ホーム

2020年5月9日土曜日

映画 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」

1985年 アメリカ。






『マーティ・マクフライ』(マイケル・J・フォックス)は17歳の高校生。



夢はミュージシャンになって成功する事。

顔もハンサムで、運動神経も抜群。

スケートボードも自由自在に乗りこなしちゃったりする。



で、当然、美人の彼女『ジェニファー』なんてのもいる。(充分恵まれすぎだと思うのだが………身長が163cmじゃ………。つくづく神様は公平な方よ)



こんなマーティの悩みは両親のダメダメさ。(自分の身長じゃないのか?(笑))



「やい!マクフライ!靴ひもがほどけてるぞ!」


今日もマクフライ家に押し掛けてきては、父親『ジョージ』は、昔馴染みの『ビフ・タネン』(トーマス・F・ウィルソン)に馬鹿にされて、からかわれている。



「えっ、本当?」と、靴を見ようと、何の疑いもなく、下を向くジョージの頭を、ボコン!


「馬鹿か?お前、何度同じ手にひっかかるんだ?!ああ~ん?」


もうビフは、やりたい放題だ。(これ『ドラえもん』の『ジャイアン』そのままじゃないか?)



ジョージはジョージで、「まいったなぁ~」と怒りもせずにヘラヘラ笑っている。(こっちは、まんま『のび太』じゃん)




マーティの父親を見るジト目。


そんなものにもジョージは気づかない風である。



こんな冴えない父親ジョージと、なぜ?母親の『ロレイン』(リー・トンプソン)は結婚したんだろう?




マーティの疑問も、今じゃ、太ってだらしのない体形の母親ロレインの姿を見れば、何となく納得してしまった。



そして、これまた兄弟は、冴えない兄と姉である。


冴えないダメダメ一家に、「トホホ………」の心の声のマーティ。



そんなマーティに1本の電話が。

「マーティ、今夜1時15分にアーケードの前に来てくれ!ある実験の為に助手が必要なんだ!」



変わり者の科学者、『エメット・ブラウン博士(通称《ドク》)』(クリストファー・ロイド)からだ。



母親に「あんな変人と付き合ってはダメよ!!」と言われても、マーティは、ドクの実験室に入り浸りしていたし、ドクの事が気に入っていた。



「あぁ、分かったよ」


深夜、スケボーを走らせながら、無人の暗いアーケードに、一台の大型トラックが。


荷台の後ろから、スローブが下ろされると、これまで見た事もないようなデザインの珍妙な車が降りてくる。



「な、何なの?それ!!」


「私が生涯をかけて発明した《タイムマシン》のデロリアンだ!」



ドクの愛犬アインシュタインを乗せると、デロリアンは、ドクのリモコン操作で、方向を変えて走り出した。


ドンドン加速して走るデロリアン。


「私の計算が正しければ、時速140キロを越えると………」


デロリアンのタイヤは火花を放ち、周り中に電光がはしり、そして消え去った。



「ウソでしょー!!」アングリ顔のマーティの横で、ドクは嬉々としている。


「やったぞーーー!実験は大成功だ!!」




そして別次元から、再び、現れたデロリアン。


なんと!このデロリアン、核燃料のプルトニウムを燃料にしているのだ。


「そんなモノをどうやって調達したんだ?、ドク?!」


過激派の奴らを騙して、手に入れた事を、ドクは悪びれもなくマーティにペラパラ喋りだした。(犯罪でしょ、それじゃ)



そんな騙された過激派たちは、案の定、カンカンに怒ってやってきた。


「よくも騙しやがって!死にやがれ!!」

機関銃が火をふき、呆気なく撃たれて倒れるドク。



「ドクーーーーッ!!」


過激派たちは、マーティの姿を見つけると、ドクの仲間だと思って、車で追いかけ回しはじめた。


たまらず、デロリアンに乗り込むマーティ。



逃げる為にマーティの車は、ドンドン加速して、そして暗闇の中に消え去る。



時を越えて、たどり着いた場所。


そこは1955年の世界 …………




もう、前回のロバート・ゼメキス監督の『フォレスト・ガンプ』を挙げたら、

「次は出世作の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でしょ!」って、安易な感じで、これも何十年ぶりに、再生して観始めた次第。



「懐かしい~」、という想いと同時に、あれから既に35年以上の月日が経ったのか……と、いう恐ろしい現実にゾッ!とした。



まるで、デロリアンに乗って、意識だけが未来にたどり着いた自分が、遠い過去をふりかえっているような奇妙な錯覚。



あの頃、こんな未来が待ち構えていようとは想像すらしなかった。(ヘビーすぎる現実)




そして、ここに、これまた長々と前置きを書いてみたのも、もはや、この『バック・トゥ・ザ・フューチャー』を知らない世代がウヨウヨいるはず。


そのくらい長い月日が過ぎたのである。



主演のマイケル・J・フォックスさえ、知ってる人も少なくなってきたかもしれない。






マイケル・J・フォックス ……… 以前、ここで取り上げた『処刑教室』では、マイケルじゃなくて、マルマルだった。(ポッチャリ)


それから努力してダイエットしたのかな。



テレビドラマ『ファミリー・タイズ』のレギュラーになって、たちまち売れっ子。


トントン拍子に、この『バック・トゥ・ザ………』の主役を勝ち取って、大ブレイクしたのである。


日本でも、その人気は凄まじく、映画専門誌『ロードショー』や『スクリーン』では、マイケルの見開きピンナップ写真や特集が、毎号掲載されるほど。


とうとう、日本のCMにまで出演。


バック・トゥ・ザ・フューチャーのテーマソング、『パワー・オブ・ラブ』(by ヒューイ・ルイス)の曲にのせて、「カッコインテグラ」の台詞。(安易なダジャレ)


でも、女達は、そんなダジャレにも「キャァー!マイケルぅー!」の黄色い声援をおくっていたのだった。



そんな絶好調だったマイケルが、まさか、この後、難病のパーキンソン病にかかってしまうとは……。


突然、襲ってくる激しい震えで、映画出演すら困難になり、現在は半端、引退状態。


でも、その難病と向き合い、闘い続けているマイケルなのでありまする。(ガンバレー!!)






クリストファー・ロイド ……

この時代、クリストファー・ロイドも大活躍していた。



『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役は大当たりしていたし、

『アダムス・ファミリー』のフェスターも、まさにハマり役だった。


私、この人、とっくにお亡くなりになってしまっていると、勝手に勘違いしていたのだが(失礼)………



なんと!2020年の現在も生きておられました。(81歳で)



ゲゲッ!!


と、いう事は単純に計算しても、1985年の、このドク役の時は、まだ 46歳 だったの?



ウソでしょー???


どう見たって、70歳以上に見える!!(これまた失礼)



アダムス・ファミリーのフェスターにしたって、全然46歳に見えない。



で、現在が、この姿である。



あんまり変わってない。(不老不死かよ (笑) )

若い時から老けてると、歳をとってから案外得なのかもね。





こんな二人を観ていると、あの当時の自分の姿も、段々と甦ってくる。


不安だった未来。……この先、自分の未来を、少しでも覗けたら、どんなに気が休まるだろう、と毎日考えていた日々。


そして、現在。後悔ばかりの過去………過去に行って、あの曲がり角を曲がらないように自分に注意してやれたら………。




自分にもデロリアンがあればねぇ~。




そんな事をウダウダ考えながら、観ていると、途端に、ある場面に遭遇して、シビレた。





1955年に行ったマーティに、若い時の母親ロレインが一目惚れしてしまう。


このままじゃ、未来の夫であるジョージと結婚しないかもしれない。


マーティの懐に持っていた、自分自身が写っている写真の姿が、次第に薄くなっていく。


自分の存在が消えてゆく………



過去が変われば、未来も変わるかもしれないのだ。




これですよ!これ!!



以前、『ターミネーター:ニュー・フェイト』で、書いた整合性について、私が言いたかった事は!




この『バック・トゥ………』は、それを、ちゃんと踏まえた上で、未来と過去の繋がりを的確に描いているじゃございませんか!!




ジェームズ・キャメロンも映画会社も、『ニュー・フェイト』をつくる前に、この『バック・トゥ……』を観て、ちゃんと勉強してほしいよ。




映画のラスト、ロレインとジョージは何とか結ばれるのだが、恋のはじまり方は、少々変わってしまった。


でも、その《少々》が、マーティが戻った1985年では、大きく変わっている。



自信満々の父親と素敵な母親の姿。

そして、あれだけ威張り散らしていたビフは、逆に情けない男に変貌している。



《過去が変われば、未来は変わる》




脚本も監督も、少しのズレも見逃さず、誰もが納得するような未来を、我々に呈示して、見せてくれるのだ。





これから先、トンチキなタイム・パラドックス映画を作ろうとするなら、この映画は最適。


業界人たちは、お手本として、必ず観るべきである。




その手の教材としては超一級品なのだから。


文句なしの、星☆☆☆☆☆なのであ~る。


※そして、こうして書きはじめた『バック・トゥ・……』レビューは、もちろん、グダグダと《 part Ⅱ 》へ続くのである。