『Ⅰ』がヒットして、『Ⅱ』もヒットしたなら、当然、今度は、『Ⅲ』だ!
簡単に企画は通ったが、『Ⅱ』までいたプロデューサーは、すでに移動。
そして、原作は『Ⅱ』で、尽きてしまい、皆が考え込んだ。
誰かが、「忍者なんていいんじゃないか?」と言い出した。(オイ、オイ……『スケバン』で『刑事』なのに、この上『忍者』って …… )
そして、主人公は三姉妹になる。(これは良し)
「後、『スター・ウォーズ』の雰囲気も入れたいよね!」(えっ?)
依田(般若)=ヨーダ。
帯庵和尚=オビワン。
礼亜=レイア姫。
段々と、怪しくなっていく企画会議 ……………
『スケバン刑事Ⅲ』の予告は、残り話数が少なくなってきた『スケバン刑事Ⅱ』の予告と共に紹介されだした。
そして、放送が開始されると、原作者の和田慎二がプンプン怒り心頭。
「《学生刑事》が、《学生》の為に戦わないで、なぜ?《自分だけ》の為に戦っているのか?!学生刑事の意味を、まったく理解していない!」と、自著のあとがきで本人が書いている。
おっしゃる通り。
自分も、観ていて、何か違和感を感じていたのが、まさにそれだった。
取り合えずヨーヨーを持ってるが、これって別に『スケバン刑事』じゃなくてもよくねぇ〜か?
なんせ、闘う相手が悪の忍者集団《陰(かげ)》。
校内にはびこる悪を取り締まる《学生刑事》の意味なんてのは、ほぼ無いのだ。
ただ、ただ、この三姉妹の魅力だけで最後まで観ていたようなものでした。
主人公の三女、『風間唯』(浅香唯)は、小柄でショートカット♥。
それまでのクールな主人公とは違い、思いついたら直ぐ行動の、どこかお間抜けさん。
でも、並外れた運動神経の持ち主でもある。(浅香唯自体が、本当に運動神経がいいのだろう …… ほとんどをスタント無しで行うくらいのキレのある殺陣。アクションを見せてくれている)
浅香唯は、斉藤由貴や南野陽子とは違い、デビューしても、中々すぐには売れなかった。
デビュー曲『夏少女』なんてのは、120位。
それからも出す曲、出す曲、100位以下 …… 。
この『スケバン刑事Ⅲ』のエンディングに、6曲目に出した『STAR』が使われると、それが、やっとこさ9位にランクインして、アイドル稼業も起動にのりだす。
だからこそ、あの熱の入れようなアクション・シーンだったのだろうよ。(苦労は人を強くするのだ)
長女役の『風間結花』(大西結花)は、最初から、3人の中では飛び抜けていた。
もう先にデビューしていた事もあり、演技の方はバッチリ。
安心して観れていたと思う。(アクション・シーンもなんなくこなしていた)
二女役の『風間由真』(中村由真)は、その点、まだまだセリフは棒読み。
アクションも何とかついていってるようで、他の二人が上手い分、タイミングや粗が見え隠れしていた。(デビューしたばかりだったし、実際は唯よりも年齢は年下だったのだ)
でも、この3人の魅力が番組を支え、視聴者を捉えて離さず『スケバン刑事』シリーズとしては、初の視聴率を20%越えを達成する。
ただ、…………この『スケバン刑事 Ⅲ 』、観続けていると、原作者が予期していたように段々とおかしな流れになってくるのだ。
敵の《陰》が、たんなる忍者集団というだけではなく人間離れした妖術使いになっていき、悪の親玉《果心居士》なんてのは、もはや人間でもない、立派な 化け物 なのである。
こんな化け物には出来ない事など、全くないのだ!
その証拠に、時空を歪めたり、人の成長をとめたり、念じるだけでどんなモノでも動かしたり …… もう、なんでもござれだ。(ちょっと、やり過ぎじゃねぇ〜の?)
そんな敵に、合金ヨーヨーやら、金属製の折り鶴やら、ましてや(チャチな)編み物のリリアン棒で立ち向かうなんて、だいぶ分が悪すぎやしないか?(笑)
まぁ、ラストは唯の投げるヨーヨーに不思議な力が宿り、それで簡単に仕留めたんだけどさ。(こっちも、こっちでリアリティーなんて完全に無視。なんでもござれでございました(笑))
だいぶ破綻した展開で、長きに渡って続いていた『スケバン刑事』シリーズは、こうして幕を閉じることになる。(ご苦労さま)
それでも、この放送が終わってからも、この三姉妹の友情だけは続いてゆく。
たま〜に、忘れた頃に今でも3人集まっては、『スケバン刑事』コンサートなんてものを、やっちゃったりもしている。
本当に仲の良い3人なんだろうなぁ~。
番組は、荒唐無稽で何ともいえない出来であるが、3人の仲の良さと奮闘に、ええい!オマケ!星☆☆☆☆にしておこう。
一挙に書いてみた『スケバン刑事』レビューでございました。