ロジャー・ムーア版007最後の作品。
そして、ビックリしたロジャー・ムーアの変わり具合に。
前作の『オクトパシー』から、僅か2年で、「歳をとったなぁ~」と感じさせるお顔。
無理もないか……撮影時は57歳、公開時は、また1つ歳をとってるし。
最後の敵は、クリストファー・ウォーケン演じるゾーリン。
ステロイド実験により、産まれた超天才ではあるが、それと引き替えに、人間らしさが、まったく欠落した人物である。(科学の進歩は時として、このような悲劇を生む)
ステロイド児として産まれたゾーリンは、憎むべきステロイドなのに、それを使って、競馬の馬にそれを悪用したりもする。(このあたりが、常人とは違う感覚なのだろう……)
このゾーリン、悪役らしく、シリコンバレーに故意に大地震を起こして、都市を一挙に壊滅するという壮大な計画を立てている。
それに、逆らうものは、平気で飛行機から投げ落とすし、ゾーリンの相棒で情婦の『メイデイ』(グレース・ジョーンズ)にも、情容赦なんて一切なし。
でも………何故か?ボンドには優しいゾーリンさん。
ピストルを持っててもボンドを撃ちません。(なぜ?)
地質学者『ステーシー』(タニヤ・ロバーツ)と共にエレベーターに閉じ込めて、エレベーターの天井に火🔥を投げ入れて殺そうとする難儀な道を選択するゾーリン。(撃てば簡単に殺せるのに、逃げるチャンスを、わざわざ作ってやる優しいゾーリンなのである)
「ハハハッ!お別れだよ、ボンド君」
(このセリフ、ボンド映画の中で何人の悪役がつぶやいてきた事だろう)
ビルが火に包まれる前に、さっさと逃げ出すゾーリンたち。
そして案の定、しばらくすると、ボンドはエレベーターの天井を開けて、その上に登って脱出しようとする。(それ見ろ)
業火のエレベーターの中で、ボンドが先に脱出すると、残されたステーシーがギャアー!ギャアー!騒ぎ出した。
まぁ、その超うるさい事よ(笑)
「ジェームズ!Oh~ジェームズ!」
(『チャーリーズエンジェル』では、黒髪だったタニヤ・ロバーツが金髪になって登場。とても地質学者に見えない、おバカそうなボンドガールを演じています。)
エレベーターの扉を、なんとかこじ開けて、消防ホースを綱がわりに垂らすボンド。
「それに捕まるんだ!ステーシー!」
「Oh〜!ジェームズ!、ジェームズ!」
(うるさいタニヤ、さっさと登って来いや!(笑))
それでも、業火のビルから、うるさいステーシーと共に、なんとか脱出した『ボンド』(ロジャー・ムーア)。(ほんと、ご苦労様)
クライマックスも、ゾーリンが逃げる飛行船にロープ1本で捕まるボンド。
ゴールデン・ゲート・ブリッジに、そのロープを結びつけると、止まった飛行船から、斧を持ったゾーリンが、ボンドめがけて襲ってくる。
「Oh!ジェームズ!Oh!ジェームズ!!」
飛行船の中からは、ゾーリンに拉致されたステーシーの叫び声。(本当に叫ぶばかりしか能のないタニヤ・ロバーツ……段々、この辺りまでくると、このおバカなタニヤ・ロバーツが可愛く見えてくるから不思議だ)
叫ぶステーシーを助けだしながら、宿敵ゾーリンを見事に倒すボンドなのであった………。
この、おバカそうなタニヤ・ロバーツ効果なのだろうか?………歳をとっていても、今まで経験を積んだロジャー・ムーアが、段々と頼もしく思えてくるから不思議である。
そういう意味では、この、おバカなボンドガール、最後の映画には、最適だったのかもしれないのである。(笑)
主題歌のデュラン・デュランも大ヒット!
ズンズンと心地よく響くサウンドは、とても印象深く、ボンド主題歌では、初めてアメリカで1位をとったほどなのでした。
13年間ご苦労様でした、ロジャー・ムーア。
最後に、有終の美を飾ったボンド映画は、文句なしに星☆☆☆☆☆。
これにて、ロジャー・ムーア版ボンド・レビューは終了である。