1983年 日本。
私は昔から薬師丸ひろ子が好きである♥️。
ハッキリ言って美人でもない丸顔や低い鼻を持つ彼女。
背も低いし、見た目は平均のアイドルよりも、だいぶ下回る。
つまり、どこにでもいるような女の子なのだ。
だが、ひとたび声を発せれば、独特なクリスタル・ヴォイスが超音波☄️となって、たちまち大勢を虜にする。
だから、薬師丸ひろ子の歌う曲は、どれもコレも名曲ばかりのラインナップがズラ〜リと並ぶ。(ひろ子の声質が、名作詞家や作曲家を引き寄せる効果もあるのだ)
こんな薬師丸ひろ子の歌は、好きな自分なのだけど……こと、芝居の方になると好き嫌いは両極端、真っ二つに分かれてしまう。
これは自分の趣向の問題が大きいのだけど、監督や共演者によっては敬遠するモノも、かなり多いのだ。
あの、「快感!」のフレーズでお馴染みの『セーラー服と機関銃』だって、そう。
歌の方、『セーラー服と機関銃』もヒットしていたし、「1度くらい本編の方も観ておこうか……」くらいの軽い気持ちで観始めたのだけど………
コレが、おっそろしく、つまらなかった。(自分には)
原作はユーモア・ミステリーの巨匠、赤川次郎なのに、「どこに赤川次郎のテンポの良い《ユーモア》があるの?」と言いたくなるほどだった。
監督が相米慎二。(この人の監督作で斉藤由貴の『雪の断章』も観たのだけど、これまた同じように駄作。つまんなかった)
とにかく、エンディングテーマが流れるまでは苦痛以外の何モノでもない。
女優の演技開眼に定評のある相米慎二監督で、薬師丸ひろ子も、斉藤由貴も、
「あの時、監督にしごかれた時間があったからこそ、こうして女優を続けてこられた」
なんて回顧するインタビューを見るけど、それとコレとは話は別。
観る側にとっては、無関係。
要は「面白いか!、面白くないか!」だけなのだ。(私はつまらなかった。ゆえに相米慎二の映画は、それ以後パスしている)
お次は、同じ赤川次郎原作の『探偵物語』。
コレを私、観ていないのだが面白いんだろうか?
共演者が、私の苦手な松田優作というだけで、今日に至るまで完全スルーしてきたのだ。(歌は勿論知ってるけどね。これまた名曲)
松田優作の何が苦手って、あの独特な《セリフまわし》。
ぶっきら棒に早口で「さっさとセリフを言い終わってしまおう!」っていう、あの喋り方。
ゆえに、いつもふてくされているようにとれて、昔から、この人のドラマや映画は苦手なのだ。(コレが「カッコいい!」って人もいるけど……今だに良さが分からん)
透明感あるクリスタル・ヴォイスの薬師丸ひろ子と、いつもの様にぶっきら棒な芝居をするだろう松田優作……想像しても不釣り合いな気がして、これまた当時観る気がしなかった。
そうして、この後に、この『里見八犬伝』がやってくる。
巨額の制作費を投じて、SF超大作時代劇を1983年の暮れにぶつけてきたのだった。
お話は簡単。
100年前、妖怪『玉梓(たまづさ)』の呪いや恨みで滅ぼされ続けてきた里見家。
その最後の生き残りである静姫は、因縁を断ち切るため、伝説である8人の《犬士》を集めて「打倒!妖怪たち!」を誓うのである。
もちろん、ヒロインの静姫役には薬師丸ひろ子。
そして相手役には、当時、そのハンサム具合とキレのあるアクションで、世の女性たちを「キャアーー!キャアーー!」言わせていた真田広之。
何気に芝居が上手い真田広之の登板に、(オオッ!この映画は面白くなりそうかも……)と期待を膨らましていたら、他の脇をかためる俳優たちも、これまた凄い面子が、ジャンジャン並びはじめてくる。
同じジャパン・アクション・クラブの志穂美悦子や大葉健二(宇宙刑事ギャバン)。
そうして御大、千葉真一。(これだけ揃えれば、アクションに関しては「大丈夫!」だと、ほぼ太鼓判を押されたようなモノだ)
重鎮、寺田農や『必殺仕事人』でブレイクする前の京本政樹もいたりする。
オマケに、妖怪で悪の本元『玉梓(たまづさ)』には夏木マリが扮しているのだ。(若さを保つため血の池に浸かる玉梓にゾゾッ〜!)
原作と脚本は『男女七人夏物語』の鎌田敏夫さんで、監督は『仁義なき戦い』や時代劇アクションを知り抜いた深作欣二。
これで面白くならないはずがないじゃないですか!
映画は当然、大、大、大ヒット!した!!(メガ・ヒット)
オマケに当時発売した高価なビデオさえも何万本も売れたという。(ビデオなんて当時は1万円以上の値段。それがバカ売れなんて角川事務所は、もうウハウハ状態。笑いが止まらなかったろう)
かくいう自分も、ここへきてやっと、薬師丸ひろ子の映画で「チョー面白かった!」と素直に思えたほどだった。(とにかく次から次への妖怪たちとの死闘は大迫力。魅せる!魅せる!)
『静姫』(薬師丸ひろ子)が、
「星よ、導きたまえ!」って矢を射るポーズ、流行ったなぁ~。
ただ…………
この映画に一つだけ難癖をつけるなら、薬師丸ひろ子に、着物が似合わないことに気づいてしまった。
もう、可哀想なくらいにチンチクリンなのである (笑)。
冒頭の弓を構えるひろ子を見ても分かるように、背の低さ、首や手の短さは、着物を着れば一目瞭然。
本当に酷な言い方をするなら、
ちょっと可愛らしい《バカボン》って感じなのだ(笑)。(着物って、誰でも着て似合うもんじゃないのだ、と知る)
それでも、このblogを書きながら、懐かしさゆえ、こっそり『里見八犬伝』を借りてきた私は、今から記憶保管に観賞する予定。
皆さまも、どうぞ、楽しんでご覧あそばせあれ。
星☆☆☆☆☆。
※《後記》やっぱり数十年ぶりに観ても面白さは変わらなかった!
この映画は「傑作!」だと、改めて思った次第である。(薬師丸ひろ子の着物姿も、「コレはコレで良いのかも……」なんて寛大に思うようになったのも、自分が歳をとって充分にオッサンになった?からなのかな?(笑) )