1968年 アメリカ。
表向きはSF映画の金字塔。でも、中身は ……
宇宙空間を漂う、四人の乗組員を乗せた宇宙船。
1972年に出発した宇宙船は、約6ヶ月の宇宙の旅を終えて、無事、地球への帰還を目指していた。
船長『テイラー』(チャールトン・ヘストン)だけが起きていて、宇宙船から見える光の粒子の先を見つめている。
他の3人は、コールド・スリープのカプセルで、スヤスヤ冬眠中。
自分たちにとっては、たった半年の旅だったが、地球上では既に、とてつもない、長い年月が経っていた。
「もう、2673年か………」
もはや、自分たちを送り出してくれた人々も、とっくに亡くなっている。
地球は相変わらず戦争を繰り返しているのか………それとも………。
未来の地球に想像をめぐらせながら、テイラーも睡眠の為に注射すると、カプセルの中に潜り込んだ。
(次に目覚める時は地球………)
だが、宇宙船は何かの計器トラブルをおこし、見知らぬ惑星の湖上へ墜落。
唯一の女性隊員は、カプセルの中でミイラ化していた。
「みんな、脱出するんだ!!」
水に浸かった宇宙船の中で、パニックになりながらも、残りの二人の隊員たちと共に、テイラーは脱出した。
未開の惑星の大地に降り立った3人。
「何とか空気はあるが………ここはいったいどこなんだ?!………」
テイラーたちの冒険がはじまる ………
こんな感じで、至極、真面目な様子ではじまる『猿の惑星』なのだが………真面目なのは、ここまで。
ここから先はトンでもない展開の連続である。
島に着いた3人は水場を見つけると大ハシャギ。
着ている宇宙服を脱ぎ捨てて、恥ずかしさも忘れて、素っ裸になると、「キャッ!キャッ!」と大騒ぎ。(いきなりヌーディストクラブ状態)
で、戻ってみると、誰かの手によって衣服は盗まれてる。(素っ裸でど~すんの?この先)
「急いで探すんだ!」『テイラー』(チャールトン・ヘストン)も焦る焦る。(もう、隠す布切れすらないと人間は、こんなにも無力な生き物)
そのうち、3人は猿の騎兵隊たちに捕らえられて檻の中。
ここは高度な知能が発達した猿たちが支配する『猿の惑星』だったのだった………。
もう、こっからは、猿が、素っ裸のチャールトン・ヘストンをいたぶる場面の連続である。
首輪をつけられて、猿ぐつわをかませて、檻に閉じ込めたり、引っ張り回したり、猿たちが集まる中で、またまた全裸にひんむかれたり……
チャールトン・ヘストンも、真っ赤になってます。(これ、もう演技じゃないでしょ?恥ずかしさで、堪えられないような顔でございます)
人間としての尊厳は痛めつけられて、羞恥心までも傷つけられて……
まだ、女優とのラブシーンを演じたりしてる方が、はるかにマシに思えてくる。
でも、こんな映画をよくやったよ、ヘストンも。
ラストのどんでん返しに救われて、この『猿の惑星』は、何とか面目躍如で、SFの傑作という看板になっているが………中身は、チャールトン・ヘストンをいたぶるだけ、いたぶるようなお話である。
俳優の仕事も大変だ。
なみの神経じゃ演れるはずもない。
恥も何もかなぐり捨てて、何にでも成りきらなきゃならないのだから。
そう考えると、ヘストン様の残した偉業(?)は、とても大きいかも。
星☆☆☆☆であ~る。
※あまりの大ヒットに、この後、延々シリーズ化して続いていく『猿の惑星』。(やめときゃいいのに)
続編は、この1作目の名残惜しさというか、ただ余韻にひたるようなモノでした。
私は2作目でガッカリして、見切りをつけました。(それ以降の続編は観ておりません)
興味がある方は観るといいです。
それにしても、ロディ・マクドウォールは、ちと可哀想。
せっかくの出演でも、ずっと《お猿》のメーキャップじゃねぇ〜(この人が、ある意味、一番の被害者なのかもね ( 笑 ) )