2017年 アメリカ。
1959年…サバービコンの閑静な街に、ある日、黒人一家が引っ越してきた。
たちまち、ざわつく隣人たち。
一方、その隣には、『ガードナー・ロッジ』(マット・デイモン)と車椅子の金髪妻『ローズ』(ジュリアン・ムーア)、息子『ニッキー』が住んでいる。
それに、ローズの双子の姉、黒髪の『マーガレット』(ジュリアン・ムーア二役)が来たりもする。
黒人一家の引っ越しで、ざわつく中、こんな平和そうなロッジ宅で、ある夜事件は起きたのだった。
二人組の強盗がやってきたのである。(全然、覆面もしないでやってくるマヌケな強盗二人組)
二人は、ロッジの家族と、たまたま来ていたマーガレットを椅子に縛り上げた。
そして、クロロホルムをタオルにふくませて、嗅がせた。
もちろん、幼いニッキーにも……
そして、次にニッキーが目覚めると、そこは病院のベットの上。
なんとか助かったのだが、母親のローズだけは、大量に摂取したクロロホルムせいで亡くなってしまっていた。
悲しみにくれるニッキー少年。
だが、次の日から、マーガレットが髪を金髪にして、ロッジ家にやってきては父親のガードナーの妻のように振る舞いはじめる。
そう、この事件は、父親のガードナーと叔母のマーガレットが共謀して、二人組に頼んだ《擬装殺人》だったのだったのである。
監督ジョージ・クルーニー、脚本コーエン兄弟、主演マット・デイモン……
こんな名だたる面々が集まって、出来た映画は、全くの《クソ映画》でございました。(今回は言いきってしまおう!)
この後は、ガードナーとマーガレットが実行犯の二人組と揉めてしまって、互いに疑心暗鬼になって殺し合いになり、そのカラクリが保険屋にもばれたりして、どんどんと悲惨な結末へと流れていく。
特にヒネリもない、ただ、ただ悲劇にまっしぐらの映画でございます。
それと平行して、黒人一家を大勢の白人たちが取り囲んで、KKK(白人至上主義団体)のように襲撃するという話も進んでいく。(このサイドストーリー、果たして本当に必要だったのか?)
この街では、近所に強盗が入って殺人事件があったことよりも、黒人一家が引っ越してくる方が大事件なようで、本当に気色の悪い街である。
多勢に無勢の、この襲撃は観ていても、とても嫌な気持ちになる。
ただでさえ、本編は暗い話なのに。
幼いニッキーの目線で見れば、これまた嫌気がさすほどヒドイ話だ。
父親と叔母に、自分の母親を殺されて、それに親しい叔父さんまでも殺されて。
隣家の黒人友達は、連夜毎日「出ていけー!」コールだし。
そうして、最後には自分の父親と叔母にまで命を狙われる始末。
こんな救いのない物語、観ていて楽しいですか?
何度も見返したいと思いますか?
『ブラック・コメディー』なんて唱っているが、どこで笑えばよいのやら、全然自分には分からない。(誰が教えてほしいわ)
ジョージ・クルーニーは、残念ながら監督には向いてないように思えます。
コーエン兄弟の脚本でも、これは駄作。(この兄弟、傑作があれば愚作ありで、極端に波が多すぎる)
出演依頼がジョージ・クルーニーだったから、マット・デイモンも引き受けたのだろうか?(やめときゃよかったのに)
多分、この映画は、もう数年もすれば消えていて、語る者さえいなくなりそう。
悪いけど、忘れ去られた方がいい映画だってあるのだ。