1982年 アメリカ。
エマーソン高校に通う『バーニー』(スコット・バイオ)は、見た目は普通の男の子。(いや格好いい部類に入るのか、中々のイケメン顔だし)
運動神経はないが、野球部に所属している。(でも万年補欠)
そのかわり勉強はできるので、実験室を貸しきっては妙な実験に凝る毎日。
かたや、親友の『ペイトン』(ウイリー・エイムス)は、カメラが趣味のノ〜天気な性格。
女教師のところにやって来ては、
「先生、卒業前のスナップをもう一度撮らせてください!」なんてお願いすると、
女教師も「いいわよ、二人だけでね……」なんて役得も。
チアダンス部で美人のジェーンにもモーションをかけているが、こちらは、まったく相手にされないペイトンなんだけどね。
バーニーが、今日も熱心に実験していると、野球部のコーチ、デクスターが、ぶらり入ってきた。
お目当ては、実験室に隠してあるウイスキーである。
「お前みたいな実験の虫が、なんで野球部になんて入ったのかね?」
ウイスキーを飲みながら、デクスターがノンキに話す。(これ、良いのか?)
だが、実験用のビーカーの液体に、間違って成長促進剤を、ドボドボ流し込んでしまったデクスター。(やっちまったー!)
デクスターは大慌て。
ビーカーの周りにこぼれた液体をふくと、バーニーに気づかれていないか、どうか、気にしながら、そそくさと出ていった。
それに全く気づいていないバーニーは、デクスターが出ていった後に、そのビーカーの液体をラットに飲ませて実験。
だが、しばらくするとラットの様子が、なんだか変だ。
スポイドを近づけようにも、何かの力で弾かれてしまう。
「何だ?この力は?!」
バーニーも意地になりはじめた。
その時、バーニーの腕が勢いよく(何かの力に)弾かれて、液体の入ったビーカーに当たって、割れてしまった。
床に落ちた液体はガスを発生させて、それを吸ったバーニーは、(バッタリ!)意識を失った。
何時間、意識を失っていただろうか………
目が覚めると辺りは暗くなっている。
なんとか、フラフラしながら家に帰りつくと、母親はカンカン。
「実験ばかりで、今、何時だと思ってるの?!」
おとなしい父親も出てきては「母さんの言う通りだぞ!」と二人してお説教。
気分が悪いバーニーは、(こりゃ、たまらん!)とばかりに、早々に2階の自分の部屋に逃げこんだ。
ベッドに倒れこむバーニーの側では、帰りを待ちわびていた愛犬がじっとしている。
そこへ両親が間髪いれず入ってきた。
「両手をまくってみなさい!」
「何なんだよ?!」突然言われてバーニーもたじろぐ。
「お前、《麻薬》をやってるんじゃないだろうね?、食事はとらない、帰りは遅い。私たちは心配なんだよ」
両親は腕に注射の痕がない事を確めると、とりあえずは安心して出ていったが、部屋のドアは開けっぱなし。
「あぁ~!!もう、何なんだ!うるさい!!」
バーニーがドアを見ながら念じると、ドアはひとりでにバタン!と閉まった。
(偶然?だろうか……?)
次の日、昨日のビーカーの割れた破片が散らばった実験室。
その残骸を見ながらバーニーは、(馬鹿馬鹿しい)と思いながら、目の前の箒を見つめながら『動け!』と念じてみた。
すると、箒は勝手に宙を舞い、破片を掃き始めた。
『今度は塵取りだ!』
塵取りもスルスルと動き始め、掃いた破片を綺麗にすくった。
塵取りは、そのまま宙を舞い、ゴミ箱まで行くと破片を、バラバラと流してくれる。
「間違いない!これはテレキネシス能力だ! 僕は超能力者になったのだ!!」
自分の能力に感嘆して興奮気味のバーニー。
だが、それを見ている者がいた。
偶然に実験室の窓から …
生徒会長で、真面目な女生徒『バーナデット』(フェリス・シャクター)、それに親友のペイトンだ。
調子のいいペイトンは、(こりゃ、利用できるぞ……)とニヤリ顔。
とりあえずは、この事は3人だけの秘密という事になったのだが ………
80年代のユル~イお色気コメディ。
偶然、手に入れた超能力で、思春期の高校生の願望が大爆発! もう、やりたい放題である。
願望といったら、もちろん!《アレ》。
アメリカ版【ハレンチ学園】といったところか。
この映画も、よくテレビの洋画劇場で放映していたので、覚えているつもりだったのだが、細部をほとんど忘れていて、今回見直して、「こんなシーンあったっけ?」というのが、多々あった。
きわどいシーンもそれなりに多くて、放映倫理が厳しい現代では、今後、テレビでの放送は無理かもね。(こんな映画も放送できないんだから、ますますテレビ離れが進むわけだわ)
それでも、よくぞ、DVD化してくれたものである。
それにしても、この映画、こんなにパロディーがあったっけ?
●テレキネシスで宇宙船の模型を飛ばすシーンでは、『スター・トレック』のパロディー。(妄想だけど)
●バーニーが操る腹話術の人形は、アンソニー・ホプキンスのサイコ・スリラー映画『マジック』。
●息子の様子を不審に思った両親が、十字架を持った神父による悪魔払いをお願いするシーンなんてのは、まんま『エクソシスト』じゃないか!
後は、『アニマル・ハウス』やら『キャリー』など …… いろんな映画が混ぜこぜ。
時代がユル~イとはいえ、ちゃんと許可とってるのかなぁ~?(案外、「やったもん勝ち!」で許可とってなさそう)
校長も担任女教師とレストランのテーブル下でウハウハだし、最後はテレキネシスの暴走で、卒業ダンスパーティーは、まさに阿鼻叫喚状態。
主人公のバーニーを演じているスコット・バイオは、当時けっこう人気があったはず。(確か、日本の吹き替えは、野村義男がしてたはずだ)
テレキネシスをエッチなイタズラに利用しても、全然、お下品にならないのは、このスコット・バイオの爽やかそうな見た目が、たぶんに大きいかもしれない。
こんな映画を久しぶりに観てしまうと、
「あの頃のアメリカ映画は、なんてキラキラと輝いていて楽しいのか」とつくづく思ってしまう。
暗い学生時代を過ごした自分には、今でも憧れが詰まっているような、まぶしすぎる映画。
超能力も手に入れて、ついでに彼女も手に入れて、これ以上何が欲しいんだ~!(あ~、羨ましい~)
星☆☆☆☆であ~る。