1954年 アメリカ。
ゴールドラッシュに賑わう西部開拓時代。
人々は、金鉱を求めてひと財産儲けようと目の色を変えている時……、一人の男が山奥に農場を買い、自分で家を建てていた。
男の名は『マット・コールダー』(ロバート・ミッチャム)。
親友を救うために悪党を射殺してしまったマットは、長年服役していて出所すると、こうして自分の力で、やっと生活の基盤を立て直したのだ。(さすがミッチャム。《バッド・ボーイ》ここにあり!である)
だが、その間に妻は亡くなり、産まれた息子も行方不明。
北西部の町にいる情報をつかんだマットは、息子マークを探して、やっと見つけ出した。
「あなたがお父さん……?」9歳のマークは初めてみる父親の姿に半信半疑。
「ああ、そうだ」マットは母親の写真をポケットから取り出して見せた。
マークも信用してニッコリ(この子役の子、本当可愛い)
「ちょっと待ってて!ぼくお別れを言ってくるよ」
さびれた酒場の歌手ケイに、何かと世話してもらっていたマーク少年は、ケイの楽屋に行くと事情を話した。(本当に良い子。グレもしないで (笑) )
一緒についてきたマットもお礼を言う。
「息子が世話になったな」と。
そんな『ケイ』(マリリン・モンロー)はマットをジロッ!と睨み付けると、「酷い男ね!長い間、息子をほったらかしなんて」と、だけ呟いた。
なんにせよ、息子を無事取り戻したマットは、山奥にある川のそばの山小屋で、新生活を始め出した。
しばらくは日々を楽しむ親子だったが、それから数日後……
急流に押されて、川上の方から大きな筏(いかだ)が流されてきた。
「見てよ!パパ!!誰か乗っていて叫んでるよ!!」
マークの言葉に、マットは直ぐ様ロープを取り出すと、筏に向けて、それを放り投げた。
ロープは筏に届き、相手も上手く結びつけたようだ。
懸命に引っ張るマット……近づいてくる筏には、何と!あの酒場の歌手ケイが男と乗っている。
「助かったぜ!」男……『ハリー』(ロリー・カルホーン)が礼を言った。
「無茶だ、あんな筏で川下りなんて!いったいどこへ行こうっていうんだ?」
マットの問いかけに、ハリーはペラペラと喋り出した。
ギャンブルで大儲けした金を持って、カウンシル・シティーまで行って、金鉱の登記をすると言う。
「金鉱の権利は手に入れたんだ。でもすぐに行かないと登記に間に合わないんだ!」
(金鉱で大儲け……こいつも皆と同じか……)
見るからにゴロツキのハリー、この一緒にいる女はさしずめ、その情婦ってところだろう。
息子のマークは、久しぶりに会えたケイとの再会に喜んでいるが、マットはこの二人を助けた事を、すぐに後悔した。
そして案の定、ハリーはマットの隙を狙って頭を殴り気絶させると、山小屋の銃と馬を奪ったのだ。
「酷いわ!助けてもらったのに!」ケイの訴えにもハリーは知らん顔…悪びれた風でもない。
でも、こんな男をケイは心底愛しているのだ……でも……
「カウンシル・シティーには一人で行ってちょうだい。その方が早く着くわ。それに怪我人を放っておけないわよ」
ケイの提案に、ハリーは「それもそうだな」とあっさり納得すると、馬にまたがりスタコラ行ってしまった。
しばらくして目を覚ましたマット。
目の前には心配そうに見つめるケイとマークの姿がある……でも、(あの野郎~)とマットは怒りに燃えている。
そんなのも束の間、川の向こうの断崖には、何人ものインディアンたちが馬に乗っていて、こちらに向けて駆けてくるではないか!
銃が盗られて、無防備の山小屋に気づいて、すぐに攻撃してきたのだ。(もう、どんな危険な場所に山小屋を建てたの?マットも (笑) )
マットは、流されてきた筏にケイとマークを乗せると、わずかな手荷物をのせて、すぐに筏を出発させた。
数秒後には、インディアンの団体が来て、焼き払われる山小屋の火の手が見える。
それを川に流される筏の上から見るマークは、とても悲しそう。
「大丈夫だ!また建ててやるから」と慰めるマットだが、(それもこれもアイツが……)とハリーへの怒りが、またもや込み上げてくる。
その顔をケイは横目で見ながらも不安そうな表情だ。
3人を乗せた筏は、川を下りながら『カウンシル・シティー』を目指す……インディアンの襲撃をかわしながら、獣に襲われながら、危険な旅が、今、はじまったのだった………。
ロバート・ミッチャムとマリリン・モンローの危険な川下りアドベンチャー映画である。
よもや、こんな映画だったとは……観た後で思う、「先入観って恐ろしい……」と。
マリリンがお色気たっぷりで、いつものように歌ったり、軽い恋愛をするメロドラマ映画と、はなから決めつけていた自分は、頭を「ガーン!」とハンマーで殴られた気分だ。(何事も決めつけはよくないですね)
もちろん、マリリン・モンローが出るゆえ、歌うシーンは何曲か与えられている。(一応お約束なんで)
オットー・プレミンジャー監督は、それをお義理のようにしてさっさと済ませる。
映画の冒頭と最後に、マリリンには何曲か歌わせると、「これで務めは果たしたぞ!」と言わんばかりである。
そして、肝心の、激流の川下りシーンなのだが、筏と川の合成がちょっとお粗末。(DVDは現在の技術で修復されているのだが、それが尚更、合成を丸わかりにする結果になっている。)
まぁ、時代が時代なんだし、しょうがないかといえばしょうがないんだけどね。
それにしても、やっぱりここでも、さすがマリリン・モンローである。
川下りでいくら水を被っても、どんなに汚れるような旅を続けていても、全くメイクが崩れない (笑) 。
弓なり眉毛もアイラインも、付けまつげも、赤いルージュも、チークも、そのまんま。
「多少汚れてきたかな?メイクも崩れたかな?」と期待していても、次の場面になれば完璧なメイクをしたマリリンが、そこにいるのである。(濡れた髪の毛も次の瞬間には、もう乾いている。あら不思議!)
最後まで、「これはホラーなのか?」と思うくらい怪現象の連続なのである。(笑)
そして、そんな不思議美女『ケイ』(マリリン・モンロー)と親子で筏に乗って旅を続けるマット(ロバート・ミッチャム)は、段々とケイに惹かれていく。
長い間、刑務所暮らしで、女っ気がなかったせいもあるだろうが、ミッチャム様のマリリンを見る目は、もう、いつ爆発してもおかしくないくらいギンギラ、ムラムラ状態😤。
「あなた良い人ね」なんて言われた日には、
「もう、辛抱たまらん!😚」
とマリリンを抱き寄せて強引に押し倒す。
「何するのよ?!」とふりほどいても、それを離さないで、さらに強引にのしかかってくるミッチャム様は、もはや野獣である。
蹴られても蹴られても、マリリンを羽交い締めにするミッチャム様。
山の中で転がりまくる二人。
(もう、これから何を見せられるの?……💧)と思っていたら、遠くで息子マークの叫び声。
本当の野獣が襲ってきたのだった。
それに「ハッ!」と気づいて、理性を取り戻した『マット』(ミッチャム)。
やっと幼いマークの元へ走っていく二人なのだった。(子供が近くにいて、よ~やるよ。そして土の上で散々転がり続けたのに、次のシーンでは全く汚れていないマリリンの姿が!(笑) )
こんな親子と不思議美女の珍道中、なんとか最後は収まるところに収まり、ハッピーエンドを迎えるんだけど……それにしてもねぇ~。
オットー・プレミンジャー監督はどんな想いで、この映画の撮影を行っていたんだろう、とつくづく思ってしまう。
あの完璧主義のプレミンジャーなのに……。
マリリンはマリリンで、「あたしは《マリリン・モンロー》なんだから!」を固持して、最後まで綺麗なマリリン。
ミッチャムはミッチャムで、「俺は、『バッド・ボーイ』のイメージで…」なのだから、間に入る監督の気苦労は相当なものだったと、勝手に推測してしまう。
有名女優俳優を起用しても、そのリクエストに応えなければいけない監督も大変だ。
そんな感想をいだいた、摩訶不思議映画なのでございました。
長々、お粗末さま。星☆☆☆。