1971年 イギリス。
一言でいうと、とっても変テコな映画。
父親と14歳の娘、それに6歳の弟の3人がオーストラリアの砂漠に旅行に来るんだけど ……
突然、父親がおかしくなって幼い息子にピストルを向けて、発砲する!
父親と14歳の娘、それに6歳の弟の3人がオーストラリアの砂漠に旅行に来るんだけど ……
突然、父親がおかしくなって幼い息子にピストルを向けて、発砲する!
「お父さんが狂った!!」
姉は弟を引っ張って砂漠の中を逃げまどう。
親父はピストルを撃ちまくり、「ハハハッ!出てこい!!」と叫びながら、ガソリンをかぶって焼身自殺🔥。(ハァ?意味が分からない。本当に狂ってる?)
炎上する車の煙を遠くから見ている姉と弟。
「ねぇ、パパのところに戻らないの?」
訳がわからない弟はグズる。(観ているこっちも訳がわからないよ)
「とにかく逃げるのよ!」という少女。
次の日も、次の日も二人は砂漠を歩き続けて、もうクタクタ。
食糧はつき、喉はカラカラ。
それに追い打ちをかけるように、太陽はギラギラ🏜️と二人を照りつける。
汗すらも、もう出てこない。
そのうち弟も歩けなくなり、少女がおんぶして進んでいるが、その足どりも、だんだんと重くなってきている。
(神様…助けて………)
薄く目を開いても、ユラユラ揺れる陽炎の地平線が見えるだけだ。
いや!、まて!、その先に動くものが見える!
そして、それはどんどん、こちらに近づいてくる。
それは『人間』だ!
長い棒を持った黒い肌の少年だ。
腰布だけをまとい、棒を突いて獲物の動物を追いかけている。
そして、それを見事に仕留めると、向こうも、こちらに気がついたようだ。
少女のそばまで来ると、少年が原住民の言葉で話しかけてきた。
もちろん少女に少年の言葉は分からないが、少年の言葉はこうだった。
もちろん少女に少年の言葉は分からないが、少年の言葉はこうだった。
『ウォーク アバウトの途中だ!、どうしたんだい?』と。
言葉が理解できなくても、姉と弟は、少年の優しさを肌で感じた。
少年は二人に水を飲ませたり、狩りをして、食糧を与えてくれた。
原住民の少年がどこへ行くのか分からない … 二人は、それに黙ってついていくしかないのだ。
3人はオーストラリアの平原を旅していく ……
なんとも不思議な映画である。
説明なんて、全くありゃしない。
説明なんて、全くありゃしない。
冒頭、何で父親が狂って弟にピストルを向けて殺そうとしたのか、そして自分も自殺したのか。
そもそも、この旅行は何の為にやってきたのか、まるで説明がない。
「理由は勝手に想像してください」って事なんだろうか?
この映画の原題が『WALK ABOUT』。
『ウォーク・アバウト』とは、オーストラリアの原住民の古くからある習わし。
男は16歳になれば、部族を、いったん離れて自立し、一人で生活しなければならない。
いわゆる成人するための通過儀式のようなものである。
それに、たまたま遭遇した姉弟。
そして、そして、原住民の知恵を侮るなかれ。
ピョンピョン跳び跳ねるカンガルーを、一発で仕留め、丸焼きにするなんざ、そんじょそこらの芸当ではできませんよ。(カンガルーの肉なんて、どんな味がするんだろう。 固そうに思えるが)
そして原住民の少年は、旅していくうちに、イギリス少女に恋してしまった。(16歳と14歳、人種や言葉は違えど、やはり男と女だものね)
やがて、3人は廃家を見つけて、そこに住み着いた。
少女と弟は家を守り、原住民の少年は狩りに行く。
少女と弟は家を守り、原住民の少年は狩りに行く。
しばらくはそんな暮らしの生活。
「でも、もう我慢できない!」
原住民の少年は、この「恋する気持ち♥️を、少女に伝えたい!」と思ってしまった。
少年は体中に白い複雑な模様を描き、廃家にも入らず、一晩中、外で踊り続ける。
これは原住民の求婚の踊りなのだが、それを知らない少女には、悲しいかな、ただ恐ろしいだけなのだ。←(まぁ、この化粧ですもん。本当に不気味)
それでも少年は、
(この俺の気持ちを分かってくれ!気持ちを受けとめてくれ!)とばかりに、益々、踊りに熱が入っていく。
(この俺の気持ちを分かってくれ!気持ちを受けとめてくれ!)とばかりに、益々、踊りに熱が入っていく。
少年の踊りが激しくなればなるほど、少女は恐ろしいものでも見るように、硬くドアを閉じて出てこなくなった。
言葉と人種の壁は、やはり取り払われなかったのだ。
次の朝、少女が外に出てみると、少年は近くの木に首をひっかけて、《首吊り自殺》をしていた。(ゲゲッ!)
振られたと思って絶望したのである。(男って奴は、なんて純なのだ。このシーンを観ると、そう思わずにはいられない。可哀想な少年の最初で最後の初恋だったのだ。)
この後、ようやっと民家までたどり着いた少女と弟は、無事にイギリスに帰ることができた。
そうして数年後、少女は大人になり、結婚し、普通の主婦になっている。
夫の帰宅を待ちながら料理をしていると、ふと、昔のあの旅行を思い出している。
あの原住民の少年との不思議な出会いを ………
監督のニコラス・ローグの映画を初めて観たのだが、観終わってからも、しばらくは ボワワァ~ン と夢の中にいるような気分。
残酷な場面もあるのに、「何なんでしょ?」 この妙な後味の残る感覚は。
こうやって文章におこしても、上手く説明しにくい感じである。
こんなのも、カルト映画っていうのかな?
まぁ、とにかく観終わった後も、ズルズルと、強い印象が残るような、一風変わった映画なのは確かである。
ニコラス・ローグの映画で有名なのは、ミステリー映画、『赤い影』なのだが、こちらも風変わりな噂が。
(主演ドナルド・サザーランド。本国イギリスではベスト100の中で1位をとるくらい、この映画はイギリス人に好かれているらしい)
後、蛇足だが、この原住民の少年を演じた独特なお顔のデヴィッド・ガルピリル。
数年後、ある有名な映画で、再びおめにかかれることになる。
そう、それこそ、オーストラリア映画として大ヒットした『クロコダイル・ダンディー』なのである。
星☆☆☆。