1978年 香港。
『スネーキーモンキー 蛇拳』を久しぶりに観たら、やっぱお次はコレを観なきゃアカンでしょ!
……って事で、スイスイと『ドランクモンキー 酔拳』に手が伸びてしまったワタクシ。
あんだけ『蛇拳』を「貧乏くさい!」と言ってた子供も、今になってみればすっかり馴染んでおりまする。(勝手なヤツ(笑))
『蛇拳』がヒットした後、同年(1978年)には、この『酔拳』が作られているのだから、当時の香港映画の仕事のスピーディーさと勢いのあった事よ。(どっかの映画の続編みたいに観客を何年も待たせたりしない。まさに「鉄は熱いうちに打て!」なのだ)
この『酔拳』は『蛇拳』の姉妹編と呼ばれるくらいなので、ほぼ一緒のキャストやスタッフたちで作られている。(監督も同じユエン・ウーピン)
主演はもちろん、我らがジャッキー・チェン。
『蛇拳』では虐げられられて育った孤児の設定が、この『酔拳』では、カンフー道場のどうしようもないグータラ息子に変えられている。(ゆえに道場の師範である父親は「なんとかせねば!」と思い、カンフーの達人であるユエン・シャオティエンに一人息子を預けるのだが …… )
ジャッキーの顔も身体つきも『蛇拳』の頃とは違っていて、短い間でも少しばかり精悍になってきている。
激しいトレーニング(修行)もあるだろうが、あれだけ今まで、散々《殴られて》、《蹴られて》きたジャッキー の顔面ですもん。(そりゃ、ドンドン変わっていくはずだわ)
私、こんなのを、勝手に《アクション整形》と命名して呼んでおります。(笑)
この映画でもお師匠様役はユエン・シャオティエン。
このヘアスタイルと赤っ鼻は相変わらずだけど …… ややっ?!
『蛇拳』の時とはどっか少し変わってるぞ!
そう、アゴ髭が綺麗に剃られて無くなっているのだ!
ちょっとは小綺麗になったシャオティエンである。(単に見慣れただけかもしれないが(笑))
そうして、最大の敵であり、非情な暗殺者役は、やっぱりこの人、ウォン・チェンリー。
『蛇拳』の時とは違い、こちらも3つ編みにしていたロン毛をバッサリ切っていて、イケメン度がアップしたチェンリーさん。(トレードマークのブーメラン口髭は健在である)
『酔拳』では、そんなチェンリーさんが、もの凄い事になってきているのだ!
『蛇拳』でもジャッキーの歯をへし折るほどの巧みな脚技を見せていたものだが、この『酔拳』では、さらにそれがパワーアップ。
自分の脚を、まるで手のように自在に扱う事が出来るチェンリーさん。
重心はブレる事なく、脚だけで、ジャッキーの顔を、猛スピードで 往復ビンタしてる。(ヒエ〜)
しかも、脚首までもがスナップを効かせる平手打ちのようでいて、より柔軟。
もう向かうところ、《敵無し》って感じなのだ。
とにかく、そんな動きの1つ1つが、早過ぎるくらいに早いし、華麗にキマっている!(《空中三段蹴り》なんて技、もう痺れるくらいに格好良すぎる!)
凡人の目では、とても追いつけないくらいの、早さ、早さの連続技なのである。
こんなチェンリーさんの猛スピード攻撃に、ジャッキーも、ようやっと付いていってるように見える。(ジャッキーも凄いけど。でも相手が、あまりにも《化け物》すぎるぞ!)
『蛇拳』でチェンリーにへし折られた歯を短期間で直して、ユエン・シャオティエンとの修行場面がたっぷり続く、この『酔拳』。
そんな修行シーンでは、ジャッキーの本気度が、こちら側にもビンビン伝わってくるようだ。
「今度こそ、『蛇拳』の時のリベンジを!」と ………
そんな想いを宿して、黙々と修行に打ち込んでいるようにも見えてしまう。(なんせ、相手は《化け物》ですもんね)
もちろん、映画のラストでは、主人公であるジャッキーが《勝つにきまっている》 ……
それを承知で、誰もがこの映画を観てるはずだ。
でも、相手役のチェンリーにも決して手加減なんてしてもらいたくないし、観客にも自分の強さを完全証明して終わりたい!
ここは、スター、ジャッキー・チェンの意地の見せ所である。
演じる事を超えて、カンフー映画ってのは、本当に、本気の《意地と意地のぶつかり合い》のようだ。
一見、コメディー色が強そうに見える『酔拳』も、最後には妙な感動が広がってゆく。
それに、ただただ圧倒されたワタクシなのでございました。
星☆☆☆☆☆。
※尚、この『酔拳』では、冒頭にちょこっとだけ女性が出てくる。
若い女性と、その母親である。
『蛇拳』で「綺麗な女性が出てこないなぁ~」と嘆いたものだったが、いざ、『酔拳』で出てくると、あんまり必要じゃなかった。
若い女性はあんまり可愛くもないし、
母親の方は過激な岸田今日子って感じだ(笑)。
ん〜、ど~でもいい。この二人。(笑)
後、ブサイクキャラたちは、「これでもか!」ってくらい、こちらもパワーアップしてる。
こんな風に真横に髭をはやしたヤツ(ディーン・セキ)や、
こんな出っ歯男なんかもいたりして。(スゲー顔)
出てくる、出てくる!ブサイクキャラたち。
ここまで酷いと、もう故意に狙ってやってるとしか思えない(笑)。
私のお気に入りはコレ!
こんな、お灸跡のようなソバカス顔、今だかって見た事がないわ。(笑)
あなたもお気に入りのブサイクキャラを探してみては?
お粗末さま。