2004年 アメリカ。
この映画には、オリジナルがある。
1975年に公開された『ステップフォードの妻たち』だ。
こちらは、ステップフォードという街に引っ越してきた夫婦(写真家のジョアンナと弁護士のウォルター、そして一人娘のキム)が、近所に住んでいる夫婦たちの異常さ(あくまでも男をたてる男尊女卑)に違和感を感じて、徐々に巻き込まれていくという、SFホラーなサスペンスとなっております。
ネタバレは、あまりしたくないのですが、街全体が《妻たちをそっくりのロボットにすり替えて生活していた》というもの。
で、最後は、主人公ジョアンナ自身もロボットに変えられてしまうという、少しショッキングであり、うすら怖い話なのである。
そして、2004年度版『ステップフォード・ワイフ』は、話の筋立ては似ていても、全く雰囲気の違うような明るいライト・コメディーだ。
監督は、フランク・オズという人。(『ペテン師と詐欺師だまされてリビエラ』、『おつむ て・ん・て・んクリニック』など …… まぁ作品名を知れば「コメディー畑の人だな~」と気づくはず)
それで、どちらが好きかというと、私には珍しく、このリメイク版の方が好き。
ニューヨークのやり手プロデューサー・ジョアンナは、番組の内容が原因で、素人の出演者をブチ切れさせてしまう。
そうして、その素人の男は、あろうことか大勢が集まる会場内で発砲事件まで起こしてしまった。
「ジョアンナの強引なやり方に問題あり!」と決めつけたテレビ側は全責任をジョアンナに押し付けて、即、解雇。
都落ちして意気消沈するジョアンナは、夫のウォルターに連れられて、未知の村《ステップフォード》にやって来るのである。
でも ……
この《ステップフォード村》は、どこかおかしいぞ~ ……
誰も彼もが、《模範的な妻》ばかりを持つ異様な夫婦ばかり。
そんな環境にまるで馴染めないジョアンナは、はみ出し者の変な隣人ボビーたちと《ステップフォード村》の秘密を探ろうとするのだが ……
ジョアンナ役に、ニコール・キッドマン。(なんか利発なんだけどすっとぼけもあって好きです)
ウォルター役には、マシュー・ブロデリック。(この人、年をとっても、どこかトッチャン坊やに見える)
変な隣人ボビーには、ペット・ミドラー。(アメリカの山村紅葉)
街の理想の夫婦で、ステップフォードの支配者に、クリストファー・ウォーケンとグレン・クローズ。(演技派二人。なにもいうことナッシング)
このキャストだけでも、何か起こりそうなイヤ〜な(楽しそうな)予感がしてくる。
1975年度版は、バッドエンド。
2004年度版は、本当の絆を取り戻したジョアンナとウォルターが騙されたふりをして、逆に、ステップフォードの秘密を暴き、周りの妻たちをも巻き込んで、横暴な夫たちへ大逆襲に転じる。
痛快なハッピーエンドで幕を閉じるのだ。
この原作からして、あまりにも荒唐無稽な話なので、現代ではオモシロ、オカシイ馬鹿話として、コメディーになってるこっちの方に俄然肩入れしちゃいます。
1975年度版が好きな方々はご免なさい。
でも、クリストファー・ウォーケンの《●》がふっとばされたり、フリフリのドレスを着て淑女ぶりッ子してるグレン・クローズに大いに笑わされたので!!
星☆☆☆☆。
それまで悪女役ばかりだったニコール・キッドマンのイメージも、コレを観ればガラリと変わるはず。
ニコールのコメディエンヌぶりも超必見である。