最近、たまたま2017年の『アンロック / 陰謀のコード』なる映画を観た。
ここでも取り上げようかな~と思ったが、物語があまりにも自分好みじゃないので止めた。
でも、この映画を観ると、ふと見覚えのある顔が ……
マイケル・ダグラスじゃ、あ~りませんか!
思いっきりお爺さんになっているマイケル・ダグラスに愕然。
無理もないか ……… この『アンロック』の時で、既に70を越えているし。
80年代~90年代まで活躍したマイケル・ダグラス。
名優カーク・ダグラスの長男として生まれた彼は、2世のジンクスなどを吹き飛ばして、次々とヒット作に出演した。
そんな作品の中でも強く印象に残っているのが、この『危険な情事』なのである。
ニューヨークで弁護士をしている『ダン・ギャラガー』(マイケル・ダグラス)は、参加した出版パーティーで、ある女性と知り合う。
長いプラチナブロンドの髪にパーマをかけて、ひときわ目立つ女性 ……『アレックス』(グレン・クローズ)。
(何て綺麗な人なんだ……)
エキゾチックなアレックスの姿は、一目でダンに印象つけた。
「じゃ、行ってくるわね」
土曜日、ダンの妻、『ベス』(アン・アーチャー)は、幼い一人娘の『エレン』を連れて実家に出掛けていった。
実家のそばに新居となる家を探す為でもある。
あいにく、ダンは仕事で会議に出席しなければならない。
だが、その会議に行くと偶然にも、あのアレックスがいた。
「あら!」
「やぁ!」
最初はとりとめのない会話が続いたが、お互い第一印象がよかったのだろう …… 二人はすぐに打ち解けた。
打ち解けてくると、ダンには、ムクムクとよこしまな考えが浮かんでくる。
(妻も娘もいない週末……ちょっとくらいなら羽目をはずしても …… )と。(おいおい!)
相手のアレックスもまんざらでもなさそうだ。
どちらからともなく、その夜、二人は一線を越えて関係を結んでしまった。
そして ……… 事が済んで、ここはアレックスのアパート。
アレックスは、ダンの為に甲斐甲斐しく食事を作り始めたのだ。
「スパゲッティーを茹でてるのよ」
嬉しそうに仕度するアレックス。
部屋ではアレックスの趣味のクラッシック音楽がかかっている。
二人は同じ部屋で、同じ音楽を聴きながらも、全く別の事を考えていた。
ダンは、
(お互い大人の男女同志、…… 後腐れなく、一晩限りを楽しんだんだ)
と、浮気を勝手に肯定させては納得している。
一方、アレックスは、
(やっと巡り会えた運命の相手、絶対に逃すもんですか!)
なのだった ………
この後は、もうトラウマになるような恐ろしい怒濤の展開が待っている。
《グレン・クローズ》=《恐ろしい女》
こんなイメージを、この映画では、完全に決定づけてしまった。
それは何十年経った今でも、ずっと尾をひいていて、
普通の役をしても、
(何か、この後に、きっと恐ろしい事をするんじゃないのか?…… )
と思わせてしまうほどなのである。
そのくらい、この映画のインパクトは強かったのだ。
「絶対に別れるもんですか!!」
「何で、すぐに電話に出ないのよ!!」
一夜限りと、高(たか)を括(くく)っていたダンは、アレックスの激しさと束縛に圧倒され続ける。
今までは、一人でクラッシックを聴いていた部屋も大丈夫だった。
でも二人の楽しさを知ってしまった今は、とてもこの孤独に耐えられない。
そうして、偶然を装って、妻のベスに近づきはじめたアレックス。
「妻に近づくな!」
ハラハラするダンは、勝手な理屈で激昂しながら言うが、相手が悪かった。
「ダン、私、妊娠したのよ。喜んでくれるわね?」なんて切り返し。(嘘か本当か)
こんな言動ばかりではない。
アレックスの行動には異常さに拍車がかかって、どんどんエスカレートしていく。
そうして、ついに一線を越えて やらかした!
外出から家に帰宅した妻のベス。
でも、なんだか様子がおかしい。
(何かしら?、台所で火が点いてるの?)
台所にベスが行くと、
「キャアァーーーッ!!」の大絶叫。
レンジの上の大鍋では、グツグツと………
娘のエレンがペットとして飼っていた《ウサギ🐰》が、そのまま丸ごと放り込まれて、顔だけを出しながら、煮たって死んでいたのだった!!(伝説の《ウサギ鍋🐰🍲》シーンである。これゾッ!とします)
この後も、「これでもか!これでもか!」と、次々と繰り出されるアレックスの異常行動に、1秒たりとも目がはなせません。
これを当時、普通に、民放のロードショーで放送していたのだから、幼い子供が目にした日には、恐怖で泣き出すか、ひきつけをおこしていたはずだ。
そんな子供たちの記憶は、大人になった今でも鮮明に残っている。
グレン・クローズが 【恐ろしい女】と言われる所以である。
そして、こんな破壊力のあるシーンの連続で、グレン・クローズの鬼女ぶりばかりが、クローズ・アップされる『危険な情事』だが、マイケル・ダグラスも中々だった。
とにかく『クズ』で『浮気性』な男を演じさせたら、当時、マイケル・ダグラスの右にでる者はいないほど完璧だった。(変な褒め方だが)
その後も『氷の微笑』、『ローズ家の戦争』、『ディスクロジャー』と、マイケルの怪演は続いていく ………
本人は当時、セ●クス依存症に悩まされていたらしいが、なるほど………画面から溢れ漏れるギラギラ感は、これだったのかと納得。
さすがに、今は加齢と共に、依存症も治まってきて本人はホッとしているらしいが……。
「今は落ちついて、安心して生活しているよ」
なんてコメントも。(安心ねぇ~)
ギラギラしたマイケル・ダグラスを知っている自分ら世代には、少々淋しい気もしてくるが。
恐ろしい女っぷりのグレン・クローズと、クズっぷりが光るマイケル・ダグラス。
これも、いつまでも忘れられない青春のトラウマ映画なのである。
星☆☆☆☆☆。