2007年2月〜2008年2月。
「たぎれ!獣の力!!ビースト・オン!!」
東映のYou Tubeで、最近配信が始まった『獣拳戦隊ゲキレンジャー』をついつい観てしまう。
放送当時もけっこう気にいって毎週観ていたものだが、ヤッパ面白いゲキレンジャー!
なんせ特撮モノの《良心》といえるような坂本浩一監督が関わっているんですもんね。(私のお気に入りである『仮面ライダーW』も坂本浩一監督)
放送当時、この『ゲキレンジャー』は、視聴率的な事や玩具の売り上げで伸び悩み、苦戦したらしいが、んな事は 関係ないし、どーでもいい!
とにかく特撮ヒーロー・ドラマとしては、完成度が高いし、とても良質な作品なんですから。(絶対観るべし!)
ゲキレンジャーのモチーフは《カンフー》。
正義の《激獣拳ビースト・アーツ》と悪の《臨獣拳アクガタ》が、毎回熱い死闘を繰り広げながら、お話は進んでいく。
もちろん、正義の《激獣拳》使いであるゲキレンジャーたちも最初っから完璧に強いわけではない。
課題として出される《修行》を、1つ1つクリアーしながら、少しずつレベルアップしていくのだ。
ここで、オッサンである私の愚痴を少しだけ …… 。
最近の特撮モノでは、この点が 特に ダメダメなのだ💢。
いくらスポンサーが玩具を売る為とはいえ、毎度毎度、安易にレベルアップしすぎである。
ストーリー展開なんて、二の次、三の次。
最近のライダー・シリーズなんて、どんどん派手な色合いの、まるで飾りたてた孔雀のような見た目になってきた。
耳をつんざくような(キィー!キィー!)やかましいベルト。
それが敵も味方も交えて、次から次への新変身を簡単に繰り返す。
レベル・アップのカタルシスさえも全く感じない。(もはや原形を忘れてしまうほど。何度変身するんだ?オイ!(笑))
戦隊シリーズでは、新ロボットや新兵器が次から次に出まくりで、それが変に合体していくと、とてもカッコイイは言えないくらいのイビツな形になっていく。(「これじゃ、全然動けねぇ~だろ〜よ」てのもある)
もはやヒステリー状態。末期的症状である。(ダメだこりゃ!)
その点、この《ゲキレンジャー》は、そんなモノを無理なく消化できていて、とても上手い具合にやっていると思う。
子供番組や特撮モノだとしても、やっぱり《ドラマ》は《ドラマ》なのだ。
観ている大人や幼い子供たちを侮(あなど)るべからず。
今後もシリーズを続けていきたいなら、お話の方にこそ、もっと重点をおくべき事をオススメしとく。
それには、どんな新シリーズでも、《第一話》が、一番重要になってくる。
来週も「是非観なければ!」と思わせる …… 全ては、この《第一話》の出来にかかっていると言っても過言じゃない。
そういう意味では、第一話からして、この《ゲキレンジャー》は格段に出来が良いのだ。
森林深い樹海でたった一人、虎に育てられ、獣たちと暮らしてきた野生児『ジャン』(鈴木裕樹)。
そんな場所へ、ある日、小型飛行機が墜落してくる。🛩️
なんとか脱出した激獣拳使いの『ミキ』(伊藤かずえ)。
ミキは敵の臨獣拳たちに襲われたのだ。
だが、生身のミキは臨獣拳の手下たちをバッサバッサと倒していく。
「激獣拳スゲェ〜!!」
すっかり感動したジャンは、ミキに保護されて、都会の激獣拳ビースト・アーツ本部へと連れられてくる。(樹海の中でも、助けを呼ぶ為の携帯電波は繋がったのかな?(笑))
そこには猫の顔をした激獣拳の師匠『マスター・シャーフー』(猫?)やら、同じように激獣拳を学んでいる『ラン』(福井未菜)と『レツ』(高木万平)の姿も。
ランとレツの修行を見て、天真爛漫なジャンは大ハシャギ。
「俺もやるぅ~!」と、早速乗り込んでいく。(二人はポカ〜ン顔。「なんなの?この子?!」って感じ)
そんな時、ジャンの第六感が妙な気配を察知した。(野生児ゆえか?)
「なんだコレ?ゾワゾワする …… 」
急いで現場に駆けつけるジャン、レツ、ランの3人。
街では、悪の臨獣拳の化け物たちが大暴れして、破壊の限りをつくしていた。
レツとランは、早速『ゲキブルー』と『ゲキイエロー』に変身して応戦。
ジャンは、変身も出来ずそこへ立ち尽くすだけである。
そんなジャンの目の前で敵の親玉が小さな女の子に手をかけようと近づいてゆく。
震えて泣き叫ぶ女の子。(これ、『ポニョ』の大橋のぞみちゃんじゃないですか!)
それを見て、ジャンの心に火がついた。🔥
「やめろぉーー!その子から手を離せぇーー!」
ジャンの怒りが頂点に達すると、巨大な虎のオーラが全身を覆うように包み込む。
『ゲキレッド』の誕生である。
その後は爆発的な『ゲキレッド=ジャン』の力が大炸裂!💥
敵は「こりゃ、もうたまらん」と突然、巨大化する。(戦隊モノの定番ね)
と、そこへ、あの師匠である猫のマスター・シャーフーが同じように巨大化して現れた。
ゲキレンジャーの3人は驚いて見上げながら、第一話は、これにて幕。
次回へと続くのである ……
まるでヒーロー・モノのお手本みたいな第一話。
主人公である『ジャン』(鈴木裕樹)に、大きくスポットが当たっているのが、充分に分かる仕上がりになっている。
物語の世界観もそこそこに、
登場人物たちの紹介をパッパ!と済ませて、
すぐにでも変身させて闘わせたい。
スポンサーも番組プロデューサーも、ガンガン!オモチャの宣伝をして売りたいだろうが、そこは、もう少しだけこらえましょうや。
間口を広く、この物語の世界観に視聴者を引き込むためには、主人公の魅力を存分に語る時間が必要なのだから。
主人公の置かれた立場、性格描写、心理描写 ……
そんなのを充分に描く事が出来てこそ、視聴者が初めて見るような特殊な世界でも、主人公の目線で、物語を追っていく覚悟がやっと出来るのだから。
それさえ無事に終わってしまえば、もう安心。
異形のヒーローに変身しても、視聴者は主人公の気持ちで、同一にも観てもくれる。(第一話のクライマックス近くで、やっと変身して闘うジャンに、観ている側も気分は 最高潮!🔥大興奮である)
コレで掴みはOK!
第二話以降は、ブルーやイエローなど他の戦隊や仲間たちにスポットを当てて語るも良し。敵を語るも良し。
好き勝手、自由にやってくれてもいいと思う。
ただ、第一話だけは、定番と言われてもセオリー通りじゃなきゃ ダメ なのだ!
第一話で《主人公》をおざなりに扱っている作品は、戦隊モノでもライダー・モノでも、ことごとく失敗していると思う。(誰もが、いくつか思い当たる作品があるんじゃないかな?)
しかも1年間の長丁場なら尚更である。
こんな下地が出来てこそ、中盤に出てくるような追加戦士などもイキイキしてくるというもの。(「追加戦士にレギュラー陣はどんな反応をするんだろう?」と、ひときわ別の興味も湧いてくるのだ)
ゲキレンジャーの追加戦士は二人。
『ゲキバイオレット=深見ゴウ』(三浦力)は、『ゲキブルー=深見レツ』(高木万平)の行方不明だった兄貴。
戦隊モノにしては、珍しい《紫》がトレードカラーになっている。
けっこうな肉体派だ。
『ゲキチョッパー=久津ケン』(聡太郎)は、ロン毛で髭面の調子の良い男。
この戦士だけ、《白》なのか《オレンジ》なのか、色設定が曖昧である。(名前も《チョッパー》だし)
髭面の割に愛嬌がある聡太郎さんは、どの場面でも笑顔なんだけど、なぜか?いつも涙目だったような記憶が💦。(新人ゆえ、こっぴどく現場スタッフたちに怒られていたらしい。※詳しくは聡太郎さんのYou Tubeチャンネルをご覧あれ)
それでも、上記の写真を見ても分かるように5人は仲良さそうだ。
それぞれのキャラクターが立ってくると、番組も中盤以降は大盛り上がり。
謎だった伏線が回収され、ハードな展開をはさみながら、怒涛のクライマックスへと流れていく。
ゲキレンジャーはトータル的に見ても、数多い戦隊モノの中で、それが上手くいったような稀な作品じゃないだろうか。
こうして何年経っても、私のゲキレンジャーへの評価はいまだに高い。
観た事がある人は、あの当時を懐かしがって、初めて観る人は期待して ……
存分に楽しんで頂きたいと思う。
みんな、ニキニキのワキワキだぜ~!(ジャン語ならこんな感じか?(笑))