リー・マーヴィンの息子たち』っていう冗談めいた秘密結社があるらしい。

なんでも会員条件は、「リー・マーヴィンに似ている事」ですって。(とにかく牛顔って事なのか?)



普段はどんな広報活動している結社なんだろ …… 興味津々である。(笑)

2019年9月8日日曜日

映画 「北国の帝王」

1973年 アメリカ。






タイトルだけは、昔から知っていたし、主演が『リー・マーヴィン』なのも分かっていた。


でもストーリーや内容なんてのは全く知らない。


若い時には、このリー・マーヴィンの顔も、

(何だか年老いた牛のような顔の人だなぁ~)

と思ったり、パッケージのアーネスト・ボーグナインの顔もクドイ顔に見えたりして、見かけても素通りしてました。(スミマセン)




話の内容なんてのもひどいもので、勝手に、


「タイトルが『北国の帝王』なんだから、きっと雪山か何かの話で、リー・マーヴィンが、そこで有名な登山家か、雪山ガイドなんだろうな~」

くらいの決めつけ。


そんな『北国の帝王』でありましたが、後年、あのロバート・アルドリッチが監督しているのを知ると、俄然見方が変わってしまう。




そして観てみると、相変わらずの勘違いで、全然内容は違ってました。(笑)





時は1933年の世界恐慌の時代。


あちこちの町では、『ホーボー』なんて言われている人々で溢れかえっている。



ホーボー』って何じゃろ?



『ホーボー』とは、基本的には金を持たない失業者たちのこと。


そして遠くに働きに行くにしても無賃乗車をして鉄道などに、無断で乗り込んだりする人々の事でもある。(横文字にすると、何だか格好いいような気もするが、やってる事はねぇ~)




今日も、そんな『ホーボー』たちが、減速してきた列車の隙をついて、後部車両に乗り込んできた。


でも、生憎、乗った列車が悪かった。



ホーボーたちの間でも怖れられている『19号車』。


鬼車掌『シャック』(アーネスト・ボーグナイン)が管理する列車だったのである。



「俺の列車で無賃乗車なんて許さん!」


シャックはトンカチ片手に、後部車両に移動すると、乗り込んで安堵しているホーボーを滅多打ちにした。


哀れ、年老いたホーボーは、線路に落ちて、列車の下敷きになる。



「ざまぁ、みろ!ハハハー!」


ホーボーなんてものを、虫けら同然に見ているシャックにとっては、一人死のうが、殺そうが関係ないのだ。


(恐ろしい …… )

列車が通りすぎるのを草むらの蔭から見ていた、他のホーボーたちは震え上がった。



そんな『19号車』がしばらく走っていると、山道の草むらで野営をしている男がいる。



年老いているが眼光鋭い、『エース・ナンバーワン』(リー・マーヴィン)。




エースが、どこから調達したのか、食糧の鶏を調理しようとしてると、浮浪者らしき男と少年が、それをまた草むらから、唾を飲み込みながら見ていた。(ゴックン!)



「狙え!」

男たちは、エースに襲いかかってきた。



だが、それを意図も簡単に毛散らかすエース。




エースは、そのまま走り去る『19号車』に乗り込んだ。



そして、浮浪者の若者『シガレット』(キース・キャラダイン)も後を追った。


二人が乗り込んだのは、干し草を積んだ車両。


その車両の上部入口に隙間を見つけたシャックは、厳重に閉めると関貫をかけた。



エースとシガレットは、完全に閉じ込められてしまう。



「ちくしょう!出しやがれ!」(自分で乗り込んだくせに)


若いシガレットは、閉じ込められた車両で、バタバタもがいているが、エースは余裕綽々。



鶏を片手に、葉巻に火をつけると、「プーッ!」と吹かしてみせた。



(な、なんで、こいつ落ち着いてやがるんだ ?…… )



そう、彼こそが、ホーボーたちの間でも尊敬されている『北国の帝王』と呼ばれる男だったのである。






この映画って、笑っていいのやら、それともマジメ~に観たらいいのやら ……



そもそも、このエース・ナンバーワンって名前も変だし。(なぜ?誰もツッコまないんだ?)


そうして、このエースの渾名(あだな)が北国の帝王》???(只の無賃乗車の常習犯に(なぜ?)こんな英雄視するような渾名がついたのか? そもそも、このエースは北国出身なんだろうか??)


全く意味分かりません。



リー・マーヴィンの威厳と雰囲気だけで、形だけは真面目そうなアクション映画に仕上げようとしているのだが。(とても真面目に観れるものですか!)




大体、シャック役の『アーネスト・ボーグナイン』のクドイ顔が、映画の中で観ると、さらに超 クドく仕上がってて、観客を笑わせる気、満々なのだ。(笑)




ボーボー眉毛に、目ん玉が飛び出るくらいのデカい目


これまた、デカい裂けたような大きな口には、すきっ歯が並んでいて、これはもう、一種の顔芸である。



これを、平静に笑わずに見られる人がいるのだろうか。(笑)



こんなシャックの『19号車』から、いとも簡単に乗ったり、脱出したりするエース。


シャックは、それに「キーッ!」と悔し顔。



「今度こそ、『北国の帝王』に負けてたまるか!」


ヒステリックに喚き散らして、周りに当たり散らして。




それでも無賃乗車犯と車掌の闘いは、果てなく続いてゆく ……




映画は、真面目さを装いながらも、現代の我々が観れば、最後まで「何じゃこれ?」の連続。




でも、この馬鹿馬鹿しさが、観ているうちに、段々と癖になってくる。(最高なのだ!)




それにしても男って奴は、くだらない事に命をかける、馬鹿な生き物でやんすねぇ~。




ロバート・アルドリッチ様、この映画って笑っていいんですよね?

星☆☆☆☆☆である。