『花王名人劇場』なんかに、この二人が出演していると、スピーディーな丁々発止の掛け合いに、目が点になって、ブラウン官から流れてくる二人の漫才に聞き惚れたものだった。
とにかく先が全く読めない。
台本があるのか、ないのか。
それともずっとアドリブで通しているのか……
早口でお互いにまくし立てながらも、喋り続ける話は、どこに流れて、どこへ上手く着地するのか。
笑いながらも、そんなハラハラドキドキ感もあるような超一流の漫才だったのである。
その後、いろんな漫才コンビが次から次に出てきたが、この『やすきよ』の漫才レベルを知ってる自分には、どれもこれも、あまりパッとしないように思えた。
相方がいても、一人だけで喋って、ボケもツッコミも一人で完結するようなスタイルの漫才師なんてのも数多くいた。(誰とは言わない)
でも、これ、「コンビ漫才じゃなくて、《一人漫談》じゃないの?」って思いながら、冷淡に観ていたけど。
ダラダラ、ゆっくり喋る漫才なんてのもあるが、こんなのを観ているとイライラする。
笑うよりも、「もっと早く喋れよ!💢」と、逆にこっちがツッコミたくなってしまうくらいだ。
シチュエーションのあるコントなら、それも良いと思うのだが、喋りだけで表現する漫才には、やっぱり、それなりの《スピード感》が必要なのだ。
けっこう、お笑いに関しては、シビアーな感性を持つ自分。
そんな自分が、近年、この人たちの漫才だけは「面白い!」と思えるようなコンビがいる。
それが、
《NON STYLE ノン・スタイル》
石田明と井上裕介の二人なのだ。
痩せてほっそりしていて、常に全身白い衣装に身を包んでいる石田はボケ担当。
ズングリして、がきデカのような顔なのに(失礼!)、そんな容姿でも、ナルシストを地でいくような井上は、一応ツッコミ担当である。
こんな井上の容姿をいじりながら、石田のボケは、どんどん過剰に炸裂していく。
いつしかボケの石田が、ツッコミにも見えてしまう。
そのくらい、「これでもか!これでもか!」と連続でかぶしていく井上いじり。(ツッコミの井上も、いつしかボケにも見えてしまうという不思議)
面白いじゃございませんか!
お互いのキャラクターを引き立てて、ボケになったり、ツッコミになったり自由自在で。
オマケに二人の漫才は超スピーディー。(そう、これですよ!これ!このスピード感を求めていたのですよ)
しかも石田の重ねボケも、井上のツッコミも、どんどん終盤になるにつれて、加速していく。
今さっき、『エンタの神様』の二人の漫才を観て、「やっぱ上手いわ、この二人!」と感心したところ。
テレビを観ながら、皆が、腹を抱えて大笑いしているだろう。
やすきよの系譜は残っていて、この二人に、ちゃんと受け継がれているように思ってしまった。
これぞ、喋りのプロ!
まだまだ、漫才の未来も明るい気がする。
鬱々したコロナの時代に、少しだけ心が軽くなった夜でございました。
長々、お粗末さま!