2014年 アメリカ。
『コリン・エヴァンス』(イドリス・エルバ)は、5人の女性を次々と殺したが、警察は、それを立証できなかった。
だが、その後、バーでの痴情のもつれによる乱闘騒ぎで、男を殺してしまい、現行犯で逮捕されたのだ。
ー そして5年の服役。
刑務所では、模範囚として過ごしてきたコリンにチャンスがめぐってきた。
仮釈放申請の為、テネシー州の審査委員会にかけられる事になったのだ。
メディアは、そんな殺人鬼コリンが、わずか5年で出所してくるんじゃないかと、朝から騒いでいる。
刑務所から、テネシー州まで長い距離を護送され、ズラリ並んだ審査委員の前に座らされて、懸命に自分の弁明をするコリン。
「バーでは馬鹿な事をしました。でも、あの時死んでいたのは、自分だったかもしれない……。刑務所では反省しました。囚人たちに字も教えました。私にチャンスを下さい!お願いします!」
必死のコリンの弁明は、一人の委員の反対で簡単に却下された。
「スミマセン、エヴァンスさん。全員一致が条件ですので……また、5年後に…」
帰り道の護送車の中、コリンは絶望していた。
(…… 後、また5年だと?嫌だ!戻りたくない!)
コリンは、護送中の警官ピートを、隙をみて羽交い締めにすると、ピストルを奪った。
そしてためらいなく、警官や運転手を射殺したのだった……。
同じ時刻、ジョージア州アトランタ。
『テリー・グレンジャー』(タラジ・P・ヘンソン)は、産まれたばかりの赤ん坊と、幼い娘ライアンの世話に悪戦苦闘していた。
夫のジェフリーは、子育てに無関心で、今夜は夫の父親の誕生日で留守になる。
(…それに、なんだか、ここのところ冷たいし……イヤ!子供たちにとっては良い父親なんだから……)
テリーの暗い気持ちを吹き飛ばすように、近所をランニングしてきた親友のメグが、明るくひょっこり現れた。
「今日は、ジェフリーも居ないし、後で来ていいかしら? 今晩、女同士で呑みましょうよ!とっておきのワインを持っていくわ!」
明るいメグ…そんなメグとのお喋りは、つかの間、テリーを元気づけた。
(だけど、今夜は嵐になるはず……)
空は暗く、重い雲で覆われ始めていた。
逃走したコリンが、向かった先は逮捕される前に付き合っていた恋人のところだった。
コリンが奪った車で駆けつけると、ちょうど恋人の浮気現場に遭遇してしまう。(なんて間が悪い)
頭に血がのぼったコリンは、家に帰り着いた恋人を滅多殺しにした。(こんなのを見ると減刑却下は正解かも)
大雨の嵐の中、車で立ち去るコリン。
だが、車をぶつけてしまい、降りるとコリンは雨の中、歩き出した。
しばらくすると、近くに灯りがみえる。
それはテリーと子供たちが住んでいる家だった。
インターホーンを押すと、中からテリーが現れた。
「どうしたの?」
「スミマセン、車が壊れてしまって電話をお借りしたいのですが……携帯を忘れてしまって……」
ずぶ濡れのコリンが申し訳なさそうにいうと、根っから人の良いテリーは、電話を貸して、レッカー車を呼ぶまで、ここにいればいいと言ってくれた。
「とにかく中に入って!」
テリーは、殺人犯コリンを中に引き入れたのだった……。
イドリス・エルバが、凶悪殺人鬼に扮して主演したサスペンス。
まだまだ、主演は少ないが、ここ最近、なぜかこの人に、スポットがあたりはじめている。
何だろう、突然のこの人気は…?
米ピープル誌の「もっともセクシーな俳優」に選ばれる。(黒人ではデンゼル・ワシントン、ドウェイン・ジョンソンに続いて三人目)
出演作も「マイティーソー」、「アベンジャーズ」、「スター・トレック」、果ては、最近では「ワイルドスピード」までかりだされている。(まぁ、主演じゃないのだが)
ダニエル・クレイグの007の後釜に、この黒人のイドリス・エルバの名前があがり、本人も悪い気はせず、オファーがあれば、「考えてみる」と言ってるらしいが…。(現在46歳で、本人も年齢的な事もあり、まぁ、少しだけ消極的)
見た目、普通のオッサンに見えるのだが(こんな事言うとアメリカ人に袋叩きにされるだろうか)
それでも現在のアメリカ人は、イドリス・エルバが大好き。
性格がいいのかな?
よく分からないが、多分、今、人生の追い風が吹いているのだろう。
この映画のタイトルを借りれば、『善き人には幸運が訪れる』ってところだろうか…。
これから、この人が、前述のように、デンゼル・ワシントンやドウェイン・ジョンソンのいる位置まで、本当にかけあがる事ができるか、どうか、主演作があれば見守ってみたいと思います。
あ、そうそう、映画は、よくある展開の、どこかで観たような普通のサスペンスでした。
退屈はしなかったけどね、星☆☆。
(それにしてもねぇ~アメリカ人の趣味はわからん。極々普通のオッサンに見えるのだが)←まだ言ってる