2018年11月11日日曜日

映画 「風と共に去りぬ」

1939年 アメリカ。






この映画が有名でいて、傑作なのは全世界でご承知なのだが、つらつらと自分なりに書いてみたいので、少々お付きあい下さいませ。




1860年代、奴隷制度がのこるアメリカ南部。



タラの農園主で、広大な土地をもつ父や母と二人の妹たち、黒人の召し使いマミーや何人かの使用人たちに囲まれて、『スカーレット・オハラ』(ヴィヴィアン・リー)は何不自由ない生活をしていた。



姉妹の中でも、たぐいまれな美貌を備えていることを、本人も充分に自覚していたので、周りの男たちなどは、簡単にメロメロにできたいた。



『男なんて、ちょっとツンとしたり、甘えたり、微笑んだりすれば簡単よ』(この性格なら、現代なら銀座のホステス、ナンバーワンになれただろうに…)



だが、そんな男たちに愛嬌を振りまきながらも、ウィルクス家の美青年『アシュレー』(レスリー・ハワード)だけは別格だった。





アシュレーが、いとこの『メラニー』(オリヴィア・デ・ハヴィランド)と結婚するとの噂を聞いても、


『何かの間違いよ、アシュレーが愛してるのは私だけなのよ!』(スゲー自信!)



舞踏会が開かれて、出かけていくと、たちまち男たちにチヤホヤされご満悦のスカーレット。




アシュレーに清楚なメラニーを紹介されても、自信は揺らぐことはない。




『あんな退屈なメラニーなんかより私を愛してるのよ、アシュレーは!』


アシュレーが一人きりになる機会をみつけて、モーレツに迫るスカーレット!





が、アシュレーにハッキリと拒絶されてしまった。


『なぜ?なぜなのよ!?』


激しく怒り狂うスカーレットは、アシュレーが退散すると、近くの花瓶を投げつけた!(ガシャーン!)




すると、割れた花瓶がある、ソファーの影から男がスックと立ち上がった。



それの一部始終をみていたのが『レッド・バトラー』(クラーク・ゲーブル)だったのだ。


からかうバトラーに頭から湯気がでるスカーレット。




頭に来て、部屋を出ていくと、女たちはスカーレットの悪口を言い合っていた。


『誰にでも色目を使って』

『最低よ、あの女!』(同性にはケチョンケチョンに嫌われる)




そんななかでメラニーだけがスカーレットを庇いだてするのだった。



まさに、スカーレット最悪の日。



(もう、こうなりゃヤケクソ……)と、近くにいたメラニーの兄と強引に結婚の約束をしてしまったスカーレット。


だが、そんな時、時代は南北戦争の開戦を告げるのであった…………。






この原作が書かれたのが1936年。



発表された当時は、スカーレット・オハラのキャラクターが強烈だったが、現代ではそう珍しくもなくなってきた。




大概、事件や犯罪に巻き込まれるのは、この手のタイプの女性じゃなかろうか。



思い込みが強くて、「自分は間違っていない!」と言い張る自我の強さ。


何もかも衝動的で、自分の欲望の為なら他の人の気持ちなど一切考えないで突き進む。




反対にメラニーのような女性は、とんと見かけなくなった。

慎み深くて、思いやりがあり、愛情溢れる女性(絶滅とは言いたくない。まだまだ、こんな女性もたくさんいるんでしょうけど … )



男なら、必ずメラニーを選ぶはずだ。


スカーレットとの未来には安息など無いことを分かっているから。



でも、もし《スカーレットのようなタイプの女》と結婚したら、どうなるのか?



スカーレットそのものであるヴィヴィアン・リーは、俳優のローレンス・オリヴィエと結婚した。


お互いに一目惚れだったのだろうか……



だが、ローレンス・オリヴィエにとって、この結婚は、まさに地獄の始まりだったのである。





突然、オリヴィエを怒鳴りつけたと思ったら、次の瞬間には、スイッチが切れたようにキレまくる。(ヤバイ)



まさに、映画を地でいくような精神のアップダウンの激しさ。



オリヴィエは、舞台に、映画に出ながらも心休まる日はなくなったのだった。



リーは精神を病んでいたのだ。(双極性障害)



公衆の面前では全裸になる事もあったという。(もう、ちょっとどころじゃないヤバさだ)




仕事から疲れて帰ってくると、家の中はメチャクチャ。


家の外にも、毎日リーの怒号や叫び声が聞こえていたというのである。(ここまでいくと即、入院レベルだろうに)




それでも二人の結婚は20年間も続いたのだった。(オリヴィエも大変だったろうに……本当にご苦労様である)



それから1967年、自宅の寝室の床に倒れて、リーは死んでいるのを発見されたそうな。




こうやって書くと、なんとも悲惨な結末に胸が痛くなるが……映画ではドラマチックな気性は見栄えはしても、現実の生活では「お願いだから勘弁して!」って感じである。




そして、他の出演者たちはというと………



レッド・バトラー役のクラーク・ゲーブルは、1960年にマリリンモンロー最後の主演『荒馬と女』の撮影を最後に亡くなった。



アシュレー役のレスリー・ハワードは1943年、飛行機に乗っている時、ドイツの空軍に攻撃されて死亡。(だいぶ若い)




みんな、みんな、風と共に去ってしまった………………

いや、待てよ!


現代でも生きている人がいた!!



メラニー役のオリヴィア・デ・ハヴィランド、2018年11月も健在、御年102歳(ヒェー)である。



彼女の長寿を祝い、結びにしたいと思う。




映画は不動の面白さで、これから先も延々伝えられるだろうの名作ゆえ、もちろん星☆☆☆☆☆である。



※《後記》この文の後、しばらくしてオリヴィア・デ・ハヴィランドも、とうとう2020年にお亡くなりになってしました。

享年104歳。(それでも、「ヒーッ!凄い!」)



これぞ、まさに大往生である。



これにて、完全に、皆が、『風と共に去っていった』のでした。