2021年10月16日土曜日

映画 「HK / 変態仮面」

 2013年  日本。





人間50年以上生きてくると、様々な変態に偶然出くわす事もある。


中学の時は、校内の廊下を下半身丸出しで歩いている男子中学生がいた。

女子中学生は「キャア~!キャア~!」、先生たちは「何をやってるんだー!」と追いかけまわす。(あの中学生は、その後どうなったろう?立派な変態になったのだろうか?)



大人になって、夜、車で海岸沿いを走っていたら、全裸でハイヒールを履いて闊歩している女性を見た事もある。(痴女?)


病院のガランとした待合所にいた時、トイレの中から喘ぎ騒ぐ男女の声。(なんと!真っ昼間から、ホームレスの男女が障害者トイレの中でヤッてるのだ)


みんな、みんな変態さんばかり。



えっ?変態に出くわす頻度が多すぎる?

知らんがな、そういう運命なんでしょうよ (笑)。



そんな変態に遭遇する日常で(どんな日常やねん (笑) )、少年ジャンプにて、この漫画が突然現れた。


究極!変態仮面』。


女モノのパンティーを被ると興奮して、着ているモノを脱ぎ去り、網タイツ、それにはいてるブリーフをグ〜ンと肩まで持ち上げて交差させる。(まぁ、ほとんど全裸に近い)



この男、『色丞(しきじょう)狂介』が変態仮面に変身して、悪党相手に自身の股間を無理矢理に押し付けたり、なすり付けたりして成敗する。(これが成敗になるのか?ホモ相手には喜ばれそうだが (笑) )


他の漫画を読みながらも、永井豪の『けっこう仮面』以来、久しぶりに登場した異質な『変態仮面』は、それはそれで記憶に残る少年漫画でございました。(わずか6巻くらいで終わったのもしょうがないかも)



そして、こんな『変態仮面』の事など、すっかり忘れていた頃、あの男がコレを掘り返して突然叫びだした。


「俺は『変態仮面』をやりたいんだぁぁぁー!」(by 小栗旬


当然、事務所サイドからは、「NO~!」の返事。


「イメージを大切にしろ!」


「今まで築きあげてきたモノを、全て無くすつもりか!?」


これに渋々退いた小栗旬だったが、それでも実写化の夢を諦めきれない。(そこまで固執する小栗旬って、やっぱり変態なのか?)


ならば、脚本協力という立場で関わる事になった小栗旬は、今まで、中々芽が出なかった、一人の俳優にその話を持ちかけたのだった。


それが、鈴木亮平


既に結婚していて妻がいた鈴木亮平は、この『変態仮面』のラスト・チャンスに命をかけた。


「失う名声など何もない!もう完璧な『変態仮面』を俺がやってやる!」と。(半端ヤケクソだろうか?とにかく、そのくらい振りきらないと、こんな役、誰もやらないだろうよ)


肉体改造をして立派な身体をつくった鈴木亮平。(そこまでして、演じる役は変態なのに)



とにかく『変態仮面』役が決まると、今度はヒロインの『姫野愛子』役探し。


こんな映画のヒロインを演じる若い女の子なんているのか?……と思っていたら、いたー!


清水富美加(現在、出家して千眼美子)。



この子、デビュー作の『仮面ライダーフォーゼ』から、(一風変わった子だなぁ〜)と、マークしておりましたが、なるほど(この子なら有りかも……)と、妙に納得もしてしまいました。


『フォーゼ』では、宇宙オタクで、自作で宇宙の変なコスプレをしながら、作詞作曲で変な宇宙の歌を歌うという、とにかく最初からイッちゃってる役。(観ながらも、「これは演技なのか、素でやってるのか?」ぐらいに訳のわからない役でした)



最初がこんな変わり者の役ですもん。

ドンドン変わり者のオファーが舞い込んでくる。



松岡昌宏の『家政夫のミタゾノ』では、またもや不思議ちゃんを嬉々として演じる清水富美加。


女装している『ミタゾノ』(松岡)の後ろから近づいてきて、釣り竿の針で、「えい!やー!」ミタゾノの被る鬘を釣り上げてみせる。


「やっぱりミタゾノさん、男だー!キャッ、キャッ!」(この清水富美加が出演したミタゾノが最高に面白いです。後はダメだけど)



こんな最初っから振り切ってる清水富美加ですから、こんな場面にだって、た、耐えられるはずである。(本人、後日メイキングで、鈴木亮平のハミちんを、何度も何度も間近で拝見したとか言っておりました。)




他にもムロツヨシや、安田顕を引っ張りだして映画は、かねての予想を上回り大ヒットする!(世界でも反響を呼び、とうとう続編まで作られちゃう始末)



鈴木亮平は俳優業を順調にスタートさせて、その後の活躍は世間の皆が知るところ。


一方、清水富美加は、どんどんイッちゃってる演技の繰り返しに、さらに向こう側へと行っちゃいました。(本名に戻せばいいのに。どんな宗教を信じるのも自由だけど、この、まるでセンスのない『千眼美子』って名前だけはいただけない)



とにかく、この『変態仮面』が、二人の明暗を分けたターニング・ポイントになったのは間違いないと思う。



それにしても、陰気な暗闇から現れる変態と、真っ昼間から堂々と現れる明るい変態に違いはあるのだろうか?


まぁ、どっちにしても公然わいせつ罪で逮捕されますけどね (笑) 。(これはフィクション。ちゃんと理性でこらえましょうね)


星☆☆☆☆。

ドラマ 「メイド刑事」

 2009年6月〜9月。




元レディース暴走族の総番長が、お屋敷につかえる柔順なメイドへ大変身。


彼女の名は『若槻葵(わかつきあおい)』(福田沙紀)。


だが、ただのメイドではない!


メイドの姿で潜入して、その家に巣食う悪党たちをあぶり出して打ち負かす。



またの名を《メイド刑事》。


悪の汚れ、お掃除させて頂きます!!




なんか色々なモノがインスパイアされてるなぁ〜(『家政婦は見た』とか)


もっとも、『スケバン刑事』によるところが、とっても多いのは、誰が観ても明らかなんだけどね。(コレ、原作漫画があるらしい。たぶん原作者が『スケバン刑事』のコアなフアンなんだろう)


既成のメイド服が戦闘服だったり、どこにでもあるモノを武器に使用したり(掃除用のクィックル・ワイパーが武器。一応、戦闘用に改良されてる特殊合金製)、決めセリフもあったりと……



もう、ほとんど『スケバン刑事』じゃないのか、コレ!


主演の福田沙紀の名前からして、親が猛烈な『スケバン刑事』フアンだったらしく、生まれた娘に『麻宮サキ』の『サキ』を頂いて『沙紀』にしたのだとか。



7歳から、ダンスや芝居、歌のレッスンに明け暮れた福田沙紀……親は娘を芸能界へ入れようと、猛烈な期待をかけていたんだろうな。


そのかいあってか、娘は美少女コンテストで受賞して、あの大手オスカー・プロモーションに入り、仕事はトントン拍子。


この運命的な作品『メイド刑事』の主演がまわってきたのも、妙に納得してしまった。




このドラマ、新聞のラテ欄で、たまたま見つけて観ていたのだけど面白かったです。


福田沙紀も可愛いと思って観ていたのだけれど……それにしても、この子は当時、もの凄く叩かれまくっていたなぁ〜。(ちょっと可哀想なくらいに)



「実力も人気もないくせに、なんであの女が櫻井翔 (嵐) 君の相手役なのよ!」(映画『ヤッターマン』)


「なんで、あの女が主役に抜擢されるんだ?視聴率もとれないのに!」


「スタッフに対する生意気な態度、ありゃ何だ?!」


………もう、出るわ!出るわ!バッシング記事の数々。


そのうち、オスカーから剛力彩芽武井咲が出てきて猛プッシュされはじめると、福田沙紀には、またもや追い討ちをかけるような悪意のある記事が、後ろ砂をかけるように飛び出してくる。


「『福田沙紀』干された!」とか、「オスカーに見捨てられた女」などなど……。


もっとも、後進の剛力彩芽や武井咲も叩かれまくりだったけれども。(「オスカーのゴリ押し」とか散々に言われておりました)



このオスカーって会社、タレントの売り出し方や育て方、マスコミの印象操作なんかも、てんでダメな会社である。(タレントたちが一斉に独立した現在をみても、充分お分かりだと思う)



だが、福田沙紀がオスカーに所属していなかったら、この『メイド刑事』に抜擢されなかったわけだし。(う〜ん、『メイド刑事』は今観ても面白いし、コレはコレで良かったのかな)



ところで、この福田沙紀もご多分に漏れず、去年(2020年)にオスカーを独立した。


現在、フリーの形。


《フリー》って言い方、一見、格好良い響きに聞こえるが、どこにも所属してない……要するに無職である。


大丈夫か?と思いきや、今年(2021年)8月にミニシアターで主演映画が公開されたそうな。


1からオーディションを受けての大抜擢。



映画のタイトルは『シュシュシュの娘』。



何じゃ?この「シュシュシュ」ってのは?


市役所に務める地味なOLが、寝たきりの祖父を介護しながら、毒入りの矢をつかった吹き矢で世直しをするという、そんなトンデモないお話だという。


吹き矢が放つ音?「シュシュシュ」って?


なんだか『メイド刑事』にも似た世直し感に、再び「面白そう」なんて気もするが、それでも福田沙紀も31歳。



ちゃんとした大人の女性の役柄を演じた方がいい気もするのだけどね。(大丈夫なのかな〜、オジサンはちょっと心配である)




ところで、肝心のメイド刑事だが、第5話と第6話は秀逸の出来。


第5話では、岩佐真悠子柏原収史が映画『生きていた男』のパロディーを嬉々として演じております。(それに山村美紗に似たキャラを絡めていて、変な可笑しみがある)



第6話では、あの南野陽子(ナンノ)が満を持して登場!


極道の妻役でありながらも、やっぱり武器はヨーヨーで(何で?)、「《〇〇刑事》とはこうあるべき!」とばかりに、メイド刑事にその実力を見せつけてくれまする。



そうして最終話(11話)では、本田博太郎さんが、『警視庁捜査一課長』ばりの不気味な怪演をここでもしてくれている。(国生さゆり須藤元気なんて顔も続々登場)


マジメな原田龍二には、現在と比べてみて苦笑いをこらえてしまうし、ヤンキー刑事の的場浩司には、「あ〜適役だ」と納得する。


これは、オスカー時代に残した福田沙紀の貴重な青春の記録。


これからも、ちょくちょく観させて楽しませて頂きますね。


ガンバレー!福田沙紀さんに幸多かれ。


星☆☆☆☆。


2021年10月9日土曜日

映画 「奥様は、取り扱い注意」

 2021年  日本。





今、綾瀬はるかの映画『奥様は、取り扱い注意』を、やっと観終わったとこ。


以前、このblogでも書いたことがあったが、私は、綾瀬はるかの熱烈な大フアンである。


この映画は、そんなドラマの後日談。



公安のエージェントである『伊佐山勇輝』(西島秀俊)と、国際的に活躍する特殊工作員『菜美』(綾瀬はるか)は、偶然知り合って、二人とも一目惚れ♥。


お互いに素性を隠して結婚する。


そうして、見た目、平和な日常生活を送ろうとするのだが……そうは上手くいかない。



根っから正義感の菜美は、ご近所トラブルや事件に首をつっこんでは、スパイとして活躍してきた身体能力をフルに活用しはじめるのである。


「私が助けてあげる!」


と勇んでいく菜美は、まるで世直し気分なのだが、そんな菜美の行動を公安は警戒しはじめて、夫である勇輝に、とうとう暗殺命令が下された。


ある夜、大暴れして帰宅した菜美に、「動くな!」と銃口を向ける勇輝。


一発の銃声の響く音でドラマは終わりを告げる………。



この宙ぶらりんなラストに、ドラマが終わった後、視聴者からはブーイングの嵐。


で、結局、菜美は殺されたのか?それとも生きているのか?!



どうとでも取れるようなラストに、ネットでもふざけるなーー!💢の酷評がしばらく続いていた。


それから、その声にフタをするように飛びこんできた映画化のニュース。


「『菜美と勇輝は、その後どうなったのか?』必ず映画で決着をつけますから……」(日本テレビ「オドオド、ビクビク……」)



それに、やっと溜飲を下げて、落ち着きを取り戻した視聴者たち。


でも「ドラマはドラマでキチンと完結させるべき!」なんて声も、ブスブスとくすぶっておりました。(おっしゃる通り!自分も同意見である)



で、待望の映画が公開されると思いきや、(ガビーン!)コロナの為に延期、また延期



やっと公開されても、皆の興味や熱量はとっくに冷めていたのでした。(完全にタイミングを外している。だから「ドラマはドラマでキチンと完結すべき!」という声がまたもや、ここで活きてくるのだ。)



とにかく、映画は即短で公開が終了し、収益の赤字を取り戻すように、即ディスク化されて、レンタルの運びとなったのでありました。



もう観る前から、予告で綾瀬はるかが出てるので、「あ〜菜美は、勇輝が放った銃弾で死ななかったんだな」というのが分かっていたが、それに《どう理由をつけるのか?》、興味はソレだけでございました。



勇輝の撃った弾丸は菜美の後ろに隠れていた公安が差し向けた暗殺集団に命中する。(そう!勇輝は公安の命令に背いても、土壇場で菜美を救おうとしたのだ。)



だが、公安の暗殺集団が放った一発の弾丸が菜美の頭をかすめて、菜美は倒れる。


目が覚めた時は、すっかり菜美は記憶喪失になっていたのだ。


「これは幸いだ!」と喜んだのは、公安で勇輝の上司である『池辺』(小日向文世)。


池辺は、早速、勇輝に別の命令をくだす。


「お前は《桜井裕司》を名乗って、記憶喪失のあの女(《菜美》→《久美》に変えられる)を連れて、珠海市の《メタンハイドレート開発》に関する事件を調べてくれ!」


『久美』(綾瀬はるか)には、定期的に公安が差し向けた心理カウンセラーである『三枝』(前田敦子)の診療を受診させること。(記憶を取り戻さないか、その監視役)


そんな条件つきで、桜井裕司、久美夫婦に名前を変えた夫婦は、港町の珠海市へとやってくるのだが………




こんな導入部で、新たにはじまる映画版『奥様は取り扱い注意』だったのだけど……もう、率直に言おう!


この映画は、長々と待たせた割には大失敗しております。


良かったのは、西島秀俊綾瀬はるかだけ。(この二人は別格すぎる)




後のキャスト選びは、最悪といってもよいくらい最悪でございました。(脚本も悪いけど)




記憶を取り戻した久美(綾瀬はるか)に、気づいて非常ボタンを押して刺客を呼ぶと、即座にスタコラ逃げ去る前田敦子



潔く、綾瀬はるかの顔面パンチ👊やキックを受けなさいよ、『前田敦子』!!(顔面センターに)



『鈴木浩介』、ただの無駄話好きのお喋り野郎。(どこに元空手部の要素が?全くいらねー奴)



『鶴見辰吾』、堂々と西島秀俊や公安に立ち向かってアクションで応戦なさいな!!(綾瀬はるかが倒してヘロヘロ状態の外人に、良いとこ取りでトドメの銃撃を浴びせるだけ。それ以外、まるで取り柄なし)



『佐野史郎』さん、悪党なら悪党らしく、撃たれて死ぬなり、なんなりしなさいよ!(あんだけ威張っていて、最後は逮捕されて連行されるだけの佐野史郎)




そうして、一番ヒドイのが、『小日向文世』!



こんなのが、公安のトップだって?!


チャンチャラおかしいわ!(私でも簡単にひとひねりで倒せそうだ)



西島秀俊や綾瀬はるかに、一発で簡単にのされそてしまいそうなほど、貧弱そうな小日向文世に、そんな公安のトップである威厳も貫禄も全くございませんでした。(声のトーンも高すぎて、この人じゃ見栄えも何もかもが役不足なのだ)



この映画『奥様は取り扱い注意』が公安やスパイ、アクションを取り扱うモノなら、こんなキャスト選びからして、そもそも大失敗している。



お金を払って映画館に出向いてほしければ、


アクションが出来るようなマトモな俳優や、下手くそでも、それを「やってみよう!」とする……そんな覚悟がある俳優を、キチンと連れてくるべきなのである。

(テレビの方は青木さやかなんて、かなり頑張っていた方である。映画なら、せめて吉川晃司真田広之でも連れてきなよ!誰だ?こんな役立たずの俳優ばかりを揃えたのは?!)



アクション映画に、


『口先だけでセリフを喋っている《口先俳優》は要らねー!』っつーの!



まだ、暴漢に襲われて、しこたまヤラれて病院送りになる『六平直政』さんの方が、よっぽど身体を張っておられるわ。(笑)



観終わって、こんな感想がフツフツと沸き起こってきた映画『奥様は、取り扱い注意』なのでございました。(だから、近年の邦画は、あまり取り上げたくないのだ。愚痴ばかりになってしまう。アニメに負けるはずだわ)



綾瀬はるかにとっては今年は、最悪な厄年なのかもしれない。


コロナに感染したり、それが原因でネット上で叩かれたり、マスコミにも下げ記事を書かれたり。(もう、踏んだり蹴ったり)



作品の方も、この映画の出来を観てしまうと、なんともフォローしにくい。(本人のせいじゃないだけに、本当に気の毒に思う)



それでも、私は綾瀬はるか嬢が好きなフアンの一人である。



はるか嬢には、世界の檜舞台で、是非とも活躍して頂きたいものである。(アホな下げ記事など、お気になさるな)



来年こそは、彼女にとって良い年でありますように……


こんな言葉を結びに終わりたいと思う。


2021年10月2日土曜日

映画 「秘密殺人計画書」

 1963年  アメリカ。




なにやら、ここ最近、どうも不思議な力で導かれているような………


昨年から急に、ロバート・ミッチャムバート・ランカスタートニー・カーティスの映画に突然ハマり出し、つい最近、クライヴ・ブルックの『上海特急』や、初めて観たジョージ・C・スコットの『チェンジリング』を大絶賛したばかり。


そうしたら、私の思考を読み解くように、こんな映画が、つい先日レンタル解禁になってるじゃございませんか。



遠い昔、推理作家である都筑道夫先生が絶賛していた幻の映画。


それがこの『秘密殺人計画書』。



この映画の主演が、ジョージ・C・スコットだったのだと今頃になって知る。(何という巡り合わせだ)


オマケに、この映画には、冒頭に並べたてた俳優たちが揃いも揃って、皆、出演しているのだという。(何ということでしょう!)


偶然?必然?

何やら薄ら寒い気がしてきた。(怖っ!(笑) )




英国は、広大な敷地をかまえる豪邸。


そこには、年老いた『グレネール侯爵』(クライヴ・ブルック)と、死んだ息子の嫁である『ジョスリン』(ダナ・ウィンター)、ジョセリンの息子『デレク』(トニー・ヒューストン)が、大勢の召使いに囲まれて、何不自由ない生活を満喫していた。


このグレネール侯爵とデレク少年、よっぽど気が合うのか……二人は、共通の趣味である狩猟で、ワイワイと盛り上がっている。(仲の良い爺様と孫)



そんな豪邸には、作家の『エイドリアン・メッセンジャー』(ジョン・メリベール)と英国情報部員である『アンソニー・ゲスリン』(ジョージ・C・スコット)の姿もあり、二人はゲストとして招待されていた。



やがて爺様と孫、ジョスリンの姿が大広間から消えると、これ幸いとばかりに、メッセンジャーはゲスリンに相談を持ちかけてくる。


「頼みがあるんだ、ゲスリン!この人物たちが、今、どこでどうしているか調べてほしいんだが……」


メッセンジャーが渡した紙切れには、10人の名前がズラズラ〜と書かれている。


まるで意味の分からないゲスリンだったが、「まぁ、取りあえずは調べてみても……」と、気乗りのしない様子で承知した。



だが、それからしばらくすると、メッセンジャーが搭乗した旅客機が上空で爆発するという大事故が起きてしまう。


どうも、搭乗前に手提げ鞄だけを預けて飛行機に乗らなかった不審な牧師がいたようだが……そいつが犯人なのか?!(時限爆弾を仕掛けた?)



唯一の生存者である男が、死ぬ前にメッセンジャーからの遺言を聞いているという。




オマケに、ゲスリンが、メッセンジャーに託された10人を調べてみると、6人が不審な事故死で亡くなっていた。


(こんなに偶然が重なるだろうか? 絶対におかしい………)


ゲスリンは英国情報部に、残りの4人の調査を依頼すると、自らは旅客機の生存者である『ラオー・ルボーグ』(ジャック・ルー)のいる病院へと向かって走る。


(メッセンジャーといい、他の死んだ6人といい……誰かが《事故死》を装いながら殺人を繰り返している!それを何としても阻止しなくては!!)



だが、こんなゲスリンの予想を先回りして、殺人犯(カーク・ダグラス)は、事故死を演出しながら、リストに書かれてある人物たちを、一人一人、順番に葬ってゆく。


それも巧みな変装で近づいて……




こんな感じで進んでいく『秘密殺人計画書』。


ジョージ・C・スコット演じる名探偵ゲスリンが、謎解きする本格ミステリーなのかと思いきや、早々に犯人カーク・ダグラスが変装を剥ぎ取って素顔を見せてしまうので、(アララ…)少々ズッコケた。



この犯人、

なぜ?何年もかけて、こんな手のこんだ《事故死》(殺人)を繰り返しているのか?!」というと、


《戦争中に自分が裏切者だった過去を知る人間を始末したかったから》だという。



じゃ、《なんで始末しなきゃならなかったか?》というと、


犯人は、冒頭に出てきた大金持ち『グレネール侯爵』(クライヴ・ブルック)の実の弟の息子で『ジョージ・ブルーム』(カーク・ダグラス)が、その正体だったのだ。(当然、目的は侯爵の莫大な遺産狙い



全ての証人を始末した『ジョージ』(カーク・ダグラス)は、意気揚々として、グレネール侯爵や家族の前に、素顔で現れるのだ。


「はじめまして…」なんて言いながら、何喰わぬ顔をして。



だが、そこには、正体も目的もとっくに気づいていた『ゲスリン』(ジョージ・C・スコット)がいる。(ヤレヤレ……ここまで頑張ってきたのに。ちょっと浅はかな犯人)



こんな甥のジョージを迎えて、広大な敷地で狐狩り大会が始まると、ジョージは「これを絶好の機会に…」と、またもや侯爵の命を狙おうとするのだが、そうは問屋がおろさない。



先手を打つのはゲスリン。


今度こそゲスリンが、ジョージを罠にかける番なのである。



映画は、こんなゲスリンの大逆転で見事に幕をおろして、中々面白かったです。


でも、

「どこにミッチャムやランカスター、トニー・カーティス、シナトラがいるんだ?!」と思いきや、ENDマークが流れた後に、それぞれが、順番に登場して、ゴムマスクをとっていく。


ジャジャ〜ン!



みなさん、見事に変装していたのでありました!(バート・ランカスターだけは、何となく怪しそうだったが、他は全然分からなかった)



 《↑女装したバート・ランカスター



あ〜、これがカメオ出演って意味だったのか。(それにしても有名な俳優さんたちが、よく引き受けてくれたよ)



監督はジョン・ヒューストン

『マルタの鷹』などでも有名な監督さんである。(このジョン・ヒューストンの実の息子が、デレク役のトニー・ヒューストンなのである)



謎は謎でも、こんな謎のある映画も、一応アリかな?


星☆☆☆☆。


※尚、『上海特急』を観たばかりのせいもあるが、クライヴ・ブルックの変わりように一番驚いた。(なんせ、《アレ》が《コレ》になるとは …… ツルツル頭のシワシワおじいちゃんも可愛いけどね (笑) )