2020年1月31日金曜日

映画 「未来世界」

1976年 アメリカ。






名作SF『ウエスト・ワールド』の続編。




その、『ウエスト・ワールド』とは………


画期的な人型ロボットの発明と大量製造で、安心安全な夢のテーマ・パーク《デロス・ランド》が砂漠のど真ん中に、ドドーンと出来た。


パークは、『西部開拓時代』、『中世ヨーロッパ時代』、『帝政ローマ時代』に別れていて、それぞれの時代の雰囲気を楽しめたり、体験する事が可能なのである。



だが、その中のガンマン・ロボット(ユル・ブリンナー)がいきなり狂いだして、人間たちを突然襲いはじめる。



狂ったロボットたちの反乱は、たちまち《デロス・ランド》を地獄絵図に変えたのだった………。



て、いうのが『ウエスト・ワールド』の大まかなあらすじ………らしい。




この続編『未来世界』は、その数年後の描いているのだが、『ウエスト・ワールド』を観た事がなくても、全然大丈夫である。




これ単体でも映画としては、成立しているので。(かくいう自分も『ウエスト・ワールド』を観ておりません。ユル・ブリンナーがあんまり好きじゃないので)






あの、悲劇から数年後………《デロス・ランド》は当然閉鎖されていたが、科学者たちはあきらめきれず、この度、再オープンの運びとなったのだった。



だが、数年前の悲劇や悪評は、今でも、くすぶりながら色濃く残っている。(まぁ、何人もロボットに殺されてるので)


「どうにか、それを払拭させなければ!」



それには大勢の著名人たちを招待して宣伝してもらうしかない。



そんな宣伝のために、人気テレビ・キャスターの『トレイシー』(ブライス・ダナー)と新聞記者の『チャック』(ピーター・フォンダ)は、一緒に特別招待された。



「《デロス・ランド》は、以前よりも安心かつ安全にお楽しみ頂けます。なにとぞ、皆様方にご覧頂き、より良い宣伝をお願い致します」



《デロス・ランド》に到着して、浮かれて喜ぶ人々。(大人のディズニーランドって感覚なのかな?)



そんな人々を尻目に、チャックだけは別の事を考えていた。



(ここは何だかおかしい………絶対に、ここの秘密を暴きたててやる………)



チャックの記者としての勘が当たったのか、やはり、そこには《恐ろしい秘密》が隠されていたのだった………




さぞや、ワクワクドキドキさせてくれると思いきや………




観てみると、まるで、当時あったようなチープなテレビ映画の雰囲気。

おバカさ満載のB級SF映画でございました。




監督が悪いのか、はたまたピーター・フォンダが関わると、自然にそうなってしまう運命なのか……(笑)。




前回の『ウェスト・ワールド』を観ていないので、なんともいえないのだが、前の映画もこんな感じだったんだろうか。




当時としては、本物大のロケットやら、近代的なモノレールなど莫大な制作費を投じて作られていると思うのだが……この全編に漂うB級感は、ナゼなんだろう?




プライス・ダナー演じるトレイシーなんて、何にも考えていないような、アタマ空っぽなオネェちゃんにしか見えてこない。(でも、この人、こう見えても、グウィネス・パルトローのお母さんなんですよ。)




とにかく、大人の女性とは思えないほど《幼稚》なセリフばかりを吐いているのだ。(こりゃ脚本も悪いわ)




ただ、主役のピーター・フォンダの見た目だけは、格好いいと思う。



以前、『ダイヤモンドの犬たち』でも書いたが、お世辞にもハンサムとはいえないような独特な顔のピーター・フォンダ。



でも、この耳に少しかかるようなストレート・ヘアと眼鏡をかけている姿は、この人に似合っている感じがして、なんかいい感じなのだ。(『ダイヤモンドの犬たち』を観ているせいか、あの薄汚れたモジャモジャよりも何倍もマシ)




そして、この《 恐ろしい秘密 》だが、恐ろしくも何でもないので、思いきって書いてしまうけど、…………



この著名人たちに「宣伝してもらう」というのは、真っ赤な嘘で、デロス・ランドにやって来た著名人たちと、そっくりなコピー・ロボットを大急ぎで作って、

《こっそり、すり変わる》

というのが本来の目的だったのである。



その、すり変わったコピー・ロボットを《デロス・ランド》の悪徳科学者たちが、陰で操作しながら、いずれは「世界を乗っ取って征服してしまおう!」なんていう、トンデモない計画なのだ。(なんて手のこんだ作戦なんだろう)




もちろん、最後には、トレイシーやチャックに似たコピー・ロボットも出てきたりして、そっくり者同士で、お互いに闘う展開になるんだけど……。




それでも、やっぱり最後まで、ノホホ~ンとした空気感漂う『未来世界』なのでございました。





それにしても………ヘタクソな脚本、ヘタクソな演出、それにバックに流れる大袈裟な音楽………


莫大な予算をかけても、出来上がったのが、こんな出来じゃ、製作費分を上手く回収できたのかしらん?




それでもピーター・フォンダをはじめ、大勢の俳優たちは頑張っていて、こんな映画でも「なんとかしよう……どうにかしよう!」と、懸命に演じている気がする。



そんな俳優たちの健気さが透けて見えてきて、自分なんかは、ついつい同情しながら、今後もたまに、チョコチョコ(茶化しながら)観てしまうかもね。



大甘で星☆☆☆。


※尚、SEX専用ロボットなんてのも、大量に作っている《デロス・ランド》。


むしろ、映画では、そっちの方を主題にして膨らませたほうが良かったかもしれない。(あくまでも、これは我の希望である (笑) )