2020年 12月28日~30日(全3話)。
最近じゃ、テレビも、もうほとんど観ない日々。
そんな時、たまたま、この情報にぶちあたった。
『岸辺露伴は動かない』実写化ニュース。
実写化と聞いて、3年前の酷すぎる実写映画の悪夢が甦ってくる。
失礼だけど、観る前から、あの映画はコケるだろうと思っていたら案の定だった。
キャストも酷ければ、あのビジュアルも「何だこりゃ?!」の仕上がり具合だったし。
オマケに、監督も、あの●●さん。(『ジョジョ』に対して何の思い入れもない、来る仕事拒まずのお方でしょ?)
漫画の実写化は本当に難しい。
漫画の登場人物をそのままの格好で出せば、ただのコスプレか、仮装大賞。
特に、このジョジョの登場人物たちは、現実世界では受け入れにくいような奇抜なファッションに身を包んでいるのだから。
こんな格好の人たちが大勢で、街中を歩いていたら、ただの変人集団にしか見えないので、即、警察に事情聴取 (笑) 。
かといって、皆を普通の格好にしてしまえば、それも、また《ジョジョらしさ》を失ってしまう。
微妙な匙加減のビジュアル改変……このジョジョにおいては、まず、それをクリアする必要が充分にあるのだ。
それができなければ、まず失敗する。(ゆえに映画は大失敗した)
でも、これが頭を抱えるほど難関な問題。
だから、こんなのの、実写化なんて、相当自信がなければ、はじめから下手に手を出さないほう無難なのだ。
後、あの、膨大な長さの原作。
あれを二時間の映画の尺に縮めて収めようとするのも、まず無理!(第一章なんて謳い文句だったけど、そもそも何章までやるつもりだったのか)
あれだけの多い登場人物たち……主要人物だけに絞ったとしても、それぞれに備わったスタンド能力を説明するのに、二時間はゆうに超えてしまう。
いっその事、あの登場人物の中から、主要人物を何人かだけピックアップして、オリジナルのストーリーに仕上げた方が、まだ良かったのに。
こんな風に、あの映画を観た後、しばらくの間は、ブツクサと不満が止まらなかった自分。
で、それから数年経って今回の実写化。
(またか……)という思いと、(もしかしたら……)って思いが、微妙に交錯してしまい、とりあえずは「ダメで元々」と、おもいっきりハードルを下げて観てみると…………
アレレ……、中々良くできているじゃございませんか!!
岸辺露伴を演じた高橋一生のビジュアルも、ギザギザヘアバンドは濃い緑になって、あまり目立たないようになっているし(良かった、真緑じゃなくて)、服装も白いシャツに黒のダボッ!としたコートが似合っている。(漫画の露伴は、ピチピチした短いシャツに、腹出しファッション。これも相当変である。(笑) )
このビジュアルは、《アリ》なんじゃないの?と、まず感心してしまった。
編集者、泉京香役の飯豊まりえのリボンが、ちと大きすぎる気もするが、まぁ、ギリギリ許せる範囲かな。(でも、可愛いけどね)
物語は、ジョジョを全く知らない人にも、入っていきやすいよう無理なく改変されている。
岸辺露伴の能力『ヘブンズ・ドア』を《スタンド能力》と言わずに、《特別に与えられたギフト》と呼んでいるし、スタンドの実態を見せないのも、これはこれで、かえって良かったかも。
原作の中から3話を取り出して、個々の独立した話にまとめながらも、この3話でひとつの形にみせるような、粋なやり方も上手いなぁ~と、ホトホト感心。
脚本家誰なんだ?と思ったら、小林靖子さん。
テレビアニメ『ジョジョ』を担当したお方でした。
なるほど、『ジョジョ』の事を知り尽くしている方なら、この出来も納得かもしれない。
この実写に異論のある人もいるだろうが、自分は充分に楽しめました。
多分、第2弾もやるだろうが、それがあれば大いに期待したいと思う。
星☆☆☆。
※第2話『くしゃがら』の『志士十五(ししじゅうご)』役の森山未來さんは、さすがの名演技。
この話だけは、小説から借りてきた話なのである。
漫画の元々のビジュアルも無くて、それでいて荒木飛呂彦の世界観に似合った登場人物に近づけるのは、本当に至難の技。(とにかくアクの強い登場人物が多いので)
今回、実写化の意義があるなら、これこそ、本当に感心してしまいました。