2023年1月8日日曜日

映画 「スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲」

 1988年  日本。





このblogを始めた初期、連続で書いた『スケバン刑事』シリーズ。

(ん?何か忘れてるぞ…… )って事で最近、やっと思いだした。


浅香唯版の映画を、すっかり忘れておりました。(笑)



「わちは、もう何もかんも分からんようになった!」


ドラマ版、陰との戦いが終わっても『風間唯』(浅香唯)は、まだ高校2年生。

暗闇司令は「卒業まで、後1年あるじゃ〜ないか」と次の仕事を唯に与えていた。


それが『関根蔵人』(京本政樹)が設立した別の機関《青少年治安局》の学生刑事たちと連携して、のさばる不良どもを取り締まる仕事。



だが、その非情なやり方は度を過ぎていて、唯はとうとう我慢の限界を超えて、ブチ切れ。


先程のセリフを吐くと、スケバン刑事の任務を放り出して自主退職。故郷の宮崎にとっとと一人で帰ってしまった!のだ。(ありえない)


こんな唯の身勝手な行動が、ただですむはずもなく ……


唯がいなくなった《青少年治安局》では、「これ幸い」とばかりに本性をみせはじめ、各地でテロ行為を開始する。(テロの犯人を、街の不良たちの仕業と見せかけるなんざ、どこまでも抜かりのない治安局)


そんな唯がいなくなった東京では(しょうがなく)暗闇司令の部下『依田』(萩原流行)が潜入捜査。


テロ計画の入ったフロッピーディスクをかろうじて盗み出すも、敵にやられて呆気なく絶命する。(この映画では、まるで良いとこなしの流行さん)


宮崎でノホホ〜ンと暮らしている唯に、長女の『結花』(大西結花)は、次女の『由真』(中村由真)を側において電話した。


依田の死や『暗闇司令』(長門裕之)の拉致・監禁の情報を聞いて、途端に青ざめる唯。


「唯、わたしも由真も覚悟を決めたわ!」

こんなセリフでも結花姉ちゃんの猛烈な怒りは観ている側にもジワジワと伝わってくる。


「テメェーが《スケバン刑事》の任務を勝手に放り出したから、こうなったんだろうがよぉー!さっさと戻ってこいや!!」


淡々と話す結花に、こんなテレパシーにも似た殺気を感じ取って、唯は慌てて💦上京した。(怖い怖い(笑))


三姉妹は海沿いのオシャレなレストランで合流すると(なぜ?自宅で待ち合わせしないんだろう?)、唯は反省しきり。


「わちは《スケバン刑事》失格じゃ!」

と懺悔の言葉を並べたてている。(よっぽど結花姉ちゃんが怖いんだろう(笑))


そんな場所に青少年治安局のリーダー・『阿川瞳子』(藤代美奈子)が現れると「フロッピーを渡しなさい!」と三姉妹に詰め寄った。



すると、海からロープが飛んできて、あっという間に三姉妹の首に巻き付くと、そのまま引っ張られて海にドボン!(この時点で普通は死んでるぞ)


姉たちもヤラれまくりで三姉妹は散り散りに。


それでも、なんとか無傷で助かった(どこまでも運の良い奴)唯は、『坂東京助』(豊原功補)が束ねる《番長連合》の隠れ家へと、一人だけ逃げ延びるのだが ………



この映画を当時、映画館まで出向いて観にいったものだった。


原作者・和田慎二の逆鱗。

「パートⅢは自分自身の為に、ただ戦っているだけ。《スケバン刑事》が学生刑事である意味を全く理解していない!」


こんな声が視聴者にも届きはじめ、製作側も「なんとかせねば!」と思ったのか、観る前には「《原点回帰》になる!」なんて噂もチラホラと聞こえていた。



で、観た感想、

やっぱり最後まで「《唯》は《唯》のまま」でございました(笑)。



ノーテンキでいて、物事を深く掘り下げて考えた事もない。

天性の運だけで生き残ってきた少女、それが『風間唯』(浅香唯)である。



もちろん、この後は、《番長連合》の力を借りながら、関根蔵人や《青少年治安局》との壮絶な戦いに勝利する唯。(まぁ、主人公ですもんね)


最後には、敵に拉致されていた『暗闇司令』(長門裕之)を助け出して、ヨーヨーを返しながらも、

「最後まで落ちこぼれの《スケバン刑事》じゃったわい」の自虐の言葉がもれている。


でも、(本当に反省してるのかなぁ~、この娘は ……)と、ついつい疑ってしまう。(単にそばで見ていた結花姉ちゃん怖さに、こんな言葉を吐いたんじゃないだろうか(笑))



だって、途中途中が、こんな笑顔ですもんね↓




この映画を観て、《スケバン刑事》の最大ともいえる《弱点》に気づいてしまった私。


暗闇司令が作った、この《スケバン刑事》、桜の代紋入りのヨーヨーを与えたり、敵のいる学校や組織に入る手続きはしてやれても、組織として出来る事はそこまで。



明確な指示を与えることは、一切許されていないのだ。



それはあくまでも、《スケバン刑事》というものが 非合法 だから。



最初から、依田のように

「《青少年治安局》がテロ行為を企んでいる。その証拠を探り出すのだ!」

なんてのも《スケバン刑事》の唯には口が裂けても言えやしない。(言ってしまえば暗闇司令側は、《未成年に、警察内部しか知らない情報を漏洩(ろうえい)させた!》と、のちのち大問題になってしまうからである)




ならば、どうすればいいかというと ……


《スケバン刑事》の方が、(暗闇司令が自分を送りこんだのは、何か深い理由があっての事なのだ!)と 察して、自主的に考えたり、 行動 するしかないのだ!



十代の少女に、そこまでの荷を負わせるのは難といえば難だが、幸運にも《Ⅰ》の斉藤由貴や《Ⅱ》の南野陽子も、それを立派にやり遂げてきたという輝かしい実例がある。



こんな微妙な関係でギリギリ成立しているのが《スケバン刑事》。(ヨーヨーが上手いだけではダメ)



でも、こんな不確かな状況だけで捜査していくなんて並大抵のことじゃないし、誰でもできるようなことじゃない。


スケバン刑事になる為のハードルが上がるのも無理もない話なのだ。




そんな難しい事を、このノーテンキな唯は少しは理解しているのかなぁ~(なんせ、あのキャラクターですもんね(笑))



訳の分からない事にキレて「理屈はもう沢山じゃ!」になってしまうのも、ごくごく自然な事なのかもしれない。(ある意味、前任の二人が優秀過ぎたのだ)



本当に難儀な仕事である、スケバン刑事って ……





ただ、難儀な仕事にはそれなりの見返りもあって …… 


下世話な話、《スケバン刑事》って、未成年でも相当、高額な給料 ✨💴✨を貰ってるはずだ。


非合法な仕事とはいえ、住まい(アパートや一軒家)や生活費、学費、保険料までもキチンと面倒見てくれてるんだから。(その辺りも含めて、風間家では結花姉ちゃんが、しっかり管理してそうだが)



お金を貰ってるなら、もっと、ちゃんとしましょうね、唯ちゃん!



最後にアホな事を書いた(笑)。

スケバン刑事たちよ、永遠なれ!

星☆☆☆。(おしまい)