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2020年12月6日日曜日

映画 「帰らざる河 」

1954年 アメリカ。



ゴールドラッシュに賑わう西部開拓時代。


人々は、金鉱を求めてひと財産儲けようと目の色を変えている時……、一人の男が山奥に農場を買い、自分で家を建てていた。



男の名は『マット・コールダー』(ロバート・ミッチャム)。


親友を救うために悪党を射殺してしまったマットは、長年服役していて出所すると、こうして自分の力で、やっと生活の基盤を立て直したのだ。(さすがミッチャム。《バッド・ボーイ》ここにあり!である)


だが、その間に妻は亡くなり、産まれた息子も行方不明。


北西部の町にいる情報をつかんだマットは、息子マークを探して、やっと見つけ出した。


「あなたがお父さん……?」9歳のマークは初めてみる父親の姿に半信半疑。


「ああ、そうだ」マットは母親の写真をポケットから取り出して見せた。


マークも信用してニッコリ(この子役の子、本当可愛い)


「ちょっと待ってて!ぼくお別れを言ってくるよ」


さびれた酒場の歌手ケイに、何かと世話してもらっていたマーク少年は、ケイの楽屋に行くと事情を話した。(本当に良い子。グレもしないで (笑) )


一緒についてきたマットもお礼を言う。

「息子が世話になったな」と。


そんな『ケイ』(マリリン・モンロー)はマットをジロッ!と睨み付けると、「酷い男ね!長い間、息子をほったらかしなんて」と、だけ呟いた。


なんにせよ、息子を無事取り戻したマットは、山奥にある川のそばの山小屋で、新生活を始め出した。


しばらくは日々を楽しむ親子だったが、それから数日後……

急流に押されて、川上の方から大きな筏(いかだ)が流されてきた。


「見てよ!パパ!!誰か乗っていて叫んでるよ!!」


マークの言葉に、マットは直ぐ様ロープを取り出すと、筏に向けて、それを放り投げた。

ロープは筏に届き、相手も上手く結びつけたようだ。


懸命に引っ張るマット……近づいてくる筏には、何と!あの酒場の歌手ケイが男と乗っている。



「助かったぜ!」男……『ハリー』(ロリー・カルホーン)が礼を言った。


「無茶だ、あんな筏で川下りなんて!いったいどこへ行こうっていうんだ?」


マットの問いかけに、ハリーはペラペラと喋り出した。

ギャンブルで大儲けした金を持って、カウンシル・シティーまで行って、金鉱の登記をすると言う。


「金鉱の権利は手に入れたんだ。でもすぐに行かないと登記に間に合わないんだ!」


(金鉱で大儲け……こいつも皆と同じか……)


見るからにゴロツキのハリー、この一緒にいる女はさしずめ、その情婦ってところだろう。


息子のマークは、久しぶりに会えたケイとの再会に喜んでいるが、マットはこの二人を助けた事を、すぐに後悔した。

そして案の定、ハリーはマットの隙を狙って頭を殴り気絶させると、山小屋の銃と馬を奪ったのだ。


「酷いわ!助けてもらったのに!」ケイの訴えにもハリーは知らん顔…悪びれた風でもない。

でも、こんな男をケイは心底愛しているのだ……でも……


「カウンシル・シティーには一人で行ってちょうだい。その方が早く着くわ。それに怪我人を放っておけないわよ」


ケイの提案に、ハリーは「それもそうだな」とあっさり納得すると、馬にまたがりスタコラ行ってしまった。



しばらくして目を覚ましたマット。

目の前には心配そうに見つめるケイとマークの姿がある……でも、(あの野郎~)とマットは怒りに燃えている。


そんなのも束の間、川の向こうの断崖には、何人ものインディアンたちが馬に乗っていて、こちらに向けて駆けてくるではないか!


銃が盗られて、無防備の山小屋に気づいて、すぐに攻撃してきたのだ。(もう、どんな危険な場所に山小屋を建てたの?マットも (笑) )



マットは、流されてきた筏にケイとマークを乗せると、わずかな手荷物をのせて、すぐに筏を出発させた。


数秒後には、インディアンの団体が来て、焼き払われる山小屋の火の手が見える。


それを川に流される筏の上から見るマークは、とても悲しそう。


「大丈夫だ!また建ててやるから」と慰めるマットだが、(それもこれもアイツが……)とハリーへの怒りが、またもや込み上げてくる。


その顔をケイは横目で見ながらも不安そうな表情だ。



3人を乗せた筏は、川を下りながら『カウンシル・シティー』を目指す……インディアンの襲撃をかわしながら、獣に襲われながら、危険な旅が、今、はじまったのだった………。



ロバート・ミッチャムマリリン・モンローの危険な川下りアドベンチャー映画である。



よもや、こんな映画だったとは……観た後で思う、「先入観って恐ろしい……」と。


マリリンがお色気たっぷりで、いつものように歌ったり、軽い恋愛をするメロドラマ映画と、はなから決めつけていた自分は、頭を「ガーン!」とハンマーで殴られた気分だ。(何事も決めつけはよくないですね)



もちろん、マリリン・モンローが出るゆえ、歌うシーンは何曲か与えられている。(一応お約束なんで)


オットー・プレミンジャー監督は、それをお義理のようにしてさっさと済ませる。


映画の冒頭と最後に、マリリンには何曲か歌わせると、「これで務めは果たしたぞ!」と言わんばかりである。



そして、肝心の、激流の川下りシーンなのだが、筏と川の合成がちょっとお粗末。(DVDは現在の技術で修復されているのだが、それが尚更、合成を丸わかりにする結果になっている。)


まぁ、時代が時代なんだし、しょうがないかといえばしょうがないんだけどね。



それにしても、やっぱりここでも、さすがマリリン・モンローである。



川下りでいくら水を被っても、どんなに汚れるような旅を続けていても、全くメイクが崩れない (笑) 。


弓なり眉毛もアイラインも、付けまつげも、赤いルージュも、チークも、そのまんま。


「多少汚れてきたかな?メイクも崩れたかな?」と期待していても、次の場面になれば完璧なメイクをしたマリリンが、そこにいるのである。(濡れた髪の毛も次の瞬間には、もう乾いている。あら不思議!)


最後まで、「これはホラーなのか?」と思うくらい怪現象の連続なのである。(笑)


そして、そんな不思議美女『ケイ』(マリリン・モンロー)と親子で筏に乗って旅を続けるマット(ロバート・ミッチャム)は、段々とケイに惹かれていく。


長い間、刑務所暮らしで、女っ気がなかったせいもあるだろうが、ミッチャム様のマリリンを見る目は、もう、いつ爆発してもおかしくないくらいギンギラ、ムラムラ状態😤


「あなた良い人ね」なんて言われた日には、

もう、辛抱たまらん!😚

とマリリンを抱き寄せて強引に押し倒す。


「何するのよ?!」とふりほどいても、それを離さないで、さらに強引にのしかかってくるミッチャム様は、もはや野獣である。


蹴られても蹴られても、マリリンを羽交い締めにするミッチャム様。


山の中で転がりまくる二人。


(もう、これから何を見せられるの?……💧)と思っていたら、遠くで息子マークの叫び声。


本当の野獣が襲ってきたのだった。


それに「ハッ!」と気づいて、理性を取り戻した『マット』(ミッチャム)。


やっと幼いマークの元へ走っていく二人なのだった。(子供が近くにいて、よ~やるよ。そして土の上で散々転がり続けたのに、次のシーンでは全く汚れていないマリリンの姿が!(笑) )




こんな親子と不思議美女の珍道中、なんとか最後は収まるところに収まり、ハッピーエンドを迎えるんだけど……それにしてもねぇ~。



オットー・プレミンジャー監督はどんな想いで、この映画の撮影を行っていたんだろう、とつくづく思ってしまう。



あの完璧主義のプレミンジャーなのに……。



マリリンはマリリンで、「あたしは《マリリン・モンロー》なんだから!」を固持して、最後まで綺麗なマリリン。


ミッチャムはミッチャムで、「俺は、『バッド・ボーイ』のイメージで…」なのだから、間に入る監督の気苦労は相当なものだったと、勝手に推測してしまう。


有名女優俳優を起用しても、そのリクエストに応えなければいけない監督も大変だ。



そんな感想をいだいた、摩訶不思議映画なのでございました。


長々、お粗末さま。星☆☆☆。