1955年 アメリカ。
『チャーリー・キャスル』(ジャック・パランス)は、ハリウッドで成功した映画スター。
壮大な邸宅に住み、専属トレーナーもいる優雅な暮らし。
だが、その見た目の華やかさとは裏腹に、内ではいくつものトラブルを抱えていた。
「やっかいなのが来たぞ!」
チャーリーが外でトレーニングをしていると、広報の『バディ・ブリス』(ポール・ラングトン)が血相をかえてやって来た。
女記者『パティ・ベネディクト』(イルカ・チェイス)が来たのだ。
チャーリーが戻ってくると、早速、チャーリーを質問攻めにするパティ・ベネディクト。(何で、このオバサン、こんなに偉そうなの?)
「チャーリー、プロデューサーのホフとの契約更改が迫っているわよね?どうするの?」
チャーリーは上手くはぐらかそうとするも、パティ(クソババァ)は追求の手を緩めない。
「じゃ、奥さんのマリオンの事を教えて!離婚するの?しないの?別居してるんでしょ?」
「息子が具合が悪くて、静養に行っているだけさ」
「本当でしょうね!他紙で出し抜かれたら許さないから!!」(本当に何なんだ?、このクソババァは!)
パティは、話題を変えると、今度はそばにいるバディ・ブリスに目を移した。
「まだ彼をそばに置いているの?飲酒運転をして、事故をおこして、禁固10ヶ月の刑を受けたんじゃなかったかしら? あなたは彼の為に保釈金まで払って………そんな価値が彼にあるのかしら?」
目を伏せているブリスに、チャーリーはかばうように、
「それは終わった事だ。それに彼も罪は償ったんだ」と言うが、パティは煮え切らない答えばかりのチャーリーに、「フンッ!」とばかり。
そこへ2階の螺旋階段から、妻の『マリオン』(アイダ・ルピノ)が降りてきた。
いないはずのマリオンの登場にチャーリーは驚くが、パティは「してやったり」とばかりに、今度はマリオンを質問攻めにする。
だが、マリオンは「私生活に干渉しないで!」とピシャリ。
パティ(クソババァ)は「覚えておきなさい!」と言い捨てると、プンプン顔で帰っていった。
誰もいなくなり、チャーリーと二人きりになると、今度はマリオンが切り出した。
「スタンリー・ホフと契約しないで!契約したら7年は縛られるのよ!低俗で堕落した彼の映画の為に、自分のキャリアを棒にふらないで!」
これにも、チャーリーはどっちつかずの返事。
マリオンの顔も苦々しく変わっていく。(元々、この人も美人じゃないけど)
「契約するなら離婚するわ。私、ハンクという人に結婚を申し込まれているのよ」
離婚を盾に詰め寄るマリオンに、チャーリーの心も揺らいでいく。
でも、マリオンも知らない事がある………。
実は飲酒運転をして事故を起こしたのはチャーリーだったのだ。
スタンリー・ホフは、身代わりとして広報のブリスを差し出し、罪を肩代わりしてもらったのだ。
そんなホフに逆らえるのか………。
案の定、『スタンリー・ホフ』(ロッド・スタイガー)の怒声がとぶ。
「妻が夫の仕事に口をだすもんじゃない!私を怒らせるな!さぁ、私の言うことを素直に聞いて、このペンでサインするんだ!」
高圧的なスタンリー・ホフと妻マリオンの板挟みで、チャーリーは頭を抱えるのだった………。
監督ロバート・アルドリッチの初期の作品である。
この映画、もともと舞台劇だったので、場面は、ほとんどチャーリーの屋敷の中で話が進んでいく。
ジョセフ・L・マンキーウィッツが撮った『イヴの総て』が舞台の裏側で、こちらは映画スターの裏側なのだが、『イヴの総て』のような爽快さはない。
ただ、苦悩する主人公にどんどんイライラしてきたくらいだ。(外見は強面なのに、このジャック・パランスときたら……)
それにしても女たちは、どれもこれも可愛げのない女たちばかり。
最初の女記者ベネディクトも、ふてぶてくして、とんでもないクソババァだし、
妻のマリオンも夫を責めてばかりの厄介な性格。(途中からアイダ・ルピノの顔が、スター・ウォーズのヨーダのように見えてくるのは私だけ?)
「離婚!離婚!」をちらつかせるマリオンなのだけど、「どうぞ勝手に離婚したら?」と思ってしまった。(ものすごい美人が、このセリフを言うのなら、頭を抱えて悩むところだけど、このアイダ・ルピノじゃねぇ……)
もうひとり、ブリスの妻『コニー・ブリス』(ジーン・ヘイゲン)も夫がいるのに尻軽だし、アタマからっぽだし。(チャーリーがスターなもので呼ばれたらホイホイ)
ロバート・アルドリッチを男性映画の監督と言ったのは誰だったか………、魅力的な女性なんてのは、期待してはダメだという事か。(遺作の『カリフォルニア・ドールズ』は良かったけどね)
ジャック・パランスは頑張って演じているけど、この映画は興行的にも失敗したし、自分もアルドリッチらしさに、少々かけているような気がする。
星☆☆である。
ジャック・パランス&アルドリッチのコンビで、本領を発揮するのは、次の『攻撃』かな。
それに期待したい。(まだ観てない映画は沢山あるしね)