1984年〜1993年。(土曜ワイド劇場より〜 全8作)
東京は新宿某所にあるという、連れ込み旅館《くわの》。
亡夫が残してくれた遺産ともいうべき、この旅館を一生懸命切り盛りするのが、美人女将・『桑野厚子』(松尾嘉代)である。
そんな《くわの》に居候を決めこんでいるのが亡夫の会社の後輩だった『久保隆』(森本レオ)だ。
目下、ノンフィクション大賞を目指し、コツコツ小説を書いてる日々なのだが …… この小説、いつになったら完成するのやら ……
暇さえあれば、旅館に泊まりにきた男女の営みを、秘密の隠し穴からこっそり覗き見👁️して楽しんでいるのだ。(亡夫もとんでもない仕掛けを作ったものよ)
「また覗いてる!」
厚子に咎められて、そそくさと小説を書くふりをはじめる隆。
そんな隆に呆れながらも、あまり怒ってはない様子の厚子。
この二人、いわば事実婚のようなもの。
ようするに、デキちゃってるのだ!
むしろベタ惚れなのは厚子の方である。(こんな男の、一体どこが良いのやら)
他人から見れば、ヒモ男を養ってるような、ただの都合の良い女である。(「余計なお世話!」とは厚子の弁明)
そんな《奇異》な関係の二人が住む、旅館《くわの》には、今日も曰く付きの男女がやって来て ……
原作はミステリー作家の重鎮・佐野洋(さの よう)さん。(徳間文庫から出ておりました)
ドラマ一作目は、『密会の宿 殺人事件』で(画質の悪さはあれど)今回、久しぶりに観れました。
そうして、(ああ、こんな感じ … )と段々思い出してきた。
このドラマの中の、森本レオの自堕落な《ヒモ生活》に憧れた時期もあったのだ。(いけないことだけど)
なんせ働かなくても、美人の『厚子』(松尾嘉代)が全て面倒みてくれる。
住まいを与えて、三度三度食事まで作ってくれて、お小遣いまでもらえちゃうのだ。
オマケに別の特別な欲求も厚子が満たしてくれて ……
世の男にとっては、まさに《パラダイス生活》じゃないか!
そういう所ばかりに感心していたので、肝心のドラマの内容なんてのはすっかり忘れておりました。
この第一作目は、旅館《くわの》の近所にある大手美容室が舞台となっている。(主人公・厚子も、ここの常連客)
美容サロン『ベル』を取り仕切るのは『牧村芳江』(吉行和子)。(夫・健介は病気の為、只今入院中)
そこで働くのが健介の実弟である『秀之』(荻島真一)と、その妻『絹子』(平淑恵)である。
この夫婦、借金まみれであちこちを逃げ回ったあげく、東京にいる兄・健介のところに転がり込んできたのだ。
温情ある健介は、借金を肩代わりしてくれて、それ以来、二人を住み込みで働かせてやっている。
「一生懸命、心を入れ替えて働きます!」
そんな宣言をしてから5年の歳月が経ち、店はなんとか繁盛してるものの ……
『秀之』(荻島真一)の方はというと、生粋の女ったらしで、今日も女性客とイチャイチャしてる。
仕事の合間にも(隙あらば … )と客の車の中で《やりだしたり》するのだからたまらない。(ちゃんと仕事せえよ(笑))
そんな二人に、
「またやってるわ!全く、もうしょうがないわねぇ~ …… 」と義姉『芳江』(吉行和子)は、常連客の『厚子』(松尾嘉代)相手に愚痴がとまらない様子。
でも、数日後、
こんな芳江が義弟の秀之に誘われて、旅館《くわの》に客としてやって来たのだから、厚子はもうビックリ!仰天!!(´⊙ω⊙`)!
バツの悪そうな芳江は厚子の顔をまともに見れやしない。
いつの間にか、芳江は義弟・秀之の手練手管ですっかり秀之の《情婦》になり下がっていたのだった。
最初は顔なじみの厚子に遠慮していたものの、一旦部屋に入ればこんなものである。(女は怖いねぇ~(笑))
そこへ、しばらくしてから、妻の絹子が怒鳴りこんできたから、またもや厚子は2度びっくり!
絹子は厚子の制止をふりきって、一目散に二階へと駆け上がっていった。
この推理をぶつけるため、憤慨した厚子は釈放されたばかりの絹子を訪ねていくのだが ……
第一作目でコレなんだから、二作目、三作目以降はどうなっていくんだろう、このシリーズ!(全8作あります。早く配信でも、BOXでもいいから出してほしいわ)
面白かった。
この第一作目に関しては、松尾嘉代さんも、森本レオさんも、平淑恵さんにしても、皆さん充分に印象深いのだけど、やっぱ殊勲賞はこの方に差し上げたい。
👑荻島真一さん👑
スケコマシ顔から〜みっともない泣き顔、
オマケに、こんなヘナチョコ顔まで、よくもまぁ〜、自在に豹変できるわ!
この秀之役にしても、「ナンなんだ!コイツ!!」っていうような本当にクズ男の役である。
《24時間 暴走・下半身男》とでも命名したいくらいだ。(大笑🤣)
この後も、秀之の下半身の暴走は、当然おさまらず ……
若手の女優と知り合っては、簡単に、こんな風になっております。
そうして、莫大な遺産を手に入れた秀之のセリフが、また凄い。
「美容師?あんな仕事もう、やりたくないねぇ~。あの仕事やってると、ずっと立ったまんまで腰が痛くなっちゃってさ~」
笑わせる。こんな秀之には逆に、こうツッコんでやりたい。
「オマエは女と見れば、ずっと、おっ勃ったまんまで、腰はいつも動きっぱなしじゃないか!」と。←お下品なツッコミ(笑)
でも、こんな秀之は、ある意味、世の男にとっては羨ましい存在なのかもしれない。
そうして、ココにも秀之に嫉妬する輩が一人いる。
「オタクの旦那さん、女優●●の家で、こっそり逢い引きしてますよ」
こんな要らぬ電話を妻の『絹子』(平淑恵)に、してしまう『久保隆』(森本レオ)。
こんなくだらない事してないで、アンタは家に帰って、とっとと小説を完成させなよ!(笑)
こんな余計な電話のせいで、またもや修羅場が待ち構えているのは、もはやお約束である。
酒を呑みながら、こんなドラマをツマミにして、大笑いする夜。
ん〜、やっぱり昭和のドラマは《格別》だわ〜。
感心したところで、星☆☆☆☆であ〜る。
※尚、この《密会の宿 シリーズ》は、配役を変えた岡江久美子、東幹久版もあるのだが、私としては、ん〜、なんか違うんだよなぁ~。
淫靡(いんび)さや毒っ気を楽しむのなら、やっぱ、松尾嘉代、森本レオ版に肩入れしてオススメしときます。