2019年5月9日木曜日

映画 「ゴーストライター」

2010年 フランス、イギリス、ドイツ合作。







ロマン・ポランスキーの政治サスペンス。



この映画は、当時、ヨーロッパ映画賞やらセザール賞やら受賞して絶賛されていた。



主役のゴーストライターにユアン・マクレガー。


英国元首相ラング役をピアース・ブロスナン




ゴーストライター(ユアン・マクレガー)が、引退したラングの自叙伝を書くために、急遽、呼ばれるのだが、前任のゴーストライターの不審死を知り、導かれるようにラングに隠された秘密に迫る………そんな話。






なるほど、面白いかも。




そんな熱気に推されて、ロマン・ポランスキーの映画なんて、全く観た事もない自分も、「そんなに評判がいいのなら…観てみようか…」という気持ちになり、観たのであるが……。




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もともと、政治に疎い事もあるが、映画が終わって、最後の謎解きが明かされても、「???」のクエスチョン・マークだらけ。




(※この映画を見ていない方は、ここから先はネタバレになるので、見ない方がいいかも)






ネタバレになるが、前任のゴーストライター、マカラが執筆した自叙伝には秘密があった。




冒頭の文を繋ぎ合わせて読んでいくと、【ラングの妻ルースは、勧誘されてCIAの局員になった。エメット教授によって】っという意味が隠されていたのだ。




それをゴーストライター(ユアン・マクレガー)が最後に気づいた。




ってのが種明かしなのだが、最初、この映画を観た時、自分の頭が悪いのか、



「だから、それが何なの?、そんなにひた隠すほどの秘密なの? これが驚くような謎なの?」っと単純に思ってしまった。



普通の演劇青年だったラングが、現在の妻ルースと知り合い、結婚する。



だが、ルースはCIAのエメット教授なる人物に、そそのかされて洗脳されてしまう。(こんな騙されやすい女イヤだ!)



そうして自らCIA局員になり、陰で夫を操りながら英国首相まで登りつめさせる。(夫も夫で、妻がCIA局員なのに離婚もせずに、ホイホイ妻の言いなりで、なりたくもない政治家人生を送るなんて、主体性もなく優柔不断である)




そして、この馬鹿な夫婦は、アメリカの国益になるように(CIAはアメリカの情報機関)、英国首相の立場を最大限に利用し、売国奴になり下がるのだ。



イギリス国民は、この馬鹿な夫婦に完全に騙されていたのでした、チャンチャン!


っていうのが、この映画の真相。






こんな風な書き方をすれば、「へ~え、そんな壮大な秘密を隠し持っていたんだ~」とか、「そりゃ、前任のゴーストライターも殺されるわ」と思うかもしれない。


でも、自分には全然ピンとこなかったし、どこが面白いのかも分からなかった。





そもそも、こんな秘密を抱えた夫婦が、わざわざ【自叙伝】なんてものを書くのかねぇ~?



書こうとするなら、まるで自殺行為だ。(ゴーストライターでも、なんでも書こうとすれば、CIAの横槍で、絶対に止めさせようとするはず)




それでも強引に書いて出版しようとするなら、ラングならず、妻のルースもろとも、アメリカは、危険を感じて排除しようとするはずである。



それにイギリスには、イギリス秘密情報機関MI6がある。




この馬鹿なラング夫婦とエメット教授なる人物の動向に不審を感じて、とっくに目を光らせるかもしれない。




これを、かつてMI6の007を演じたピアース・ブロスナンにやらせるなんて…… なんて皮肉なのだろう。



それにしても、こんな話が、万人受けして絶賛されて、ポランスキーの看板で賞をとるのだから世の中、分からない。




確かに雰囲気はいいですよ、それは認めます。



でも、この淡々とした雰囲気と音楽、ポランスキーの画面つくりに、皆が騙されていませんかね?





ロマン・ポランスキーには、自分の『自叙伝』を撮って頂きたい。


波瀾万丈の人生 … 世界中の人が映画で観たいにちがいないから。