1975年 アメリカ。
大都会ロサンゼルスでビル建設工事に従事している『スキップ・ロビンソン』(ロバート・ローガン)。
高度経済の波はロサンゼルスを、超高層ビルがひしめきあうような街並みに、すっかり変えてしまった。
大勢の人々が行き交い車が列をなして並ぶ道路。
淀んだ空気に支配されて、もはや空の青さすら目に届かない。
今日も病気で苦しむ娘の『ジェニー』(ホリー・ホルムズ)の診断結果を聞くために、妻の『パット』(スーザン・ダマンテ)を連れて病院に向かったスキップ。
「こういうアレルギーは、いったい何が原因なのか………町で暮らすストレスでしょうかねぇ……」
医者の診断も、的を得ないというか、匙を投げている状態。
帰り道の車の中でスキップは決心した。
「この町を出よう!ジェニーの為にも!」
「分かったわ、そうしましょう」妻のパットも賛成してくれた。
空気の良いロッキーの山々に囲まれた場所がいい!(えっ?!いきなり?)
かくして、スキップ、パット、ジェニー、そして小さな息子『トビー』(ハム・ラーセン)を連れて、ロビンソン一家はロッキー移住に向けて、旅立ったのだった。
『ロビンソン・クルーソーの漂流記』やら、『大草原の小さな家』などに憧れた世代には、この映画は、たぶん癒しになるだろう。
誰もいない山々に囲まれた場所で、自分たちの手で、一から家を建てて生活する。
そこには俗悪な人間同士のドロドロとした愛憎もなければ、しがらみもない。
毎日、誰もが、何かしら、誰かしらのストレスに苛まれている我々には、いつの時代にも、それは手を伸ばそうとしても簡単には手に入らない《 憧れ 》だ。
水上飛行機でロッキーの湖に着水したロビンソン一家は、とりあえずは、湖のそばにある、朽ち果てた先人が残したボロ家に住みながら、すぐそばに家を建てようとする。
一家総出で、木を切り倒し、丸太を重ねながら家を作っていく過程は、見てるだけでワクワクする。
それを担う一家の長で父親の『スキップ』(ロバート・ローガン)はさすが。
元、建設現場で働いていただけあって手慣れたものである。(カッコイイなぁ~)
なんにしても頼れるし、明るいしハンサムだし、こんな父親なんて誰もが憧れる理想の父親だろう。
そんな旦那様を手助けしながら、子供たちの世話、家事を一手に引き受ける妻の『パット』(スーザン・ダマンテ)も文句ひとつ言わない器量よし。(美人だし優しいし、気立てもいい。こんな女性を、どこで見つけてきたんだろう?)
こんなハンサムと美人から産まれた子供たちも、もちろん可愛くないわけがない。
娘の『ジェニー』は、金髪をなびかせた笑顔の可愛い子。
それより年下の息子『トビー』は、何にでも好奇心旺盛なイタズラっ子。(でも、こちらもなんて可愛らしいだろう)
この自然なロッキー山々もだが、このロビンソン一家に単純に憧れてしまう。
明るいし口喧嘩もないし、皆が笑いあっている家族。
たま~に、狼に襲われたり熊に襲われたり、岩石が落ちてきたりしても(まぁ、ちょっと、命がけの危ねぇシーンもあるにはあるが)、一家は団結して乗り越えてゆく。
こんな所にずっと住んでいたら他人と接することも全くないので、子供の精神発達の妨げになるのでは?なんて考える常識人の方々もいるだろうが、それはそれ。(映画なんだし多少大目に観てほしい)
今の自分の心境にピッタリあうのか……自分のような人間には、この映画は、ひとときのオアシスのような安らぎを与えてくれるのである。
星☆☆☆☆。
※ただし、このDVDが4:3のビスタサイズなのが多少不満。
できるならシネマ・サイズで観たかった。
『続 アドベンチャー・ファミリー、白銀を越えて』や『サバイバル・ファミリー』もいつか観たいなぁ~。
今のヒステリックな時代には絶対に作り出す事のできない、まるで別の空気感が、ここには存在しているのだ。