活動期間1959年〜1997年。
いつの頃から、パッタリ!その姿を見かけなくなってしまった 松尾嘉代(まつおかよ)さん。(昭和生まれしか知らんだろうな)
完全に女優を引退しちゃったんだろうか。
俳優、女優の引退って、なんか素っ気ない。
主役級の大物俳優なら「次の作品で最後にする!」なんて大見得を切れても、その下に位置するような俳優たちには、そんな機会も与えられず、人知れず静かにフェード・アウトしていく感じがする。
歌手のようにフアンの前で《サヨナラ・コンサート》も出来ない。
精一杯、映画やブラウン管で演技をして楽しませてくれても、そんなフアンの感謝の言葉なんてのも、中々、本人たちには伝わりにくいものなんじゃないかな。
インター・ネットも存在しないような大昔なんて特にそう思う。
俳優や女優さんにとっては、演技する事も、孤独な作業の繰り返しで、時には堪らない気持ちを、ずっと抱えていたんじゃないのかな……なんて、自分なんか勝手に想像してしまうのだ。
だが、こんな松尾嘉代さんが出演した数々の作品たちは、ちゃんと、この世に存在していて、残してくれてるのだから、少しは救いもあるか……。
とにかく、よく観ていた《土曜ワイド劇場》には、主役級から脇役まで幅広く、松尾嘉代さんが出ずっぱりの時期があった。
片平なぎさを『サスペンスの女王』なんて呼称で呼んでいたものだが、《真》の女王は、この人をおいて、後にも先にも存在しないと思っている。
悪女役から汚れ役、時には裸身さえいとわない妖艶な美女。
かと思えば、ケタケタと笑うような明るい主人公まで……なんせ幅が広いのだ。
そんな松尾嘉代さんの演技に魅了されて、土曜ワイド劇場に出ていれば、いつしか釘付けになって観ていたものである。
《土曜ワイド劇場》からは『整形復顔サスペンス』なんて4話入ったBOXが出ていて、その内の2篇に松尾嘉代さんは出演している。
『整形復顔未亡人』
『整形復顔 女流デザイナー殺人事件』。(『整形復顔』なんて今考えれば、スゲ~!タイトル)
でも、まだまだ、こんなもんじゃないはず。
森本レオとコンビをくんだ『密会の宿』シリーズ(全8作)もあるし、『女たちの華麗な闘い(斗い)』シリーズだってあるはずなのだ。
特に『女たちの華麗な闘い(斗い)』のタイトルがつけられたモノは、今でも、たまにウズウズと観たくなってしまう。
●『女相続人の華やかな斗い! 看護婦が仕組んだ注射殺人 “婚姻届は知っている…”』(1985年)
●『アスレチッククラブ華麗な女の斗い スイミング・エアロビクス…女の園に紅い血が散る!』(1986年)
●『テニススクール 女たちの華麗な斗い!! 東京~南紀勝浦 豪華フェリー殺意の旅』(1989年)
●『マリンスポーツクラブ 女たちの華麗な闘い! 沖縄・久米島、さんご礁に殺意の罠』(1992年)
※コレ、ごく最近観ることが出来ました。
ラストに石田ゆり子と北詰友樹がモーターボートで去って行った後、松尾嘉代さんが一人残された砂浜で「チクショー!、チクショー!」と砂を握りしめながら叫び続けている。
そのまま海にズカズカ入ってくのが、なんとも印象的なドラマでした。(流石〜!)
●『ゴルフスクール 女たちの華麗な斗い 湯けむり山代温泉ツアーに殺意の影が忍びよる』(1993年)
病院、アスレチック・クラブ、テニス・スクール、マリン・スポーツ・クラブ(こんなクラブ、今もあるのか?)、ゴルフ・スクール………
このラインナップを見ただけで、まぁ楽しそうである。
女同士の戦いは、欲望を絡めた本音を隠して『裏の顔』で微笑みながら、陰で牙をむく……血みどろの戦い。(何となくニュアンス的には伝わるかしらん?土曜ワイド劇場的に言うなら、こんな感じである)
土曜ワイド劇場は、こんな功労者である松尾嘉代さんの為にも、
《松尾嘉代 土曜ワイド劇場傑作選 DVD-BOX》を発売するべきである。
今だに出ていないのが不思議なくらいなんだから。
こんな私のようなマニアックな変わり者は、大勢いて、かならず需要はあるはずだなのだ。(言い切る)
最後に「あの頃の土曜ワイド劇場、カムバ〜ック!!」と、叫んで終わりたいと思う。(まぁ、無理か (笑) )