1956年 フランス。
正確には『抵抗(レジスタンス)~ある死刑囚の手記より~』。(以前は、『抵抗 死刑囚は逃げた』)
でも、ずばり【 抵抗 】のタイトルでいいんじゃないの?
その昔、フランス映画の脱獄もので、【 穴 】(1960年)を観たことがある。
途中まで感心して観ながらも、最後の最後にガッカリしてしまった。(観ていない人には何の事か分からないだろうが……)
ようするに、※《 注意 、ネタバレ 》
脱獄に成功しないのだ。
脱獄モノの醍醐味は、「脱獄に成功する!」のが前提だと思いこんでる自分には、「何じゃコリャ!観ていた時間を返せー!」てな具合で、若気の至りとはいえ(プンプン!)憤慨した記憶がある。
で、この【 穴 】という映画と、【 抵抗 】という映画が、同じフランス映画で、モノクロで、同じ脱獄モノなので、最近まで記憶の中でゴッチャになっていた次第。
観てもいないのに、パッケージを観ては、「あ~、あの昔観た、脱獄に失敗する映画でしょ」なんて、勝手に決めつけて勘違いしてました。(何ていい加減なんだ)
もちろん、こちらは別物で、監督は『ロベール・ブレッソン』という人。(映画『スリ』も有名)
主演はフランソワ・ルテリエ。
このルテリエ演じる『フォンティーヌ中尉』が、いきなり護送される場面から映画は始まる。
フォンテーヌは、隙をついて車から逃げ出すものの、すぐに捕まってボッコボコ。(血だらけで悲惨なものだ)
連れてこられたのは、戦時中、ドイツ軍の占領下におかれていた、フランスにあるリヨンの収容所。
手錠をはめられたまま、血だらけで独房に放り込まれるフォンティーヌ。
一見、優男のような風貌のフォンティーヌ、でも中身は、
「絶対に生きて、ココを出ていくんだ!!」というハングリー精神に燃えている。
高い壁の鉄格子から顔を出すと、定期的に庭を散歩している囚人連中がいる。
その連中に連絡をとるために、鉄格子から紐をたらし、外の母親に伝言を頼むフォンティーヌ。
独房の隣には誰かがいるみたいだ。
壁を叩くと、向こうからも「コンコン!」と返事が返ってくる。
いつしか、その音をモールス信号のように解読して、会話が出きるようになってくるフォンテーヌ。
( …… 手錠の外し方は、ピンを鍵穴のバネに当たるように外すんだ …… )
壁の向こうの人物の暗号を解読して、言うとおりにやってみると、手錠は簡単に外れた。
手首をさすりながら、フォンティーヌの目は、更に自信の光が輝いてる。
(絶対にここを脱出してやる!)と …………… 。
全編、糸がピン!とはったような緊張感。
スプーンを研いだり(脱獄にはお約束ね)、枕を裂いて長いロープをつくったり、脱獄の過程も面白い。
そんなある日、フォンティーヌの、死刑執行日が決まった。
それと同時に、同じ独房に送られてくる少年ジョスト。
こんな厄介な状況になってフォンティーヌは悩む。
(こいつを殺して、とっとと一人で出ていくか?いや、こいつを仲間に引き入れて一緒に脱獄した方がよいのか?!……… )
主演のフランソワ・ルテリエは、ほぼ素人で、いきなり、この映画の主演を任されて、映画出演はこれっきりだった。
映画に出るよりも、作る方の過程に興味を持ったようで、助監督を得て、映画監督となる。
(『さよならエマニエル夫人』なんてのを監督してます)
そして、その息子も映画監督。
ルイ・ルテリエである。
誰かって?
あの大ヒットした『トランスポーター』や『トランスポーター2』、『インクレディブル・ハルク』、『タイタンの戦い』の有名な監督ですよ。
蛙の子は蛙なんだなぁ~と変なところで納得。
この映画、もちろん星☆☆☆☆☆である。
と、言う事は分かりますよね?
脱獄の醍醐味について、前述で、十二分に語っているので、察しがいい方は察してくれると思います。
※それにしても、当時の囚人生活はチョー過酷。
蓋のないバケツに排泄して、よく朝、中庭の広場に捨てたり。(ん〜、不衛生)
殴られて血だらけの洋服は、ずっと染みだらけでそのまんまだ。(着替えすら与えられない)
そりゃ、フォンテーヌじゃなくても脱獄したくなるはずだわ(笑)