1988年 アメリカ。
ごく最近(と言っても1年以上前だが)、ジョン・カーペンター監督の『要塞警察』を観て、ひたすら感心し、ここにも取り上げてみた事がある。
ジョン・カーペンター作品も、あの頃(80~90年代)に、日曜洋画劇場などで頻繁に放映されていたし、知ってもいた。
でも、白状してしまうと、ほとんどリアル・タイムで観ていないのだ。
スルーしていたのである。(今にしてみれば後悔してしまうが)
この、80~90年代は、まさに洋画の黄金期で、毎月出る作品、出る作品が、常に大当たりしていた時代。
ヒットなんて生易しい言い方じゃなく、どれもこれもが、当たり前のようにメガ・ヒットしていたのだ。
そんな時代に、映画の監督に注目するなんて事は、ほとんどしなかった。(スピルバーグなど一部をのぞいて)
シュワルツェネッガーやスタローンの出る作品はどれも面白くて、
エディー・マーフィー、マイケル・J・フォックス、ブルース・ウィリス、ハリソン・フォードなどなど………次々と看板スターの名前があがる。
それらのスターが出ているだけで《面白い映画》として、観る側の食指をくすぐって、牽引していたのである。
「あの俳優が出るなら、きっと面白いはず!」
大した情報もなく、こんな確信だけで、映画館の行列に並んだのだ。
ジョン・カーペンター作品の『スターマン』に出ているジェフ・ブリッジスや『ニューヨーク1997』のカート・ラッセルも、もちろん有名で知名度はあるが、それでも、よくてBか、Cランク。
前述に書いた名前の俳優たちは、皆がS級ランクであり、メガ・ヒット作品を、それぞれ持っていて、とても足元に及ばない。
そのくらい、この大きな差は、観客が「観るか、観ないか」を決める上では、確信であったり、確約だったりして重要だったのである。
だから、ジョン・カーペンターの映画が、たま~にテレビで放映されていたりしても、
「主演俳優、誰だ?全然知らんわ…」って感じで、簡単にスルー。(『要塞警察』も、今観ると面白いのだが、無名俳優たちばかり。そりゃ、よっぽどのマニアックな映画フアンじゃなけりゃ観ようとしませんって。)
「低予算でも工夫次第で面白い映画は、きっと作れるはず!」
確かに、それは立派であり、カーペンターの映画を観てみれば納得することしかりなのだが……。
でも、観客の口コミや多少の宣伝があって、ヒットはしても、メガ・ヒットにまで結びつかなかったと思う。
スター俳優の不在は、この壁を、とうとう乗り越えられなかったのだ。
ならば、スターを育成(ドン・シーゲル監督がクリント・イーストウッドを育てたように)すればよかったのだが、それも叶わずじまい。
今、現在じゃ、だいぶ不遇な扱いになりつつあるジョン・カーペンターなのである。
この『ゼイリブ』にしても観てみると、なかなか面白い。
宇宙からやってきたエイリアンたちが、いつの間にか人間になりすまし、紛れ込んだ世界。
それを「エイリアンか?、人間か?」を見分けるサングラスで、主人公が闘うストーリー。
でも、如何せん、主人公役のロディ・パイパーは、無名の俳優と思いきや、本業は、ただの《プロレスラー》。(当時も「誰だ?」と思ったものだが、よもやプロレスラーだったとは)
これじゃ、予備知識もない、あの時代に、多感な高校生が、これを積極的に観よう!としなかったのもお分かりいただけると思う。
他のキャストたちも、いずれも無名な人物ばかり。
唯一、この人どこかで……と思ったのが、女優のメグ・フォスターでした。
この人の、常人よりも特別薄い、青い瞳には、「以前、どこかで……」と見覚えがあったのだ。
で、「何に出ていたっけ~?」と考えていたら、やっと思い出した。
『ジェシカおばさんの事件簿』にゲスト出演してのを。(これも、ある意味、超マニアックな思い出なんだけど (笑) )
なんにせよ、面白い映画でも、観るまでの《とっかかり》って、大事だなぁ~、ってお話でした。
長々の《ひとりごと》でございました。