1982年。
《写真は中原理恵さん》
役名すら覚えていない。
ドラマのあらすじさえ覚えていない。
Wikipediaにすらないドラマなのだが、なぜか?これも忘れられない幻のドラマ。
唯一、資料としてあるデータベースを今更、調べてみると主演が中村敦夫さんだったのか?(全く覚えてない)
火野正平や西村晃、山城新伍なんて人たちも出ていたようだ。
だが、男性陣の印象は全くもって覚えていない。
こんな覚えていない尽くしのドラマの事を、これを読んでいる人は「何を書くつもりなんだ!」と思うだろうが、このドラマのインパクトは別にあるのだ。
仲の良い3人組、中原理恵、和田アキ子、樹木希林がいるのだが、和田アキ子が売れない女優役だった気がする。
だが、中原理恵と樹木希林の助力で(全く芸能界には精通していない素人なのに)、和田アキ子をバックアップして再起、歌手デビューさせようと計画するのだ。
「ん~何か、そうね……まずはインパクトのある芸名に変える事がいいんじゃないかしら?」
樹木希林が言い出すと、中原理恵も「そうね、いいわね」と賛同。
どんな芸名になるのか、気の弱い(?)和田アキ子は気が気じゃない。
「水虫……そうね!『水虫かわゆ子』なんてどうかしら?インパクトあるんじゃないの?!」(ゲゲー!いきなりの樹木希林のとんでる発想である)
「水虫って何よ?!嫌よ!そんな変な芸名」
こんな恥ずかしい芸名にされる本人の和田アキ子は、もちろん反対するのだが、
「大丈夫よ!こんな一見、訳の分からないような芸名の方が、いろんな人に覚えてもらいやすいのよ」と樹木希林が、やんわり説得する。
「いいかもね、これなら断然覚えてもらえるわよ」と、中原理恵も人の事だと思って安易に賛成する。
こんな二人の押せ押せムードに負けて、当人の和田アキ子も、段々その気になってくると、
「そうね、私、『水虫かわゆ子』として頑張るわ!」と固く決意した。(こんなのいかんだろう!(笑))
こんな風に、安直に決まった芸名の『水虫かわゆ子』。
芸名が決まったら、今度はデビュー曲を考えなくてはならない。
樹木希林は、毎夜、「ん~」と頭をひねりながら懸命に考えて、詞を完成させた。
曲は『水虫ララバイ』である。(これ、今考えると中原理恵が出ているので『東京ララバイ』に対抗してるのかな?)
『水虫ララバイ』の詞にメロディーがついて、それからは、あれよ、あれよ、という間にトントン拍子でプロデュースは進んでいき(信じられない)、そして『水虫ララバイ』のレコードは完成した。
レコードは発売されると、結果は大ヒット!
『水虫ララバイ』は売れに売れて、テレビで、とうとう歌唱する日がやってくる。
「それでは『水虫かわゆ子』さんに歌って頂きましょう。曲はデビュー曲の『水虫ララバイ』!」
ステージの中央に立って、マイクを持ち、『水虫かわゆ子』(和田アキ子)は心をこめて歌いだした。
♪水虫ラーラバイ、カイ、カイ、カーイ
♪水虫ラーラバイ、カイ、カイ、カーイ
♪水虫が、かゆいのは、あなたが生きてるしるし
♪その水虫を私に移してくれませんかぁ~?
♪そうすれば、あなたの愛が~足の指から、伝わってぇ~くるでしょ~う~♪
真剣にステージで歌う『水虫かわゆ子』(和田アキ子)には大喝采の拍手が待っていたのだった。
ヒェーッ!
この歌、このインパクト、忘れようったって忘れられません。
この歌がブラウン官から流れてきた時、当時、腹を抱えて笑い転げたような記憶があるのだ。
こんなのが、デビュー出来て、ヒットするなんて、まるで夢物語。
異次元の世界のようなドラマである。
DVD化してくれないかなぁ~。
してくれないだろうなぁ~。
スッゴイ面白いんだけどなぁ~。
もはや、芸能界の大御所となった和田アキ子は、自身の人生の汚点として、DVD化には反対するかもな~
。
。
この歌をどっかの番組で歌ってくれないかなぁ~(まぁ、それも無理か)
今や芸能界を去った中原理恵や、飄々とした樹木希林の印象も強くて、これは語り継ぐべき伝説のドラマなのである。
星☆☆☆☆。