1993年 アメリカ、フランス、日本合作。
元々は、冬の寒い時期に公開されるべき映画だった『クリフハンガー』である。
だが、日本での扱いは酷くて、公開は真夏の8月。
映画ポスターさえも、スタローンの顔写真は雪山の下に小さいサイズで写っているだけだった。(これには本人も当時ショックだったようだ)
70年代にデビューしたシルベスター・スタローン。
生まれつきの障害がありながらも、それを克服し(産科医の失敗で顎、舌、唇を傷つけられて言語障害が残るという酷い障害。酷いヤブ医者である)、下積みと苦労を重ねながら、自ら脚本を書いて主演した『ロッキー』で、見事アメリカン・ドリームを我々に体感させてくれた。
『ロッキー』はシリーズ化され、もうひとつの代表作『ランボー』もヒットする。
そんな時に、突然、あの男が現れる。
アーノルド・シュワルツェネッガー……
同じように、筋骨隆々の肉体を武器にして『コマンドー』やら『ターミネーター』などで次々とヒット作を打ち出してくる。
同じ時期に、同じように肉体を売りにする俳優…… 二人は当然、世間に比べられた。
「どっちが好きか?」とか、「どっちの作品が良かったか?」なんてのを、メディアは連日比べて騒ぎ、一般人たちも、そんな会話で始終、盛り上がっていた。(かくいう自分もそうでした)
だが、やがて、その対決はシュワルツェネッガーの方へと風向きが変わってくる。
全くハズレがないのだ。
出る作品、出る作品、ことごとく大ヒットする。(※その主な理由は『トータル・リコール』に少し書いているのでご参照下さい)
一方、スタローンは立て続けに興行的にも失敗続き。
『ロッキー4』、『ランボー3』は興行的にも失敗し、酷評される。
ならばと、アーノルド・シュワルツェネッガーの『ツインズ』のようにコメディーに活路を見いだそう!としたスタローン。
『刑事ジョー ママにお手上げ(1992)』、これがとどめの大惨敗だった。(やっちまったなぁ~)
世間の風当たりも、しだいに強くなり、
「もはや、ダメなんじゃないか?スタローンも……」なんて声があちこちから囁かれはじめた。
そんな翌年に公開されたのが、この『クリフハンガー』。
だが、そんな声を裏目に映画は大ヒットした!
不屈の男シルベスター・スタローンは、どんな時でも「あきらめない!」のだ。
雪山の山岳救助隊に成りきるために、ロッククライミングが出来るよう、徹底的に肉体改造を行った。
映画は、ロッキー山脈に不時着した強盗団と、そこで山岳救助隊として働く『ゲイブ』(シルベスター・スタローン)との命がけの死闘である。(体力勝負だけでなく、この雪原の寒さ …… もう凍傷になりそうである)
たまたま映画館で鑑賞したこの映画だったが、当時は大興奮したものだ。
「やったー!スタローン復活!」
この映画がシルベスター・スタローンを見事、再起させたのだった。
興行的にも大成功をおさめ、皆が手のひらを返したように誉め称えた。(もちろん酷い扱いをした日本の興業会社も)
アーノルド・シュワルツェネッガーが、自分の資質だけで突き進む人なら、シルベスター・スタローンは『努力の人』。
自分で脚本を書き、主演し、常に模索しながらも前向き。決して向上心を失わない。
ダメダメな自分は見習いたいものである。
もちろん、ワタクシめは、どちらかというとシルベスター・スタローン派。
もちろん、映画は星☆☆☆☆である。
男なら、スタローンの映画を1度は観るべき。
オススメしときますね。