2001年 アメリカ。
高校を卒業したばかりの、『イーニド』(ソーラ・バーチ)と『レベッカ』(スカーレット・ヨハンソン)の全然、熱くならない青春映画である。
だれかれを、見つけては、それを馬鹿にして楽しんでいる悪趣味な二人組。
他の卒業生たちを、
「アホの大群じゃん!」
と切り捨てるのは、黒メガネでデコッパチの『イーニド』。(欲目にも美人といえない。見た目もブス。中身もブス。最悪である)
「ほんと、あのヒス女、よくあんなスピーチできるよね」
と、卒業生代表のスピーチをケチョン、ケチョンに扱き下ろすのは親友の『レベッカ』。(見た目は金髪で、超美人なのにね)
辛辣で毒舌、10年来の親友同士の二人の会話は、いつもこんな感じ。
だが、卒業しても、イーニドだけが、美術の落第点をとり、サマー・スクールの補習を受けなければならない。
「最悪~」
イーニドが、ブツクサ言う側で、レベッカが笑っている。
しばらくは、街中をブラブラしては、コンビニでバイトをしている『ジョシュ』(ブラッド・レンフロ)をからかう日々。
だが、一日一日は、二人の見えないところで、着実に溝を広げていくのだった……。
人を馬鹿にしながらも、まるで先行きを考えていないイーニド。
イーニドは、馬鹿にするターゲットとして、出会い系広告の番号に電話して、中年の『シーモア』(スティーヴ・ブシェミ)を呼び出したりする。(ここでも、スティーヴ・ブシェミ。気がつけばブシェミの出演する映画ばかりを選んでいる自分に驚く!)
土曜のマーケットで、マニアックな曲のレコードを売る冴えないシーモア。
馬鹿にしながらもイーニドは、世間からはみ出し者扱いのシーモアに、自分を重ねて惹かれていく。
自分は、この先、どうしたらいいのか分からない。
大学に行く気もない、何の仕事をしたらいいのか分からない。
する事といえば、髪を緑に染めたり、キャットウーマンのマスクを被って歩き回ったりする事だけ。(人の事を馬鹿にできるのか?)
まるで、逃げ道を探しているようなイーニドに対して、親友レベッカは現実を、ちゃんと見据えている。
バイトを始めて、アパートを借りて、一人暮らしをするために着々と動き出すのだ。
そんな二人が合うはずもなく ……
微妙な距離感は広がり、やがてレベッカの方から「サヨナラ」を告げて、一人去っていくのだ。
残されたイーニドは、結局、シーモアとも別れて、一人、暗い町をさ迷うのである。
口が悪くて、ただ粋がっているイーニドの不安や焦りは分かる。
分かるのだが、あまり同情はできないかも。
イーニドもバイトをはじめてみるのだが、客にも先輩にも、ふてくされて終始タメ口。
当然、バイトは首になる。(当たり前だ)
こんな態度でイーニドが、金を稼いで自立できるのか?
無理!無理!(人生そんなに甘くない)
謙虚さの欠片もないイーニドに出来る仕事などありません。
これじゃ、どこに行っても長続きしないでしょうね〜。
レベッカが去っていった後、イーニドも夜半、鞄一つを持ってバスに乗りこみ、この町を出ていくのだが………
目的もなしに、いったいどこへ行こうというのか?
彼女にまともな幸せは訪れるのか。
行き着く先は天国なのか、はたまた地獄なのか ……… 不安なエンディングで映画は幕を閉じる。
これから社会人になる前に、この映画は観てほしいかも。
ノリのよい音楽、フワフワした夢見ごこちの日常の中で、《現実の厳しさ》を真正面から突き付けてくる …… ある意味、これは怖い映画なのかもしれない。
星☆☆☆。