1968年 アメリカ。
サンフランシスコ市警察に所属する『フランク・ブリット』(スティーブ・マックイーン)は、ある朝、仲間のテルゲッティー警部に叩きおこされた。
『チャルマース上院議員』(ロバート・ヴォーン)のご指名で、裁判の重要証人となる『ジョン・ロス』の護衛に任命されたのである。
『テルゲッティー警部』と、もう一人『スタントン警部』、それに『ブリット』の3人がかりで、ホテルに隔離されているジョン・ロスを交代で、裁判が始まるまでの40時間警備するのだ。
ジョン・ロスは、マフィアの組員らしくて、つねに殺し屋に狙われているらしい。
だが、スタントンが交代の時、当のジョン・ロスはドアをうっかり開けてしまい、謎の殺し屋に射たれてしまう。
スタントン警部も、足を撃たれて重症。
すぐさま、ブリットとテルゲッティーは救急車を呼んだ。
二人が一緒に病院の待合室にいると、例のチャルマース議員が血相を変えてやってくる。
「どういう事なんだ?!いったいどんな警備をしていたんだ!!」
ブリットを怒鳴り散らすチャルマース議員。
散々、無能呼ばわりしてイヤミを言うと、やっと清々したのか、チャルマース議員は帰っていった。(イヤな野郎だ)
だが、その病院にも殺し屋が、とどめをさしにやってくる。
追いかけるブリットだったが、すんでのところで、(アララ)またもや取り逃がし。
しかも、ジョン・ロスは集中治療室で治療のかいなくも、あっさり死亡してしまったのだった。
万事休す!
どうする?ブリット?!
ブリットは医者に、
「しばらくの間、ロスが死んだ事をふせてくれないか?」
と頼みこんだ。
犯人にも、警察の上層部にも、ジョン・ロスが既に死んでいる事をまだ知られたくない。
ブリットの懸命な頼みに医者もなんとか承諾してくれた。
そうして、ここから、ブリットの孤独な捜査がはじまるのである ………
今から50年以上前、スタジオセットを組まず、オールロケで、撮ったこの映画は、その後の刑事ドラマや映画の常識を根底から変えてしまった。
監督とマックイーンが目指したのは、徹底した《リアリティー》の追求。
マックイーン自ら、フォードマスタングGT390を操って、サンフランシスコの町中を猛スピードで疾走する。
殺し屋との、追いつ追われつのカースタントは迫力満点。
マックイーンの運転する車は、相手の車に体当たりする。
そうして殺し屋の乗った車は、そのままガソリンスタンドに突っ込んでいって大炎上!大爆発!!
マックイーンのマスタングは、反対車線に勢いよく飛び出しながらも、あわやのところで、スピンしながらも、なんとかギリギリセーフ!(今、観ても、なかなかのド大迫力である)
そんな爽快なカー・アクションがあるかと思えば、呼ばれもしないのに、いちいち現れる『チャルマース議員』(ロバート・ヴォーン)には、本当にイライラさせられる。
小姑みたいな性格で、ただ嫌味を言うためだけに頻繁に現れるこの人って …… いったい。(途中まで、「こいつが犯人でもいいんじゃないか?」と、思ったくらいだ。チョー憎たらしい)
でも、真犯人は別にいて、
突然現れた『レニック』という男。
で、本当のジョン・ロス。(いきなり誰?ってな感じ)
大金を渡して、ニセ者に『ジョン・ロス』を演じてもらっていたのだ。(それを知らないニセ者は、全くの殺され損)
自分自身は名前を変えて、サンフランシスコ空港から高飛びする計画だったのである。(手間のかかる事を………この辺がややこしくて、何度観てもこんがらがってくる)
このカラクリを解いたブリット。
空港に駆けつけると、やっと見つけた真犯人を追いかける。
空港の滑走路を、ジェット機を避けながら走る二人。(あぶねぇ~)
その後は、人混みのゲートに汗だくで紛れ込む真犯人。
ブリットの銃は、そこで犯人を捕らえると、やっとトドメの一撃を放つのであった ………
後年、次々作られるポリス映画に、影響をあたえたほどインパクトは大なのだが………やはり、今、観るとアクション以外の、ストーリー運びやドラマの部分が、ちょっと弱いかな。(特に真犯人の描き方も)
私なら嫌味な議員『チャルマース』(ロバート・ヴォーン)を真犯人役にして、とっとと撃ち殺してしまいたいけどねぇ〜(笑)
今なら、マックイーンのプロモーションビデオくらいの気持ちで、軽〜く見てほしい映画だろうか。
星☆☆☆。