1994年 アメリカ。
CIA特殊工作班として働く『レイ・クイック』(シルベスター・スタローン)と上官『ネッド・トレント』(ジェームズ・ウッズ)。
二人はコロンビアで、ある橋に爆弾をしかけた。
ターゲット抹殺の任務の為に。
そして、そこにターゲットを乗せた車が近づいていく。
だが、車の後部座席には幼い子供の姿が。
「おい!計画は中止だ!子供が乗っている!」
レイが叫ぶが、非情なネッドは、「多少の犠牲は必要さ。それにもう遅い」と、ためらいなくスイッチを押した。
橋は吹き飛ばされ、車も大破。
レイは怒り狂った。
「なぜ?殺した?!子供がいたんだぞ!」
「甘いんだよ、お前は!それに上官の俺に逆らうつもりか!」ネッドは罪の欠片さえない。
「貴様~!」二人は言い争いになり、激しい殴りあいになった。
「貴様をCIAの委員会に訴えてやる!」
レイはネッドを道連れに委員会に提訴し、二人は辞職した。
そして、………それから数年が経ち……
レイは、元CIAの技術で、フリーの爆破請負人となっていた。
『悪い奴らだけを始末する!』
そんな目標を自らに掲げているレイは、依頼があっても、簡単には引き受けない。
依頼人が、『嘘を言っていないか』、その依頼人の過去から現在までを徹底的に身元調査する。
そんなレイに連絡が入った。
「ある男たちを殺してほしいの……」
慎重なレイは、依頼人の『メイ・マンロー』(シャロン・ストーン)の電話をバスを乗り継いで、近くの公衆電話で受けた。(もちろん声の録音もしている)
「なぜ、その男たちを殺す必要があるんだ?」
「昔、両親を抹殺されたからよ!」
子供の頃、クローゼットに隠れていて難を逃れたメイは、両親が殺される様の一部始終を、見ていた。
残虐非道に、目の前で殺されていく父と母。
それを笑いながら見つめている男たちの顔。
時が経つほど、その苦しみはひどくなっていく。
次の日、両親の墓参りをするメイを遠くから、観察しているレイ。
(この依頼を引き受けてもいいものだろうか………)
そんなレイが躊躇していると、業を煮やしたメイは復讐の為に、自ら行動しはじめた。
マイアミで、派手にのさばるマフィアの首領『ジョー・レオン』(ロッド・スタイガー)のパーティーに潜り込む。
そこで、そのジョーの息子『トマス』(エリック・ロバーツ)に、色仕掛けで接近したのだ。(シャロン・ストーン姐さん、『ここにあり!』と、いったところか……)
そこで、そのジョーの息子『トマス』(エリック・ロバーツ)に、色仕掛けで接近したのだ。(シャロン・ストーン姐さん、『ここにあり!』と、いったところか……)
トマスはメイに一目惚れで、完全に骨抜き。メロメロ状態だ。
だが、その側にはあの男がいた。
マフィアの首領『ジョー』に雇われて、いまや参謀となっている男。
レイとも因縁のある男。
あの卑劣な『ネッド・トレント』の姿が……。
『クリフハンガー』、『デモリッションマン』と完全に復活したスタローンの、この『スペシャリスト』も90年代に大ヒットした。(実はスタローンの映画でも、この3作は特別に自分のお気に入りである)
とにかく、面白い!
正義の爆破請負人(正義なのかな?)の『レイ』役は、スタローンにしては、珍しく理性的で慎重派。
爆破の専門知識や、それを自在に操る様は、知性すら感じられる。
『ネッド』役のジェームズ・ウッズの憎たらしい悪役ぶりも流石だ。
その顔を見ているだけで、「コイツゥ~!」と思わずにいられない。
眉が薄くてギョロリとした目、広い額には、縦のシワ。
歪んだ口元には、なんともいえない苦々しさがある。
シャロン・ストーンの顔をはたき、警察やマフィアにも、一切、ひるむ事なく、どこまでも威圧的。
完璧なゲス野郎を演じている。(実際のジェームズ・ウッズはIQが高く、頭が良い事で有名)
そして、そして、シャロン・ストーン姐さん。
90年代は、まさにシャロン姐さんの時代。
その豪快な脱ぎっぷりと、色香で次々とヒット作を連発していた。
『トータル・リコール』では、シュワルツェネッガーの股間を蹴り続けていた彼女が、ここでは良い女っぷり全開で、スタローン相手に魅せる、魅せる。
スタローンが有名になってからの、こんな女優相手なんて、この映画が久しぶりだったんじゃないのかな。
スタローンもシャロンも燃える!燃える!(鼻血ブー!モノ)
こんなのは、いくら、あのシュワルツェネッガーでも、絶対に出来なかった事。
シュワルツェネッガーの鍛えられた肉体は、当時、その剛健ぶりには感心しても、どこか笑いが漏れてくるような、アンバランスな印象。
スタローンの均整のとれた鍛え方と、シャロン姐さんのスタイルの良さだからこそ、画面には、美しく映えるのだ。
まぁ、シュワルツェネッガーも完璧ではないって事。
人には出来る事と出来ない事がある。
スタローンの面目躍如ってとこだろうか。
星☆☆☆☆☆であ~る。
※それにしても、時代だなぁ~。この映画で、シャロン姐さんの持つ携帯電話のデカイ事。
これが当時は画期的だったのだ。
こんなもので、時の流れをシミジミ感じてしまう今日この頃なのである。