1985年 アメリカ。
『マーティ・マクフライ』(マイケル・J・フォックス)は17歳の高校生。
夢はミュージシャンになって成功する事。
顔もハンサムで、運動神経も抜群。
スケートボードも自由自在に乗りこなしちゃったりする。
で、当然、美人の彼女『ジェニファー』なんてのもいる。(充分恵まれすぎだと思うのだが………身長が163cmじゃ………。つくづく神様は公平な方よ)
こんなマーティの悩みは両親のダメダメさ。(自分の身長じゃないのか?(笑))
「やい!マクフライ!靴ひもがほどけてるぞ!」
今日もマクフライ家に押し掛けてきては、父親『ジョージ』は、昔馴染みの『ビフ・タネン』(トーマス・F・ウィルソン)に馬鹿にされて、からかわれている。
「えっ、本当?」と、靴を見ようと、何の疑いもなく、下を向くジョージの頭を、ボコン!
「馬鹿か?お前、何度同じ手にひっかかるんだ?!ああ~ん?」
もうビフは、やりたい放題だ。(これ『ドラえもん』の『ジャイアン』そのままじゃないか?)
ジョージはジョージで、「まいったなぁ~」と怒りもせずにヘラヘラ笑っている。(こっちは、まんま『のび太』じゃん)
マーティの父親を見るジト目。
そんなものにもジョージは気づかない風である。
こんな冴えない父親ジョージと、なぜ?母親の『ロレイン』(リー・トンプソン)は結婚したんだろう?
マーティの疑問も、今じゃ、太ってだらしのない体形の母親ロレインの姿を見れば、何となく納得してしまった。
そして、これまた兄弟は、冴えない兄と姉である。
冴えないダメダメ一家に、「トホホ………」の心の声のマーティ。
そんなマーティに1本の電話が。
「マーティ、今夜1時15分にアーケードの前に来てくれ!ある実験の為に助手が必要なんだ!」
変わり者の科学者、『エメット・ブラウン博士(通称《ドク》)』(クリストファー・ロイド)からだ。
母親に「あんな変人と付き合ってはダメよ!!」と言われても、マーティは、ドクの実験室に入り浸りしていたし、ドクの事が気に入っていた。
「あぁ、分かったよ」
深夜、スケボーを走らせながら、無人の暗いアーケードに、一台の大型トラックが。
荷台の後ろから、スローブが下ろされると、これまで見た事もないようなデザインの珍妙な車が降りてくる。
「な、何なの?それ!!」
「私が生涯をかけて発明した《タイムマシン》のデロリアンだ!」
ドクの愛犬アインシュタインを乗せると、デロリアンは、ドクのリモコン操作で、方向を変えて走り出した。
ドンドン加速して走るデロリアン。
「私の計算が正しければ、時速140キロを越えると………」
デロリアンのタイヤは火花を放ち、周り中に電光がはしり、そして消え去った。
「ウソでしょー!!」アングリ顔のマーティの横で、ドクは嬉々としている。
「やったぞーーー!実験は大成功だ!!」
そして別次元から、再び、現れたデロリアン。
なんと!このデロリアン、核燃料のプルトニウムを燃料にしているのだ。
「そんなモノをどうやって調達したんだ?、ドク?!」
過激派の奴らを騙して、手に入れた事を、ドクは悪びれもなくマーティにペラパラ喋りだした。(犯罪でしょ、それじゃ)
そんな騙された過激派たちは、案の定、カンカンに怒ってやってきた。
「よくも騙しやがって!死にやがれ!!」
機関銃が火をふき、呆気なく撃たれて倒れるドク。
「ドクーーーーッ!!」
過激派たちは、マーティの姿を見つけると、ドクの仲間だと思って、車で追いかけ回しはじめた。
たまらず、デロリアンに乗り込むマーティ。
逃げる為にマーティの車は、ドンドン加速して、そして暗闇の中に消え去る。
時を越えて、たどり着いた場所。
そこは1955年の世界 …………
もう、前回のロバート・ゼメキス監督の『フォレスト・ガンプ』を挙げたら、
「次は出世作の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でしょ!」って、安易な感じで、これも何十年ぶりに、再生して観始めた次第。
「懐かしい~」、という想いと同時に、あれから既に35年以上の月日が経ったのか……と、いう恐ろしい現実にゾッ!とした。
まるで、デロリアンに乗って、意識だけが未来にたどり着いた自分が、遠い過去をふりかえっているような奇妙な錯覚。
あの頃、こんな未来が待ち構えていようとは想像すらしなかった。(ヘビーすぎる現実)
そして、ここに、これまた長々と前置きを書いてみたのも、もはや、この『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を知らない世代がウヨウヨいるはず。
そのくらい長い月日が過ぎたのである。
主演のマイケル・J・フォックスさえ、知ってる人も少なくなってきたかもしれない。
★マイケル・J・フォックス ……… 以前、ここで取り上げた『処刑教室』では、マイケルじゃなくて、マルマルだった。(ポッチャリ)
それから努力してダイエットしたのかな。
テレビドラマ『ファミリー・タイズ』のレギュラーになって、たちまち売れっ子。
トントン拍子に、この『バック・トゥ・ザ………』の主役を勝ち取って、大ブレイクしたのである。
日本でも、その人気は凄まじく、映画専門誌『ロードショー』や『スクリーン』では、マイケルの見開きピンナップ写真や特集が、毎号掲載されるほど。
とうとう、日本のCMにまで出演。
バック・トゥ・ザ・フューチャーのテーマソング、『パワー・オブ・ラブ』(by ヒューイ・ルイス)の曲にのせて、「カッコインテグラ」の台詞。(安易なダジャレ)
でも、女達は、そんなダジャレにも「キャァー!マイケルぅー!」の黄色い声援をおくっていたのだった。
そんな絶好調だったマイケルが、まさか、この後、難病のパーキンソン病にかかってしまうとは……。
突然、襲ってくる激しい震えで、映画出演すら困難になり、現在は半端、引退状態。
でも、その難病と向き合い、闘い続けているマイケルなのでありまする。(ガンバレー!!)
★クリストファー・ロイド ……
この時代、クリストファー・ロイドも大活躍していた。
『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役は大当たりしていたし、
『アダムス・ファミリー』のフェスターも、まさにハマり役だった。
私、この人、とっくにお亡くなりになってしまっていると、勝手に勘違いしていたのだが(失礼)………
なんと!2020年の現在も生きておられました。(81歳で)
ゲゲッ!!
と、いう事は単純に計算しても、1985年の、このドク役の時は、まだ 46歳 だったの?
ウソでしょー???
どう見たって、70歳以上に見える!!(これまた失礼)
アダムス・ファミリーのフェスターにしたって、全然46歳に見えない。
で、現在が、この姿である。
あんまり変わってない。(不老不死かよ (笑) )
若い時から老けてると、歳をとってから案外得なのかもね。
こんな二人を観ていると、あの当時の自分の姿も、段々と甦ってくる。
不安だった未来。……この先、自分の未来を、少しでも覗けたら、どんなに気が休まるだろう、と毎日考えていた日々。
そして、現在。後悔ばかりの過去………過去に行って、あの曲がり角を曲がらないように自分に注意してやれたら………。
自分にもデロリアンがあればねぇ~。
そんな事をウダウダ考えながら、観ていると、途端に、ある場面に遭遇して、シビレた。
1955年に行ったマーティに、若い時の母親ロレインが一目惚れしてしまう。
このままじゃ、未来の夫であるジョージと結婚しないかもしれない。
マーティの懐に持っていた、自分自身が写っている写真の姿が、次第に薄くなっていく。
自分の存在が消えてゆく………
過去が変われば、未来も変わるかもしれないのだ。
これですよ!これ!!
以前、『ターミネーター:ニュー・フェイト』で、書いた整合性について、私が言いたかった事は!
この『バック・トゥ………』は、それを、ちゃんと踏まえた上で、未来と過去の繋がりを的確に描いているじゃございませんか!!
ジェームズ・キャメロンも映画会社も、『ニュー・フェイト』をつくる前に、この『バック・トゥ……』を観て、ちゃんと勉強してほしいよ。
映画のラスト、ロレインとジョージは何とか結ばれるのだが、恋のはじまり方は、少々変わってしまった。
でも、その《少々》が、マーティが戻った1985年では、大きく変わっている。
自信満々の父親と素敵な母親の姿。
そして、あれだけ威張り散らしていたビフは、逆に情けない男に変貌している。
《過去が変われば、未来は変わる》
脚本も監督も、少しのズレも見逃さず、誰もが納得するような未来を、我々に呈示して、見せてくれるのだ。
これから先、トンチキなタイム・パラドックス映画を作ろうとするなら、この映画は最適。
業界人たちは、お手本として、必ず観るべきである。
その手の教材としては超一級品なのだから。
業界人たちは、お手本として、必ず観るべきである。
その手の教材としては超一級品なのだから。
文句なしの、星☆☆☆☆☆なのであ~る。
※そして、こうして書きはじめた『バック・トゥ・……』レビューは、もちろん、グダグダと《 part Ⅱ 》へ続くのである。