1949年 イタリア。
まだまだ戦後で、トラクターもなかった時代……。
北イタリアでは、5月になると大勢の女たちが米作りの為に集まる。
労働手帳を持って、女たちは広大な水田地帯で一定期間、出稼ぎ労働者となるのだ。
「こんな過酷な労働は、女性たちにしか出来ません」ニュース中継のアナウンサーが、集まった女性たちを撮しながら誉め称える。(よく言うよ)
駅には、その為の、専用の《稲作列車》なるモノまで待機していた。
そんな、列車が出発待ちの間、人混みの中に怪しいカップルの姿が………。
男の名は『ワルテル』(ヴィットリオ・ガスマン)、女は『フランチェスカ』(ドリス・ダウンリング)。
グランド・ホテルから高価な宝石を盗んだばかりだった。
「いいか、この宝石を守るんだ!」ワルテルは、そう言うとフランチェスカに渡した。
列車の側では、退屈しのぎに持参した蓄音機の音楽に、狂ったように踊る『シルヴァーナ』(シルヴァーナ・マンガーノ)がいる。
それを外野が取り囲んで大騒ぎしてると、ワルテルはニヤニヤ顔で、シルヴァーナとダンスに興じ始めた。
「へ~え、上手いじゃないの!」
シルヴァーナもノリノリだ。
ブスっとした顔でそれを見ているフランチェスカ。
踊りながら回転しているシルヴァーナの手が、ワルテルの麦わら帽子を払いのけて落ちた。(わざと)
焦るワルテル、そこへ「いたぞー!この泥棒ー!!」の声。
騒然とした中、ワルテルは一目散に逃げ出した。
しばらくして列車が出発すると、浮かない顔でフランチェスカが、ひとりきり乗車している。
次の客車に移ろうとドアを開けると、目の前には、あのシルヴァーナの姿が。
「あんたの彼氏、あれからどうしたのさ?いい男じゃないの」
「私には関係ないわ。それより仕事が欲しいのよ」
(なんか怪しいわ……あの彼氏も、この女も………)
列車は、様々な事情を抱えた女たちを乗せて、水田地帯を目指して走っていく。
駅に着くと、何台もの大型トラックの荷台に乗り込んだ女たち。
軍隊が兵舎として使っていた場所に向かって走り出す。
そして、そこは、40日間彼女たちの寝ぐらとなるのだ。
「ここを使うといい」
2枚目でイキなマルコ軍曹にフランチェスカも微笑むが、シルヴァーナは「軽い男!」とばかりに歯牙にもかけない。
「みんなベッドを整えるんだ!」
ズタ袋に藁を押し込んでの寝床つくり。
だが、フランチェスカが目を離した隙に、ベッドの下に隠した宝石が、いつの間にかなくなってる!
「ない!ないわ!どこにも……!!」
その時、現場監督から、「契約をしてない者は帰ってもらうぞ!」の大声が。
(そんな………何としても雇ってもらわなくては………宝石を探せやしない………)
焦るフランチェスカ。
侮蔑の表情を浮かべたシルヴァーナが、それを遠くから見つめているのだった ………
《 原爆女優 》なんて酷いアダ名、いったい誰がつけたのか。
名前だけは知っていて、昔から気になっていた、『シルヴァーナ・マンガーノ』。
この度、やっとお目にしにました。(TSUTAYA発掘良品アリガトウ~)
このネーミング、「あんまりだろう…」と思っていたが、観てみて納得!
もう、この人を観てしまった後では、セクシーだと言われていた、ブリジッド・バルドーもマリリン・モンローも、全てのセクシー女優たちは霞んでしまう。
見よ!コレを!!
これは、まるで《 ロケット 》!!
今にも某アニメのようにミサイルでも発射しそうである(笑)。
腰も、太股も、ドド~ン!
これぞ、魅惑のダイナマイト・ボディー。
この迫力あるボディーに対して、お顔も何て可愛らしくて綺麗な事か。
もう、もう、いっぺんで好きになってしまった《 シルヴァーナ・マンガーノ 》様である。
この映画にしても、観る前は、(稲作だとか、米作りだとか、こんな地味な主題が映画になるの? 映画になっても、どうせ、つまらんシロモノでしょ?)と思っていたらとんでもなかった。
超面白い!
犯罪ドラマであり(無くなった宝石は何処へ?)、2組の男女のメロドラマであり、イタリアの過酷な米作りを知る事も出来るという、何とも形容しがたいような映画である。
腰が痛くても、雨に打たれても、女たちは懸命に働き続ける。
一粒の米が出来るのは、女たちの流した汗と涙から……。
これを観れば、毎度毎度頂くご飯なんて、農家の方々に感謝せずにはいられません。
腰が痛くても、雨に打たれても、女たちは懸命に働き続ける。
一粒の米が出来るのは、女たちの流した汗と涙から……。
これを観れば、毎度毎度頂くご飯なんて、農家の方々に感謝せずにはいられません。
そして、やっぱり、シルヴァーナ・マンガーノ。
この人が映ると、どうしても目はそちらを追ってしまう。
これを、この肢体を、当時の人たちは、どういう想いで見ていたのか……
まだまだ戦後で、食べる物にも事欠くような時代。
みんなお腹を空かせていては、ガリガリだったはずだ。
そんな中に、このシルヴァーナ・マンガーノが、ドドーン!と目の前に現れれば、そりゃ、見た目のビジュアルは相当な破壊力だっただろう。
《 原爆 》並の破壊力……酷いネーミング・センスだが、分かるような気もする。
スレンダーがトレンドの現代、女性たちは体重を気にしながら、こぞってダイエットにいそしんでいるが、男の自分からしたら少しふっくらしてる方が充分に可愛いと思う。
男は女性の《 丸み 》に安心感や安らぎを感じて、惚れてしまうのだ。
シルヴァーナ・マンガーノ様は、そういう意味でも、当時、世の男たちの女神(ミューズ)だったのだろう。
私も今更ながらフアンになってしまいました。(マンガーノ様の他の映画も探してみよう、っと!)
星☆☆☆☆。