1970年 イタリア フランス合作。
監督はテレンス・ヤング。(007 ドクターノオ ロシアより愛をこめて サンダーボール……などなど)
そして主演は、みんな知ってるチャールズ・ブロンソンであ〜る。
マルセイユで釣り船のオーナーをしている『ジョー・マルタン』(チャールズ・ブロンソン)は、ジョーを溺愛する妻『ファビエンヌ』と、一人娘『ミシェル』に囲まれて平凡に暮らしていた。
夜は、港仲間と陽気にポーカーに繰り出す日々のジョー。
だが、ある日、妙な電話がかかってきはじめる。
咄嗟に顔色を変えるジョー。
そしてある夜、ジョーが家の2階にあがると、謎の男が待ち構えていて、いきなりジョーに襲いかかってきたのだ。
激しい物音に気づいて、2階に上がってきたファビエンヌは、倒れているジョーを見つけてビックリする。
「誰なの?!あなたは?!」
不審な侵入者『ベルモン』は、倒れているジョーの側で、ニヤニヤした表情だ。
幸い、幼い一人娘ミシェルはサマー・キャンプに出かけていて留守だったが………それにしても、この男は、いったい……
そんな不安そうなファビエンヌの横で、ジョーも意識を取り戻した。
そして、隙をみてジョーは逆にベルモンに襲いかかった。
激しい乱闘の末、勝ったのはジョー。
ベルモンはピクリとも動かなくなり、足元で死んでいた。
「この男が誰なのか、ちゃんと説明してちょうだい。」
ファビエンヌの問いかけに、ジョーも重い口を開いて、妻に内緒にしていた過去をポツリポツリと話しだす。
アルジェリアの戦時中、ジョーは将校に暴行して、2年の刑で刑務所にいたのだ。
そこで出会った、上官のロス大尉(ギャングに軍事物資を横流しして逮捕)、部下カタンガ、ファウスト、そしてベルモンの5人で競合して、脱走したのだ。
だが、逃げおおせたのはジョーだけで、他の4人は捕まって10年の刑をうけていた。
そうして、その10年が経ってやっと出所。
ジョーを逆恨みするベルモンは、今更ながら、復讐のために現れたのだった。
ジョーの説明に愛想を尽かすと思いきや、妻ファビエンヌは、それでもジョーへの気持ちは変わらず(ジョーの為に、そして娘ミシェルの為に、ここは何とかしなければ……)と考える。
ファビエンヌは、ジョーに協力して、取りあえず、死体を海のそばの崖まで運ぶことにした。
そして、夜の海の中に、ベルモンの死体を二人で投げ落としたのだった。(スゲ~嫁さん)
(何とか、これで一件落着……)
……なんて事になるはずもなく……
次の日、ベルモンの連絡がなくて不信に思った『ロス』(ジェームス・メイソン)は、残りの仲間『カタンガ』と『ファウスト』を引き連れて、ジョーとファビエンヌのいる家に、早速乗り込んできたのだった。
ピストルの銃口をつきつけながら……
こんな風にはじまる『夜の訪問者』。
チャールズ・ブロンソン全盛期の一本である。
その昔、日本人みんなが、ブロンソンを「男臭い魅力」、「タフガイ」などと褒めたたえて、絶賛している時期があった。
日本でもCMに起用されて、男性化粧品「う~ん、マンダム!」のフレーズはブームとなったり、手塚治虫の漫画ブラックジャックやサザエさんにまで登場したりと、どこでも見かけたり、聞いたりしていた《ブロンソン》の名前。
北斗の拳の原作者、ペンネーム武論尊なんてのは、もちろんブロンソンをもじったものである。
そんな70年代の大ブームに、子供だった自分は、
「なんで、こんな目の細い、特別ハンサムでもない、ヒゲの男が人気があるの?」ってな、感じしかなかったものである。
だが、年月が経ち、こうして自分も歳をとると、やっとブロンソンの魅力が、徐々に分かってきた気がする。
だが、年月が経ち、こうして自分も歳をとると、やっとブロンソンの魅力が、徐々に分かってきた気がする。
この渋い雰囲気……世のオッサンたちが憧れるはずだわ。(と、いうことは自分も、充分にオッサンになったということか(笑))
オッサンになってみて初めて分かる。
オッサンたちが憧れる男、それがチャールズ・ブロンソンなのである。
そして、この『夜の訪問者』。
あらためて観て、気づいたこともある。
ブロンソンのスタイルの良さに改めてビックリしたのだ。
この人、足が長〜い!
それに、とても身が軽いのだ。
2階に上がる階段なんて、3段ぐらいまとめて簡単に飛び越えて上がっていくし、船から降りるときも、ひょいとジャンプして陸に着地する。
全体のバランスや動きがいいので、映画じゃ、特に見栄えするのだ。
大人になって気づくこともある。
とにかくスクリーン一杯に映えるブロンソンを充分に楽しんでほしい。
そして、名優ジェームズ・メイソンの怪演にもね。(仲間に撃たれて、顔色がドンドン悪くなっていくメイソンは、可哀想に思いながらも(プッ!)不謹慎な笑いがこみ上げてくる)
星☆☆☆☆。