1976年 アメリカ。
変わり者でミステリーマニアの大富豪『トウェイン』(トルーマン・カポーティ)は、世界で有名な名探偵5人とそれぞれの助手を、自宅の屋敷に招待しようとしている。
盲目の執事『ベンソンマム』(アレック・ギネス)に切手を貼らせて、(封筒に貼らずに机にベタベタ貼ってますが……)ひとまず投函させた。
そんな招待状に導かれ、名探偵たちは、ぞくぞくとやってきた。
(んな、アホな!無事届いたんかい?!)
霧の深い夜に、それぞれが屋敷を目指して車を走らせて。
屋敷の前には、今にも崩れ落ちそうな吊り橋がみえてくる。
中国の名探偵『シドニー・ワン』(ピーター・セラーズ)と養子の日本人『ウィリー』の車が、一番乗りで、そこへやって来た。
「パパは、ここでおりるあるよ、お前先に車で吊り橋渡るあるよ」
今にも崩れそうな吊り橋の上を、慎重に進むウィリーの車。
「パパ、やったよ!渡れたよ!」
「そうか、じゃ、もう一度戻ってきてパパを乗せるあるよ」(なんでやねん)
屋敷に着いたら、玄関口に頭上から、いきなりドスン!と石像が落ちてきた。(見事に外れるが)
インターホンの音は、女の叫び声(ボタンを押すと「ギャー!ギャー!」)
次に到着したのが、ニューヨークの探偵『ディック・チャールストン』(デヴィッド・ニーヴン)と妻『ドーラ』(マギー・スミス)。
ベンソンマムに案内されて通された部屋は、蜘蛛の巣だらけのネズミが這いまわる部屋だ。
「部屋を変えてもらいましょうよ、あなた!」
「大丈夫、この蜘蛛の巣はワタアメだ」
「このネズミもきっと作り物……いやホンモノだった!」
「ギャー!」
3番目に到着したのが、ブリュッセルの名探偵『ミロ・ペリエ』(ジェームズ・ココ)と運転手『マルセル』(ジェームズ・クロムウェル)。
「運転手に石像が当たった(マヌケ)彼に湿布と私には熱いココアを」
「少々お待ちを」料理人室のベルを鳴らすベンソンマム。
料理人室では、耳の聞こえない料理人『イェッタ』(ナンシー・ウォーカー)が知らぬ顔。
4番目に到着したのは、サンフランシスコの探偵『サム・ダイヤモンド』(ピーター・フォーク)と秘書『テス』。
「サムが石像に当たって死んだわ、もう失神しそうよ、受け止めて!」
盲目の執事ベンソンマムが支えられるはずもなく、そのままバタン。
サムが、起き上がりピストルを突きつけ「手をあげな!」
「お激しい御気性で」手をあげたまま部屋に案内させられるベンソンマム。
やがて晩餐の時間がきてやっと、最後の名探偵が到着。
太った女性が、車椅子に乗せた老女を押してきた。
「オー!あなたがジェシカ・マープルズね、ワタシ子供の頃から大ファンあるよ」
シドニー・ワンが老女に握手を求める。
太った女性が、「わたしが、ジェシカよ、こっちの車椅子に乗ってるのは看護師のウィザース」(なんで看護師を介護してるのか?もうメチャクチャ (笑) )
かくして、奇妙な連中と奇妙な屋敷の住人たちの推理ゲームは、始まったのだった。
徹底的に名探偵をパロディにした、おちょくり映画だが、オリエント急行殺人事件に負けず劣らず、こちらもオール・スターがそろっています。
●ピーター・セラーズは、目を一重にして、出っ歯の山羊ヒゲをして、ヘタな中国人になりきってる。(まるでバカボンの世界から抜け出たよう)名探偵チャーリー・チャンのパロディ。
●ピーター・フォークは激しい気性だが、どこか抜け作なサム・スペード(マルタの鷹)のパロディ。
●ジェームズ・ココは、食い意地のはったポワロのパロディ。
●デヴィッド・二ーヴンとマギー・スミスは、『影なき男』の夫婦探偵パロディ。
●ジェシカ・マープルズは、言わずと知れたミス・マープルのパロディだ。(ぜんぜん見た目違うけど)。
ミステリーマニアには、この映画ってどう映るんでしょう?
自分が好きな探偵が、おちょくられると腹がたつものなのかな?
私には、バカバカしくて、くだらなくて、最高な映画なんですがね。
あと、この映画を見くびるなかれ、《トルーマン・カポーティ》が唯一、出演してるのが、希少価値。
《トルーマン・カポーティ》は俳優ではない。
『ティファニーで朝食を』や『冷血』を残した有名な小説家なのだ。
その見た目をかわれて(ワタシには米良美一にみえるが…)この映画だけに、御出演なさったのだ。
話は、全然大したことないのでハードルを、おもいっきり下げて、「くだらないなぁ〜、バカバカしいな〜」と、ブツクサ言いながら観てほしいです。
(ホントに最近はこの手の映画が、減ってきてるので)
その、愛すべきくだらなさに、星☆☆☆☆をつけておきます。