2017年 アメリカ。
主演は『ファーゴ』のフランシス・マクドーマンド。
この映画、アカデミー主演女優賞、助演男優賞を獲得してる。
昨今のアカデミー賞をあんまり信用してないので、期待半分。
あと、この映画の事は知ってたけど、あまりにも好き嫌いが別れてて、ずっと二の足をふんでました。
観た感想は、一言で言うと《変な映画》。
でも、これが、後生に伝えるアカデミー賞を獲れるほどの傑作とは、全く思えないけどね。
娘をレイプされて殺された母親ミルドレッドが、行き場のない怒りを、警察所長を名指しにして、3つの広告看板に町中に掲げる。
「娘はレイプされて焼き殺された」
「いまだ犯人はつかまらない」
「どうして?ウィロビー所長?」
ウィロビー所長というのが、人望もあって町中に好かれている人物。(オマケにすい臓ガンを患っている)
こんな看板で誹謗中傷された所長は、町中の人たちに「可哀想に……」なんて気持ちで、一気に同情が集まってくる。
皆が所長の味方なのだ。
一方、こんな広告を出した母親『ミルドレッド』(フランシス・マクドーマンド)は、周囲の人々を完全に敵にまわしてしまう。
でも、このミルドレッドも負けてはいない。
どこまでも強気で激しい気性の持ち主なのだ。
牧師の説得など、まるで意に介さない。
治療に行った歯医者が所長の味方なら、指を治療ドリルでつき刺したりもする。(この辺りから、なにやらミルドレッドに同情的になれないような、おかしくな方向になってくる……)
こんなミルドレッドに対抗するのが、所長崇拝も度を越えている悪徳警官『ジェイソン』。
ミルドレッドの友達を勝手にしょぴいて(有色人種というだけで)、警察の域を越えたやり方を平然とやりだす。(今時いるのか?こんな警官?)
まさに、《やったらやり返せ!目には目を!》を地でやりだすような二人なのだ。
この二人、所長がピストル自殺をしてしまうと、もうお互いのやりたい放題が、さらにヒート・アップしていく。
頭にきたジェイソンは、八つ当たりで、ミルドレッドの広告看板を出した業者を殴る、蹴る。
しまいには、2階の窓から放り投げたりもする。(相手は病院送りになる)
当然、警察はクビ。(逆に逮捕されないのか?)
ミルドレッドはミルドレッドで、看板を放火されると頭に血がのぼり、警察署に火炎瓶を投げ込んで全焼させる。(もう、やけくそ。理性なんかぶっ飛ばせ!だ)
ちょうどその時、辞めた警察署で、所長の遺書を読んでいたジェイソンは、火だるま状態で飛び出してくる。
この映画を嫌いな人は、誰一人感情移入できなかったという。
まぁ、そうだろうな。(自分も全然分からないし)
殺された娘にしても回想シーンで、ちょこっと出てくるけど、生意気で全然可愛いくない娘だしね。
ドラマとして素晴らしい傑作だったという人もいるけど、それもどうなんだろう。
ブラック・コメディー?(あんまり笑えないけど)
こうして、文章におこしてみても、まるっきり変な映画だ。
だって、ありえないような展開ばかりだし。
放火しても、傷害事件をおこしても、決して逮捕されないミルドレッドとジェイソンは、まさに七不思議である。(こんなのとっくに刑務所行きでしょ)
こんな二人は決闘でもなんでもして、二人きりで、とことんやり合えばいいのにね。(巻き込まれる人は、たまったもんじゃないです)
とにかく、完全に怒りの矛先を間違った方向に向けているミルドレッドには、とても同情はできないのでした。
星☆☆。(これでアカデミー賞は、やっぱりオカシイだろ)