2019年9月24日火曜日

映画 「危険な情事」

1987年 アメリカ。






最近、たまたま2017年の『アンロック / 陰謀のコード』なる映画を観た。


ここでも取り上げようかな~と思ったが、物語があまりにも自分好みじゃないので止めた。


でも、この映画を観ると、ふと見覚えのある顔が ……



マイケル・ダグラスじゃ、あ~りませんか!



思いっきりお爺さんになっているマイケル・ダグラスに愕然。


無理もないか ……… この『アンロック』の時で、既に70を越えているし。




80年代~90年代まで活躍したマイケル・ダグラス


名優カーク・ダグラスの長男として生まれた彼は、2世のジンクスなどを吹き飛ばして、次々とヒット作に出演した。



そんな作品の中でも強く印象に残っているのが、この『危険な情事』なのである。







ニューヨークで弁護士をしている『ダン・ギャラガー』(マイケル・ダグラス)は、参加した出版パーティーで、ある女性と知り合う。


長いプラチナブロンドの髪にパーマをかけて、ひときわ目立つ女性 ……『アレックス』(グレン・クローズ)。


(何て綺麗な人なんだ……)


エキゾチックなアレックスの姿は、一目でダンに印象つけた。




「じゃ、行ってくるわね」

土曜日、ダンの妻、『ベス』(アン・アーチャー)は、幼い一人娘の『エレン』を連れて実家に出掛けていった。


実家のそばに新居となる家を探す為でもある。




あいにく、ダンは仕事で会議に出席しなければならない。


だが、その会議に行くと偶然にも、あのアレックスがいた。

「あら!」

「やぁ!」

最初はとりとめのない会話が続いたが、お互い第一印象がよかったのだろう …… 二人はすぐに打ち解けた。




打ち解けてくると、ダンには、ムクムクとよこしまな考えが浮かんでくる。


(妻も娘もいない週末……ちょっとくらいなら羽目をはずしても …… )と。(おいおい!)


相手のアレックスもまんざらでもなさそうだ。


どちらからともなく、その夜、二人は一線を越えて関係を結んでしまった。





そして ……… 事が済んで、ここはアレックスのアパート。



アレックスは、ダンの為に甲斐甲斐しく食事を作り始めたのだ。


「スパゲッティーを茹でてるのよ」

嬉しそうに仕度するアレックス。


部屋ではアレックスの趣味のクラッシック音楽がかかっている。


二人は同じ部屋で、同じ音楽を聴きながらも、全く別の事を考えていた。


ダンは、

(お互い大人の男女同志、…… 後腐れなく、一晩限りを楽しんだんだ)

と、浮気を勝手に肯定させては納得している。




一方、アレックスは、

(やっと巡り会えた運命の相手、絶対に逃すもんですか!)

なのだった ………




この後は、もうトラウマになるような恐ろしい怒濤の展開が待っている。



《グレン・クローズ》=《恐ろしい女》



こんなイメージを、この映画では、完全に決定づけてしまった。



それは何十年経った今でも、ずっと尾をひいていて、


普通の役をしても、

(何か、この後に、きっと恐ろしい事をするんじゃないのか?…… )

と思わせてしまうほどなのである。



そのくらい、この映画のインパクトは強かったのだ。




「絶対に別れるもんですか!!」


「何で、すぐに電話に出ないのよ!!」




一夜限りと、高(たか)を括(くく)っていたダンは、アレックスの激しさと束縛に圧倒され続ける。



今までは、一人でクラッシックを聴いていた部屋も大丈夫だった。


でも二人の楽しさを知ってしまった今は、とてもこの孤独に耐えられない。




そうして、偶然を装って、妻のベスに近づきはじめたアレックス。


「妻に近づくな!」

ハラハラするダンは、勝手な理屈で激昂しながら言うが、相手が悪かった。


「ダン、私、妊娠したのよ。喜んでくれるわね?」なんて切り返し。(嘘か本当か)


こんな言動ばかりではない。

アレックスの行動には異常さに拍車がかかって、どんどんエスカレートしていく。



そうして、ついに一線を越えて やらかした!





外出から家に帰宅した妻のベス。


でも、なんだか様子がおかしい。


(何かしら?、台所で火が点いてるの?)



台所にベスが行くと、


「キャアァーーーッ!!」の大絶叫。




レンジの上の大鍋では、グツグツと………


娘のエレンがペットとして飼っていた《ウサギ🐰》が、そのまま丸ごと放り込まれて、顔だけを出しながら、煮たって死んでいたのだった!!(伝説のウサギ鍋🐰🍲シーンである。これゾッ!とします)





この後も、「これでもか!これでもか!」と、次々と繰り出されるアレックスの異常行動に、1秒たりとも目がはなせません。




これを当時、普通に、民放のロードショーで放送していたのだから、幼い子供が目にした日には、恐怖で泣き出すか、ひきつけをおこしていたはずだ。



そんな子供たちの記憶は、大人になった今でも鮮明に残っている。



グレン・クローズが 恐ろしい女と言われる所以である。




そして、こんな破壊力のあるシーンの連続で、グレン・クローズの鬼女ぶりばかりが、クローズ・アップされる『危険な情事』だが、マイケル・ダグラスも中々だった。



とにかく『クズ』で『浮気性』な男を演じさせたら、当時、マイケル・ダグラスの右にでる者はいないほど完璧だった。(変な褒め方だが)



その後も『氷の微笑』、『ローズ家の戦争』、『ディスクロジャー』と、マイケルの怪演は続いていく ………



本人は当時、セ●クス依存症に悩まされていたらしいが、なるほど………画面から溢れ漏れるギラギラ感は、これだったのかと納得。



さすがに、今は加齢と共に、依存症も治まってきて本人はホッとしているらしいが……。



「今は落ちついて、安心して生活しているよ」

なんてコメントも。(安心ねぇ~)



ギラギラしたマイケル・ダグラスを知っている自分ら世代には、少々淋しい気もしてくるが。




恐ろしい女っぷりのグレン・クローズと、クズっぷりが光るマイケル・ダグラス。



これも、いつまでも忘れられない青春のトラウマ映画なのである。


星☆☆☆☆☆。