1991年 アメリカ。
荒野のような敷地にポツンと建つ不気味な屋敷。
そこに住んでいるひどく風変わりな人々の物語。
●ゴメズ…屋敷の家長。オールバックに髭をたくわえたラテン系の男、演じるのはギョロ目のラウル・ジュリア。
毎朝の日課は、ベランダに出てゴルフの打ちっぱなし。
飛んだボールは、近所の判事の食事中の皿に見事ホールインワン。
「こんちくしょーー!!」判事の叫び声が、今日も絶好調とゴメズを嬉々とさせる。
●モーティシア…ゴメズの妻。
黒い長髪、黒いドレスに身を包み、蒼白の顔色に赤い口紅をした、みるからに魔女の風貌。
演じるのは、アンジェリカ・ヒューストン。
美しい薔薇の首をハサミでチョン切っては、枝だけを花瓶に生ける妙な生け花をしている。(もったいない)
●ウェンズディ…夫妻の娘。母と同じく顔色のわるい無表情の黒い三つ編みを束ねた少女、おでこの広いクリスティーナ・リッチ。
●パクズリィ…ウェンズディの弟。太っちょ悪ガキ(この映画でしか見かけないので知らない)
今日も仲よく二人して拷問ごっこ遊び。
●執事のラーチ…フランケンみたい(この映画だけ)
●ゴメズの母…(名前もしらない)は白髪の魔女(見た目が汚い料理が得意)
●ハンド君…手首だけで器用に歩き回り、世話してくれる。異様だが、甲斐甲斐しく働く根っからの働き者。
この変な一家には、もう一人、ゴメズの兄、フェスターがいるのだが25年前に失踪、行方不明である。
アダムス家の顧問弁護士アルフォードは、自身が作った借金でキリキリ舞いしていた。
高利貸しの催促も毎日来るし、どうしよう?
そうだ!
「顧客でちょっとオツムがいかれているゴメズを騙して金もうけをすればいい!」と閃くアルフォード。
だが、そんな計画を知ってか知らずか、向こうが一枚上手で、今日もゴメズに体よく追い返されてしまう。(トホホ)
うなだれて家に帰ると、痺れを切らした高利貸しのアビゲイル母子が待ち構えていた。
そんな高利貸しのアビゲイル母子の息子、不気味なゴードンの姿を見てアルフォードは、ハタッ!と気がついた。
「失踪したフェスターに瓜二つじゃないか!」
かくして、アルフォードは、ゴードンを変装させて(ただ髪を剃っただけだけど)アダムス家におくりこみ、財産略奪をたくらむのだが……。
●フェスター = ゴードン … スキンヘッドのすこ~しオツムの弱い大男。演じるのは、クリストファー・ロイド。
遺産略奪の任務も忘れてしまい、なぜかこの屋敷の生活に、どんどん馴染んでしまう。
「あ~楽しいなったら、楽しいなぁ~!」の《フェスター》=《ゴードン》なのである。
「ダメだ、こりゃ!」
こんな、アホなゴードンに、これ以上任せて置けない。
とうとう痺れを切らしたアルフォードとゴードンの母親アビゲイル婦人。
二人は結託して、屋敷乗っ取りの強行策にはしるのだが………。
貴重過ぎるくらい貴重な、この『アダムス・ファミリー』のpart 1。
ゆえに、これ以上のあらすじを書くのは控えておこうと思う。
とにかく、この映画に関しては、「観てみて、ただ笑ってほしい」と素直に願う自分である。
なんせ、このpart 1だけが、ずっと観る事が叶わなかった幻の映画だったのだから。(part 2はどこでも見かけるのにね)
時代がVHSからDVDに変わった時、1度は出たDVDが、その後、姿を消してしまったのだ。
パタリと見かけなくなった『アダムス・ファミリー』のpart 1。
レンタル店にも置いてなく、ネット・オークションで見つけた初期のDVDは、一時、高額な値がついて、とてもじゃないが手が出ない始末。(もう、目玉が飛び出る数万円の金額である。ゲゲッ!)
我々のような貧乏人にはとても手が出せず、「あ~、もう観る事は無理かも……」と、半分あきらめて数十年……………。
ごく最近になり、やっとこさ、再DVD化され、我々の前に再び現れてくれたのである。(「ヤッター!」と歓喜の声をあげてしまう自分)
面白くて、おかしくて……(あ~、この感じ久しぶり……)と楽しんで観ながらも、なんかしみじみ。
公開当時、この個性豊かな面子に笑わされた記憶が再び甦ってくる。
そうそう、この雰囲気にすっかりハマった自分は、映画館に、珍しく2度足を運んだのだ。(もちろん、part 2も観に行きましたとも! それも2度!)
なんか登場人物みんなが、ドジでぬけてて可愛げがあって大好きなのである。
日本では、車のCMにも起用されていたっけ。
そして、次のpart 3をワクワクして期待していたのだが、残念! ゴメズ役のラウル・ジュリアが他界し、その夢はかなわなかったのだ。(胃癌と脳卒中で亡くなってしまった。)
その後、テレビ映画、舞台化とメンバーを変えて、度々、話題になるのだが、どれも自分としては、「ん~ん…」と思ってしまう。
ヤッパリこの時のこのメンバーが、一番じゃないのかな。
なんにせよ、また再び会えた『アダムスファミリー』に感謝である。
今度こそは、このDVD大事にしよっと (笑) 。
星☆☆☆☆☆。