Ⅰ、Ⅱ、Ⅲは、傑作として終了した。
これで完璧なのだ。
だが…………数年も経てば、やって来る奴らが、必ずいる。
金に群がる亡者たちだ。
「バック・トゥ・ザ・フューチャーのPART Ⅳを作りませんか? きっと次も成功するはずですよ!」
「いや、結構です。」ロバート・ゼメキスはキッパリとお断りする。
ならばと、あの手この手を使ってくるハイエナたち。
製作総指揮だったスピルバーグに近づいて、ゼメキスを説得するように話をもってきたり、嘘のフェイク・ニュースを流してみたり。
考えつくことは、全て実行する。
そして、再度、ゼメキスを説得。
「マイケルも難病だし、他の出演者たちも歳をとってしまっている。無理でしょう」やんわり断るゼメキス監督。
「ならば、リメイクはどうでしょう?主役を若手の俳優に変えて、現代風に、もう一度作るんですよ!必ず、また大ヒット間違いなしですよ!!」
こんな提案や説得に、心動かされて、ホイホイのってしまう監督やプロデューサーが多い事よ。
でも、我らがロバート・ゼメキスは、信念を貫く。
答えは「NO!!」だと。
いずれ、こんな展開になるのを予想していたのか………脚本家のボブ・ゲイルも監督のロバート・ゼメキスも。
彼らは、「我々、二人の同意なしでは、続編も、リメイクも、作る事は不可能」と、ちゃんと、ユニバーサル映画との間に契約書を作って、サインしていたのだ。(さすが、アメリカ。しかも二人供しっかりしていること!)
無断で、「バック・トゥ……」の続編やリメイクなんて、脚本家のボブ・ゲイルや、監督のロバート・ゼメキスの同意がなければ、絶対に無理な話なのである。
ロバート・ゼメキスは言う。
「映画は完璧だったんだ。これ以上、何を望む?」と。
《ロバート・ゼメキス監督とマイケル・J・フォックス(1985)》
マイケル・J・フォックスも言う。(マイケルも契約書にサインしたのかな?)
「ボブと僕が亡くならないかぎり、実現はありえないね。
その時が来たらリメイクされるかもしれない。
僕にとっては腹立たしいことだけどね。
"『市民ケーン』をリメイクしよう。でも誰がケーンを演じる?"と言うようなものだよ。
それは、なんて愚かで、狂ったことだろうか。誰がそんなことするんだ?」
全くもって同感である。
何でもかんでも、続編やら、リメイク、リブートをする時代に、そんなものに揺らぐ事なく、反骨精神で信念を貫く男たち。
カッコイイじゃないですか!!
底の浅い考えしか持たない、ハリウッドの映画人たちは、少しは、この3人を見習ってほしいと思う。
そうして、もはや結果も出ている。
『ロボコップ』も『ターミネーター』も、『チャーリーズ・エンジェル』も、『ゴースト・バスターズ』も、『スパイダーマン』も、リメイクやリブートは、全て大惨敗。
そうして、そんなリメイクやリブートの失敗作に出演させられた俳優たちの末路は、ことさら哀れなものである。
ロバート・ゼメキス監督や、脚本家のボブ・ゲイルには、引き続きその精神を貫いてほしい。
観たくなったら、このオリジナルの三作を観れば宜しい。
それで充分なのである。
ロバート・ゼメキス監督やマイケルが、この『バック・トゥ…』で語ってる事が、まるで最近、自分が思っている事を、全て代弁してくれているようで、嬉しく思いました。
『バック・トゥ……』よ、永遠なれ!
お粗末様。