1978年 イスラエル。
大人になって、いまさら驚いた。
この映画が『イスラエル』産だったとは!
てっきりアメリカ映画だろう…と、今の今まで、ずっと変な勘違いしていたのだ。
昔、頻繁に、テレビで放送されていて、たまたま親がいたりすれば、とんでもなく気恥ずかしくなってくる。
いわゆる《ハレンチ青春グラフィティー》って感じの映画なのである。
一方、《イスラエル》といえば、空爆や紛争が今でも続いていて、混沌とした、まるで危険地帯のようなイメージ。(勝手なイメージなんだけど)
そんな国で、こんな映画がよく作られたものである。(しかもシリーズ化されて全8作。オマケに番外編として、アメリカ版のリメイクまであるのだ)
お話は、こんな感じ。
舞台は、1950年代のテルアビブ。(これも全然気がついてなかった。てっきりアメリカだとばかり思っておりました。調べてみるとイスラエルの中でも、経済や観光などで、大規模に発展している一大都市らしいのだ)
主人公の『ベンジー』は、ごくごく普通の男の子。(ちと痩せてるが)
『ボビー』は黒髪イケメンでモテモテ。
『ヒューイ』は金髪太っちょのおデブさん。(お決まりのギャグ要員)
こんな見た目も性格も違う3人なんだけど、3人はいつも一緒にいる。
目的は《ナンパ》。
女の子をゲットして、《一発やりたい!》、ただ、その目的の為に意気投合して、年中つるんでいたのだった。(思春期の男たちが考えてる事は万国共通なのだ)
でも、ナンパなら、
「もっと格好いいメンバーを揃えれば上手くいくんじゃないか?」
と思うのだが、イケメンのボビーからすれば、ベンジーもヒューイも、都合の良い引き立て役なんだろう。(「俺様の格好よさが際立つ」ってところか? 顔は良くても、このボビーの性格はクソ野郎である)
とにかく、前半は女の子を手当たり次第にナンパしては、3人はイイ関係までいきそうになるのだけど、その家の主(あるじ)に見つかったりして、素っ裸のまま追い出されたりする。
大概は、ヒューイが逃げ遅れたりして、散々な目にあったりするのだが……。(なんせ、ギャグ要員なんで)
こんなドタバタで終始終わるのか、と思いきや、この映画は急にここから様相を変えて、シリアスな展開になっていく。(エッチな場面も存分に交えながら)
主人公ベンジーが、ある女の子を好きになるのだが、その子はイケメンのボビーに夢中になってしまって、ゴールイン。
身体も心も全てを捧げちゃうのだ。
そんな成り行きに黙って耐えているベンジーなのだが、その女の子が、ある日泣いているのを目撃してしまう。
なんと!予期せぬ妊娠!
「もう、どうしていいか分からない!」
その女の子を必死に慰めて、力になってやると約束するベンジーは、入院費用のために懸命にバイトしたりして、お金を工面したりする。
そんなベンジーの優しさに、ホロリと一瞬なるも、この女の子……子供を降ろした途端、またもや逆戻り。
あのクソ野郎ボビーと簡単によりを戻してしまうのだ。(男もクソなら、女もダメ)
その光景を見て、ショックのベンジーの姿をカメラはとらえながら、50年代に流行したオールディーズの音楽が流れるのである。(こんなシリアスな展開の中、太っちょヒューイは、全く話には関わってこない。ギャグ要員の出番は早々に終わったので)
こんなのが、確か『グローイング』の話の流れだったと思う。
苦い青春の一頁……
だが、こんな『グローイング・アップ』もシリーズ化されて、『2』を観た途端に、そんな感傷的な気分は、一瞬で吹き飛んだ (笑) 。
またもや、3人揃って、別の女の子をゲットしようとナンパにいそしんでいるのだ。(ゲゲッ!)
あの前回付き合って、妊娠までさせた女の子とは、とっくに別れていて、またもやナンパに夢中な『ボビー』。
それに、あんな酷い想いまでさせられたのに、すっかり忘れて、ボビーと一緒になっては、別の女の子探しに躍起になってる『ベンジー』は、ひょっとしてアホの子なのか?(笑)
太っちょ『ヒューイ』は、相も変わらず、映画の最初だけを盛り上げるギャグ要員である。
このパターンが『2』、『3』、『4』……とずっと続いていき、1988年には『8』まで作られていくのである。
もう、この頃になると、3人とも少年とはいえない、立派な青年。
いくら、テレビで流れていて観ていても、
「いつまでやっとんじゃい!いい加減に真面目に働かんかい!!(笑)」と、ツッコミたくなるほどでもあった。(よく続いたよ、このシリーズも。ヒットし続けたからこそ、8作もできたんだろうけど)
こんな懲りない野郎どもの最低ナンパ映画ですから、製作国がイスラエルと知って、自分が、驚いたのも無理なかろうと、お察し願えると思う。
尚、『グローイング・アップ ラスト・ヴァージン』はアメリカで製作された第1作目のリメイクである。(またもやリメイク、Oh! アメリカよ~!)
でも、こんな映画でも放送されれば、哀しい男の性で、馬鹿にしながらもツイツイ、やっぱり観ちゃうんだろうなぁ~。(まぁ、この現代の厳しい世相では、放送なんてのは絶対無理だろうけど)
半分呆れながらも、本能に向かって突き進む彼らを、男なら羨んでしまうのかもね。(男って、やっぱりアホだなぁ~ (笑) )
星☆☆☆。
※尚、日本でも、その後、似たようなドラマができて話題になる。
『毎度お騒がせします!』。
このドラマが、グローイング・アップシリーズを下地にしているのは、比べてみてもあきらかであ~る。