2019年10月24日木曜日

映画 「六番目の男」

1955年 アメリカ。





リチャード・ウィドマーク主演の『六番目の男』を観た。


わずか90分弱の佳作なので、ちょいとした時間が空いた時には、ほどよい長さである。

ただ、短い映画ゆえ1度観ただけでは、この話の時代背景やあらすじを、完全に理解するのは大変かも。


補填のつもりで、ここに書いておこうと思うので、ご参考までに。






時は、南北戦争(1861~1865年)が終わった頃。


まだまだ混乱と略奪が横行する時代。

主人公『ジム・スレーター』(リチャード・ウィドマーク)は母マーサと別に暮らしていたが、マーサが亡くなり、マーサ宛の手紙が、ある日ジムに転送されてきた。


差出人は、まだ見たこともない父親からで、手紙には、

「一人息子ジムは元気だろうか?私は5人の仲間とアリゾナに行って、《ヒラ・バレー》で金を掘り当てて一儲けしたのだ。ジムにも伝えてほしい」と書かれていた。



早速、そのヒラ・バレーに向かったジム。


ヒラ・バレーの谷は、ゴツゴツした岩に囲まれていて、ポツリ、ポツリとサボテンが咲いているような閑散とした町だ。




たが、あたり一面は焼け野原。


数日前に、インディアンのアパッチ族の襲撃にあったヒラ・バレーの家々は、全て朽ちていて無人状態となっていたのだ。



そこには5人の遺体を埋めた大きな穴があった。



(死んだのは父親かもしれない……)

だが、遺体は、もはや誰かは判別出来ない状態である。




そこへ馬に乗ってやって来た一人の女性。


彼女、『キャリル・オートン』(ドナ・リード)も、夫が掘り当てたという《金》目当てにやって来たのだ。(誰もかれもが《金》目当てなのねぇ)



そして、死んだ5人の中に夫がいるのか、それを確かめるために。




美人のキャリルの登場に、ジムは「コーヒーでもどうだ?」とすすめた。(おや?優しい!)




そんな折、二人を狙って、突然!岩の高台から狙撃する者の姿が!


「誰だ?!」

(俺を狙ったのか?それとも彼女を?)



ジムは岩場をまわりこんで、間合いを徐々につめていく。

そして、何とかその狙撃者を一発で仕留めた。



死んだ、その男の胸にはシルバー・シティの保安官補の星バッジが。


《金》を狙う者を待ち構えていたのか?、それとも5人の遺体に関係のある奴なのか?……


とにかく、シルバー・シティに、この男の遺体を持っていけば、何か手がかりが掴めるかもしれない……


「あたしも一緒に行くわ!」キャリルもジムに同行する事にした。




シルバー・シティに二人が着くと、町の連中は騒然とし、

「銃を取りあげろ!」、「逮捕しろ!」と口々に言うが、キャリルの「そっちから撃ってきたんだから正当防衛よ!」の言葉で押し黙った。



ジムが撃った保安官補トムの遺体をブツブツ言いながら運んでいく人々。



ジムは町の保安官に訊ねた。

「ヒラ・バレーで死んでいる5人の身元不明の遺体を誰が埋葬したんだ?」


保安官は騎兵隊の将校レークだと教えてくれた。


「そのレーク将校は今、どこにいるんだ?」

レーク将校の居場所を聞くと、ジムは馬に乗って一目散に駆け出していった。



だが、ジムは知らない。

ジムが撃ったトムの弟二人が逆怨みして、ジムの命を狙いはじめている事を………






死んだ5人の身元と、他にもう一人いる『六番目の男』を追う、という一風変わったミステリー風の西部劇なのだが………


ちょっと短い映画にしては、やや詰め込みすぎかな。


シンプルに『六番目の男』だけを探す旅にすればよかったかも。(この5人の身元不明者が誰々なのか、で、相当こんがらがってゴチャゴチャしてるようにも思える)




監督は、あの『OK牧場の決闘』、『荒野の七人』で有名なジョン・スタージェス。


ジョン・スタージェス監督なのに、この話の複雑さで、ちょっ損している感じ。




……と、不満はここまで。



でも、この映画、主演のリチャード・ウィドマークとドナ・リードは、そんな不満を吹き飛ばすほど、すっごい素晴らしいので、是非是非、観てほしい。





1947年の『死の接吻』で悪役として、デビューしたリチャード・ウィドマーク。


演技テストでは、監督のヘンリー・ハサウェイに、「あんなに恐ろしい声で笑う男は見たことない!」とまで、言わしめたほどのインパクトをみせる。


映画の中では、車椅子の老婆を階段からつきとおして、カラカラと笑うウィドマークに全米中が凍りついた。



いきなり、こんな強烈な悪役で爪痕を残したウィドマーク。

デビュー作なれどアカデミー賞にノミネートまでされてしまう。




………でも、この悪役があまりにも印象強くて、それからもオファーは悪役ばかり。



それでもリチャード・ウィドマークは、常に最高の演技をみせる。




演技者としての名声は手に入れたものの、一方では困った事が起きた。


リチャード・ウィドマークだって、家に帰れば、愛する奥さんがいて、子供(娘)がいる。



娘が学校でイジメられるのだ。(アララ…可哀想)



「や~い!残忍な犯罪者の娘!」

(アメリカも日本と同じだ。Gメンで、残忍な殺人鬼を演じていた蟹江敬三さんの息子も、当時同じような目にあっていたらしい)



(こりゃ、娘の為にも何とかせねば!)とリチャード・ウィドマークも考え始めた。



「これからは善人の役も進んでしよう!」



そうしてイメージ脱却をはかったのが、この『六番目の男』なのである。




こんな意気込みで挑んだ、この映画、とにかくウィドマークが格好よすぎる。


馬を走らせながらのインディアンとの銃撃戦。

そして、走る馬から幌馬車に跳び移るところなんか、今観ても(危ねぇ~!)大迫力である。



ヒロイン役のドナ・リードは、この映画で初めて知ったのだが………美しい!綺麗!それに何よりキップが良くて、こちらも格好いい!


女性なのに、これまた馬を軽々乗りこなす。




狙撃で肩を撃たれたジム相手には、

「これでも噛んでなさい!」と布切れをやると、火に炙ったナイフを「ジュジュッ~!」と押し当てる。(この場面、演技とはいえ苦痛に堪えるジムに、こっちまで痛みが伝わってくる)


でも、その後は着ているブラウスを脱いで包帯がわりに巻くキャリル(ドナ・リード)。


上半身は下着1枚なので、豊満な胸の形があらわになり、巻き付ける時にジムの顔に、その胸をグイグイ押し付けるものだから、なんともはや、演じているリチャード・ウィドマークも照れ臭そうにしている。


こんな美人でグラマーで優しいキャリル。


リチャード・ウィドマークじゃなくても男なら、誰だってイチコロで惚れてしまうだろう。


話は複雑なれど、二人の魅力で、この『六番目の男』も自分のお気に入りの映画となった。(特にドナ・リード)



これからも、たまに観かえす事になるだろう。


星☆☆☆☆。


それにしても、この時代の俳優や女優たちは凄い。


こんなに馬を華麗に操れる俳優や女優たちが、現代では何人いることやら……。

本当に恐れ入る。