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2020年8月7日金曜日

映画 「にがい米」

1949年 イタリア。






まだまだ戦後で、トラクターもなかった時代……。



北イタリアでは、5月になると大勢の女たちが米作りの為に集まる。

労働手帳を持って、女たちは広大な水田地帯で一定期間、出稼ぎ労働者となるのだ。



「こんな過酷な労働は、女性たちにしか出来ません」ニュース中継のアナウンサーが、集まった女性たちを撮しながら誉め称える。(よく言うよ)




駅には、その為の、専用の《稲作列車》なるモノまで待機していた。


そんな、列車が出発待ちの間、人混みの中に怪しいカップルの姿が………。


男の名は『ワルテル』(ヴィットリオ・ガスマン)、女は『フランチェスカ』(ドリス・ダウンリング)。


グランド・ホテルから高価な宝石を盗んだばかりだった。


「いいか、この宝石を守るんだ!」ワルテルは、そう言うとフランチェスカに渡した。




列車の側では、退屈しのぎに持参した蓄音機の音楽に、狂ったように踊る『シルヴァーナ』(シルヴァーナ・マンガーノ)がいる。


それを外野が取り囲んで大騒ぎしてると、ワルテルはニヤニヤ顔で、シルヴァーナとダンスに興じ始めた。


「へ~え、上手いじゃないの!」

シルヴァーナもノリノリだ。




ブスっとした顔でそれを見ているフランチェスカ。

踊りながら回転しているシルヴァーナの手が、ワルテルの麦わら帽子を払いのけて落ちた。(わざと)



焦るワルテル、そこへ「いたぞー!この泥棒ー!!」の声。


騒然とした中、ワルテルは一目散に逃げ出した。



しばらくして列車が出発すると、浮かない顔でフランチェスカが、ひとりきり乗車している。



次の客車に移ろうとドアを開けると、目の前には、あのシルヴァーナの姿が。


明らかに不審な様子でフランチェスカを見つめるシルヴァーナ。



「あんたの彼氏、あれからどうしたのさ?いい男じゃないの」

「私には関係ないわ。それより仕事が欲しいのよ」



(なんか怪しいわ……あの彼氏も、この女も………)


列車は、様々な事情を抱えた女たちを乗せて、水田地帯を目指して走っていく。




駅に着くと、何台もの大型トラックの荷台に乗り込んだ女たち。

軍隊が兵舎として使っていた場所に向かって走り出す。

そして、そこは、40日間彼女たちの寝ぐらとなるのだ。



「ここを使うといい」

兵舎に着くと、『マルコ軍曹』(ラフ・ヴァローネ)が、フランチェスカとシルヴァーナの為に2段ベッドを空け渡してくれた。


《なぜか? いつでも、どこでも胸毛全開の『マルコ軍曹』(ラフ・ヴァローネ)さん》




2枚目でイキなマルコ軍曹にフランチェスカも微笑むが、シルヴァーナは「軽い男!」とばかりに歯牙にもかけない。





「みんなベッドを整えるんだ!」


ズタ袋に藁を押し込んでの寝床つくり。


だが、フランチェスカが目を離した隙に、ベッドの下に隠した宝石が、いつの間にかなくなってる!


「ない!ないわ!どこにも……!!」


その時、現場監督から、「契約をしてない者は帰ってもらうぞ!」の大声が。



(そんな………何としても雇ってもらわなくては………宝石を探せやしない………)

焦るフランチェスカ。



侮蔑の表情を浮かべたシルヴァーナが、それを遠くから見つめているのだった ………





《 原爆女優 》なんて酷いアダ名、いったい誰がつけたのか。



名前だけは知っていて、昔から気になっていた、『シルヴァーナ・マンガーノ』。


この度、やっとお目にしにました。(TSUTAYA発掘良品アリガトウ~)



このネーミング、「あんまりだろう…」と思っていたが、観てみて納得!



もう、この人を観てしまった後では、セクシーだと言われていた、ブリジッド・バルドーもマリリン・モンローも、全てのセクシー女優たちは霞んでしまう。



見よ!コレを!!



これは、まるで《 ロケット 》!!



今にも某アニメのようにミサイルでも発射しそうである(笑)。




腰も、太股も、ドド~ン!

これぞ、魅惑のダイナマイト・ボディー。



この迫力あるボディーに対して、お顔も何て可愛らしくて綺麗な事か。



もう、もう、いっぺんで好きになってしまった《 シルヴァーナ・マンガーノ 》様である。




この映画にしても、観る前は、(稲作だとか、米作りだとか、こんな地味な主題が映画になるの? 映画になっても、どうせ、つまらんシロモノでしょ?)と思っていたらとんでもなかった。



超面白い!



犯罪ドラマであり(無くなった宝石は何処へ?)、2組の男女のメロドラマであり、イタリアの過酷な米作りを知る事も出来るという、何とも形容しがたいような映画である。





腰が痛くても、雨に打たれても、女たちは懸命に働き続ける。



一粒の米が出来るのは、女たちの流した汗と涙から……。



これを観れば、毎度毎度頂くご飯なんて、農家の方々に感謝せずにはいられません。





そして、やっぱり、シルヴァーナ・マンガーノ。

この人が映ると、どうしても目はそちらを追ってしまう。





これを、この肢体を、当時の人たちは、どういう想いで見ていたのか……




まだまだ戦後で、食べる物にも事欠くような時代。

みんなお腹を空かせていては、ガリガリだったはずだ。




そんな中に、このシルヴァーナ・マンガーノが、ドドーン!と目の前に現れれば、そりゃ、見た目のビジュアルは相当な破壊力だっただろう。




《 原爆 》並の破壊力……酷いネーミング・センスだが、分かるような気もする。




スレンダーがトレンドの現代、女性たちは体重を気にしながら、こぞってダイエットにいそしんでいるが、男の自分からしたら少しふっくらしてる方が充分に可愛いと思う。



男は女性の《 丸み 》に安心感や安らぎを感じて、惚れてしまうのだ。



シルヴァーナ・マンガーノ様は、そういう意味でも、当時、世の男たちの女神(ミューズ)だったのだろう。



私も今更ながらフアンになってしまいました。(マンガーノ様の他の映画も探してみよう、っと!)

星☆☆☆☆。