2023年7月5日水曜日

ドラマ 「《密会の宿》シリーズ 」

 1984年〜1993年。(土曜ワイド劇場より〜 全8作)




東京は新宿某所にあるという、連れ込み旅館《くわの》。


亡夫が残してくれた遺産ともいうべき、この旅館を一生懸命切り盛りするのが、美人女将・『桑野厚子』(松尾嘉代)である。


そんな《くわの》に居候を決めこんでいるのが亡夫の会社の後輩だった『久保隆』(森本レオ)だ。


目下、ノンフィクション大賞を目指し、コツコツ小説を書いてる日々なのだが …… この小説、いつになったら完成するのやら ……


暇さえあれば、旅館に泊まりにきた男女の営みを、秘密の隠し穴からこっそり覗き見👁️して楽しんでいるのだ。(亡夫もとんでもない仕掛けを作ったものよ)


「また覗いてる!」

厚子に咎められて、そそくさと小説を書くふりをはじめる隆。

そんな隆に呆れながらも、あまり怒ってはない様子の厚子。


この二人、いわば事実婚のようなもの。

ようするに、デキちゃってるのだ!


むしろベタ惚れなのは厚子の方である。(こんな男の、一体どこが良いのやら)


他人から見れば、ヒモ男を養ってるような、ただの都合の良い女である。(「余計なお世話!」とは厚子の弁明)


そんな《奇異》な関係の二人が住む、旅館《くわの》には、今日も曰く付きの男女がやって来て ……


原作はミステリー作家の重鎮・佐野洋(さの よう)さん。(徳間文庫から出ておりました)


ドラマ一作目は、『密会の宿 殺人事件』で(画質の悪さはあれど)今回、久しぶりに観れました。


そうして、(ああ、こんな感じ … )と段々思い出してきた。


このドラマの中の、森本レオの自堕落な《ヒモ生活》に憧れた時期もあったのだ。(いけないことだけど)


なんせ働かなくても、美人の『厚子』(松尾嘉代)が全て面倒みてくれる。

住まいを与えて、三度三度食事まで作ってくれて、お小遣いまでもらえちゃうのだ。


オマケに別の特別な欲求も厚子が満たしてくれて ……


世の男にとっては、まさに《パラダイス生活》じゃないか!


そういう所ばかりに感心していたので、肝心のドラマの内容なんてのはすっかり忘れておりました。


この第一作目は、旅館《くわの》の近所にある大手美容室が舞台となっている。(主人公・厚子も、ここの常連客)



美容サロン『ベル』を取り仕切るのは『牧村芳江』(吉行和子)。(夫・健介は病気の為、只今入院中)

そこで働くのが健介の実弟である『秀之』(荻島真一)と、その妻『絹子』(平淑恵)である。


この夫婦、借金まみれであちこちを逃げ回ったあげく、東京にいる兄・健介のところに転がり込んできたのだ。


温情ある健介は、借金を肩代わりしてくれて、それ以来、二人を住み込みで働かせてやっている。

「一生懸命、心を入れ替えて働きます!」


そんな宣言をしてから5年の歳月が経ち、店はなんとか繁盛してるものの ……


『秀之』(荻島真一)の方はというと、生粋の女ったらしで、今日も女性客とイチャイチャしてる。


仕事の合間にも(隙あらば … )と客の車の中で《やりだしたり》するのだからたまらない。(ちゃんと仕事せえよ(笑))



それに慌てて駆けつけてくる妻・『絹子』(平淑恵)。


そんな二人に、

「またやってるわ!全く、もうしょうがないわねぇ~ …… 」と義姉『芳江』(吉行和子)は、常連客の『厚子』(松尾嘉代)相手に愚痴がとまらない様子。



でも、数日後、

こんな芳江が義弟の秀之に誘われて、旅館《くわの》に客としてやって来たのだから、厚子はもうビックリ!仰天!!(⁠´⁠⊙⁠ω⁠⊙⁠`⁠)⁠!



バツの悪そうな芳江は厚子の顔をまともに見れやしない。

いつの間にか、芳江は義弟・秀之の手練手管ですっかり秀之の《情婦》になり下がっていたのだった。


最初は顔なじみの厚子に遠慮していたものの、一旦部屋に入ればこんなものである。(女は怖いねぇ~(笑))


そこへ、しばらくしてから、妻の絹子が怒鳴りこんできたから、またもや厚子は2度びっくり!



絹子は厚子の制止をふりきって、一目散に二階へと駆け上がっていった。


そこでは、たちまち修羅場!

絹子は、ポケットに忍ばせていたシザーズ(美容ハサミ)を、芳江めがけて思いっきり突き立てたのだ!



「ギャアアアーーーッ!!」

旅館中に鳴り響く大絶叫。


腰の抜けた秀之が降りてきて、旅館《くわの》はてんやわんや。

警察がすぐさまやって来て、絹子を逮捕していくと、今度は、噂を聴きつけたマスコミが大勢でやって来る。


こうして、普段ひっそりした《くわの》の静寂はやぶられたのだった。



だが、元来、人のよい厚子は逮捕された絹子にも同情的だ。

普段から真面目で仕事熱心だった絹子を信用しているのだ。


知り合いの弁護士を紹介してやったり、少しでも絹子の刑が軽くなるようにと、近所でも嘆願書を集めたりする。




「私が馬鹿だったんですぅー!許してくれ、絹子ぉぉーー!」

夫の秀之は、涙ながらに裁判で答弁したりする。(どうも演技過剰過ぎるが)




夫に裏切られた可哀想な妻 …… 

加害者・絹子には、世間もしだいに同情ムードになってきた。


…… そうして1年後の判決 ……

「主文、牧村絹子には懲役3年、執行猶予5年の刑を言い渡す」

裁判でも、服役しなくてすむような温情判決が出たのだ。



誰もが喜ぶ中、どうもスッキリしない顔をしている者が一人。

『久保隆』(森本レオ)である。


「どうして、《あの時》、秀之は内側からしっかり部屋の鍵をかけなかったんだろうか? …… 普通なら事におよぶ前に鍵をかけるはずなのに …… 」

「そういえば …… 」厚子も隆に諭(さと)されて、疑惑がモヤモヤと湧き上がってくる。


オマケに、この裁判中に病気で長い間入院していた兄の健介までもが亡くなっているのだ。


新宿の美容サロンのビルや遺産は、ざっと見積っても2億円 以上になるらしい。


芳江が殺されて、健介が亡くなり、それを相続するのは、ただ一人、不肖の弟 秀之なのだ!


これは最初から秀之・絹子夫婦が、旅館《くわの》を利用して企んだ 計画殺人じゃなかったのか?!


こんな結論に達した二人。



「それが本当だったら、とても許せないわ!」

この推理をぶつけるため、憤慨した厚子は釈放されたばかりの絹子を訪ねていくのだが ……




第一作目でコレなんだから、二作目、三作目以降はどうなっていくんだろう、このシリーズ!(全8作あります。早く配信でも、BOXでもいいから出してほしいわ)


面白かった。


この第一作目に関しては、松尾嘉代さんも、森本レオさんも、平淑恵さんにしても、皆さん充分に印象深いのだけど、やっぱ殊勲賞はこの方に差し上げたい。


👑荻島真一さん👑


スケコマシ顔から〜みっともない泣き顔、

オマケに、こんなヘナチョコ顔まで、よくもまぁ〜、自在に豹変できるわ!


この秀之役にしても、「ナンなんだ!コイツ!!」っていうような本当にクズ男の役である。


24時間 暴走・下半身男》とでも命名したいくらいだ。(大笑🤣)


この後も、秀之の下半身の暴走は、当然おさまらず ……


若手の女優と知り合っては、簡単に、こんな風になっております。


そうして、莫大な遺産を手に入れた秀之のセリフが、また凄い。


「美容師?あんな仕事もう、やりたくないねぇ~。あの仕事やってると、ずっと立ったまんまで腰が痛くなっちゃってさ~」


笑わせる。こんな秀之には逆に、こうツッコんでやりたい。


オマエは女と見れば、ずっと、おっ勃ったまんまで、腰はいつも動きっぱなしじゃないか!と。←お下品なツッコミ(笑)


でも、こんな秀之は、ある意味、世の男にとっては羨ましい存在なのかもしれない。


そうして、ココにも秀之に嫉妬する輩が一人いる。


「オタクの旦那さん、女優●●の家で、こっそり逢い引きしてますよ」

こんな要らぬ電話を妻の『絹子』(平淑恵)に、してしまう『久保隆』(森本レオ)。


こんなくだらない事してないで、アンタは家に帰って、とっとと小説を完成させなよ!(笑)


こんな余計な電話のせいで、またもや修羅場が待ち構えているのは、もはやお約束である。


酒を呑みながら、こんなドラマをツマミにして、大笑いする夜。


ん〜、やっぱり昭和のドラマは《格別》だわ〜。


感心したところで、星☆☆☆☆であ〜る。


※尚、この《密会の宿 シリーズ》は、配役を変えた岡江久美子東幹久版もあるのだが、私としては、ん〜、なんか違うんだよなぁ~。

淫靡(いんび)さや毒っ気を楽しむのなら、やっぱ、松尾嘉代森本レオ版に肩入れしてオススメしときます。