2019年7月7日日曜日

映画 「キラー・エリート 《1975年》」

1975年 アメリカ。






長~い、007レビューを終えて、気分転換に、たまには、違う映画でも観てみましょ、と思ったのだが、はて、何にしようか?


ん~、あっ!そうだ!

TSUTAYA発掘良品でも探してみるか!


『キラー・エリート』か……ふむ、ふむ、主演は、ジェームズ・カーン。



ジェームズ・カーンの事は、以前、オリヴィア・デ・ハヴィランドの『不意打ち』で少しばかり書いた事があったっけ。


あのデビュー作の『不意打ち』が1964年で、この作品では10年の時が過ぎている。


あの若かったジェームズ・カーンも、10年たてば、主演を務めるようにまでなったのか……。(何か感慨深い)


監督は、サム・ペキンパーね。


マックイーンの『ゲッタ・ウェイ』なんて名作も撮っている名匠じゃないか?!


ジェイソン・ステイサムの『キラー・エリート』とタイトルも同じだし、こりゃ、面白いかも!(何て安易なんだ)


DVDを入れて、再生が始まった。





………再生が終了した。

ガックリ。

何じゃ、こりゃぁ~!

これのどこが『良品』なんだ?!





CIAの代わりに、表立って動けない重要任務を、代わりに負う『コムテグ』という名の、架空の組織の設定は良い。

依頼された重要人物の護衛などの設定も良い。




そこで働くマイク・ロッケン(ジェームズ・カーン)と相棒のハンセン(ロバート・デュヴァル)。


こんだけ、良い設定を使っているのに、映画は話にならないくらい、ズタズタ、ボロボロなのだ!



この相棒のハンセンが、いきなり、前触れもなく裏切って依頼人を射殺。

そして、シャワーを浴びていた相棒ロッケンの左肘と左膝を撃ち抜いて再起不能にする。(それまで、高らかにバカ笑いをしていて、仲良しの二人だったのに……しかも殺さないで再起不能にするのは、「相棒だったから…」なんて意味わからん)



そうして別の組織に寝返ったハンセン。




ロッケンは、何とか救急車で運ばれていく。


そして、何と、ゴールデン・ゲート・ブリッジの橋の上を、ロッケンを乗せた救急車が通りすぎていくのだ。(前回の『007 美しき獲物たち』で出てきたゴールデン・ゲート・ブリッジなので、ちょっとした偶然?因縁?みたいなものを、このあたり感じてしまった)



ここから、ロッケンの手術シーン(まぁ、ご丁寧な説明の手術がじっくりと描かれる)


その後は、病院のベットの上で、回診、診察、術後経過。


ロッケンは、担当の看護婦さんとイチャイチャしながらも、リハビリの毎日。




組織の上司がやって来て、

「君の体はもう無理だ、1年後にも階段を一段登るのがせいぜいだろう。」

と散々にこきおろして帰っていく。(何しに来たんだ?この男。それからも、時々、ロッケンの前に現れては、「無理なものは無理なんだ!諦めろ!」と余計な一言を言う度に登場する)



退院しても、ロッケンの苦しみのリハビリ生活は続く。(まだ、このくだり続くのかよ)


レストランでは、松葉杖を持ったまま倒れこむロッケン。



「大丈夫です、スミマセン。大丈夫です………。」


皆に抱えられながら、立たせてもらうロッケン。



看護婦のエイミーとは、いつのまにか同棲しながらも、二人三脚でリハビリに望むロッケン。(もう映画も半分近くになりましたぞ)




今度は、リハビリの為に、謎の中国人の老師に太極拳を習いはじめるロッケン。(えっ?何ぜ?太極拳?意味が分からん?)



そんな、順調に回復してきたロッケンに、またもや、前のイヤ~な組織の部長が訪ねてきた。


「マイク、君に仕事だ。君の力が必要なんだ!」(どの面下げてやって来るのかね?この男も……今まで、励ますどころか、散々こきおろしてきたのに)



戸惑うロッケンだが仕事を受ける。(受けるのかよ?!(笑) )




依頼内容は、アメリカに滞在している間、謎の組織に狙われている中国人革命家と、その家族の護衛だった。(また、中国人)



ロッケンは、護衛の助っ人として、仲間に、禿のオッサンのマックと、クレーン射撃が特技のミラーを雇った。


そして、3人は中国人家族を敵の銃撃から、救いだし、守ろうとするのだが………。





でも、この中国人たち、何を考えているのか?



護衛されているのに、勝手に動き回るし、全然言う事を聞かない。(笑)


娘も忍者?の服装で、夜間に飛び出していって、案の定、捕まってしまう。(何故?中国人が忍者の服装?)




捕まえたのは、敵に寝返った、あのハンセンだった。

「銃を置け!それに杖もだ!」

ロッケンに銃を向けながら、命令するハンセン。


言うとおりにするロッケンだったが、その時、銃声が!


ミラーが、ハンセンを草むらから、簡単に撃ち殺したのだ。(何だこれ?ロッケンが復讐するんじゃねぇのかよ!、何て呆気ない死に方なんだ!)



ミラーに、間一髪で命を救われたロッケンだったが、何故か?ミラーを殴りつけてしまうロッケン。(???)



何故?なぜ?ナゼ?、????


本当に、『なぜ?の嵐』が駆け巡る映画である。




この後は、たくさんの忍者軍団が、これまた、いきなり現れて、船上で対決するのだから、益々意味不明。(もう、お手上げである。どう説明しようもない。これはギャグなのか?それともファンタジー?)




どこが、『キラー・エリート』やねん?(笑)


何なんだ、この駄作っぷりは?!


ここまでの駄作といえるようなものを、久しぶりに観た気がする。




調べてみると、この映画、どこをみても、「最低映画」や「クソ映画」の書き込みだらけである。




こんなのを、あのサム・ペキンパーを撮っているとは………。


哀れ、ジェームズ・カーンよ……こんな映画の主演とは……トホホ。(本当に運がない人よ)
30代のカーンは、中々、見た目もカッコイイのにね。



ここまで奇想天外だと、これは自分なりの解釈だが、あの時、ロッケンは撃たれて植物状態になったんじゃないのかな?



そして、この出来事は、今でも植物状態のロッケンがベットの上で見ている夢の中の出来事なのでは?



夢の中なら、太極拳だ!忍者軍団だ!何でも「アリ」だものね。

星は当然0。



でも、世の中には捨てる神もいれば、拾う神もいる。

この『愚作』を愛している奇特な人もたくさんいるのである。