2023年5月7日日曜日

映画 「モンキー・フィスト 猿拳」

 1979年  香港。




最初に書いておく。

この映画は とっても面白いし、大傑作だ!


初主演のユン・ピョウが素晴らしいのはもちろんだし、他の出演者たちも皆、大好きになった。


何でこの映画を今の今まで観てこなかったんだろうー。バカ!バカ!私は大馬鹿ヤローだぁー!(まぁ、前の『燃えよデブゴン5』なんて糞タイトルじゃ、はなから観る気もないけどさ(笑))



『レイ』(ユン・ピョウ(左))と『マー』(レオン・カーヤン(右))は詐欺師コンビ。



運動神経が良くて、ちょいと悪知恵が働くのがレイ。

そんなレイをサポートするのが、少々ドジな相棒・マーである。


二人は間抜けな質屋の親子を騙くらかして、まんまと大金をせしめるのだが、分け前の事で内輪揉めしているうちに、そのお金を無くしてしまう。


「なぁーに、また別のカモを探せばいいさ」

前向きなレイの提案で、今度は食堂にいた白髪の中年男をターゲットにするも、あっさり返り討ち。



ご覧のように、二人はコテンパンにやっつけられた。


でも、ここでもメゲないのが前向きなレイとマーのコンビ。

「是非、俺たちを弟子にしてください!」と自ら弟子入り志願。


凄腕の拳法遣い『モードゥ』(ラウ・カーウィン)は、そんな二人の弟子入りを許して、手慰み程度に拳法を教えてやるのだが ……



でも、この師匠・モードゥには、何やらドス黒い《秘密》がありそうだぞ。


モードゥを狙って、妙な殺し屋二人組がやって来るし。

ハゲアタマに黒板消しでも乗せたような髪形の男と、化粧したオカマの二人組。(コイツら、簡単に負けるだろうなぁ~ …… )と思ったら案の定、ボコボコにされてた(笑)》



レイとマーは、師匠・モードゥを手助けして何とか殺し屋たちを倒したものの、またもや別の男が師匠・モードゥの人相書を持って二人の前に現れる。


このモードゥの正体、やっぱり《古ダヌキ》の異名を持つ大悪党だったのだ!


強盗犯の大ボスで、先程の二人組は、以前の強盗仲間。


モードゥの裏切りでムショ送りになっていたものの、ようやくシャバに出てきて、モードゥに復讐する為にやって来たのだ。(でも、あっさり瞬殺されたけど)


この人相書を持っていたのはお役人。


そんな事にも気づいていない単細胞なレイとマーはモードゥの居場所をペラペラと喋ってしまう。

鈴木亮平似のお役人?(笑)》


だが、このお役人も強すぎるモードゥには、まるで歯が立たず。

これまた、あっさりと殺されてしまう。


運の悪い『レイ』(ユン・ピョウ)は、偶然、事の成り行きを全て聞いてしまった。


「オマエ、私の正体を知ってしまったのか …… 」


躊躇もなく、非情なモードゥはレイを殺そうと襲いかかってくる。



たとえ、弟子にしたとしても自分の保身のためなら、情けなど一切無用。

心底冷酷になれる男、それがモードゥの正体だったのである。


今やレイの命は風前の灯火。そこへ ……


「やめてくれぇーーー!」

遅れて駆けつけたのは、相棒のマーだった!


訳の分からないマーだったが、殺されかけてるレイを救い出し、代わりに殴られ蹴られ続けてる。

それでも必死になってレイを庇おうとする健気な『マー』(レオン・カーヤン)。


「逃げろ!逃げるんだー!オマエだけでも生き延びてくれぇーー!!」



モードゥの脚にしがみついて、叫び続けるマー。

次の瞬間、首をねじられてマーは、レイの目の前で絶命した。😭



レイはやみくもに町中を走り続けた。

何とかモードゥから逃げおおせたレイ。



でも、走りながらも、今まで親友・マーと過ごしてきた思い出が浮かんできては、泡のように消えてゆく。



二人はいつも一緒だったのだ。


バカやって、アホやって、それでも文句も言わず、ずっと付き合ってくれたマー。


そんなマーは、もういない ……


もう、レイは半泣き状態。


でも …… 徐々にレイの顔つきが変わってくる。


おのれ〜、見ておれモードゥ!、オマエより強くなって、絶対にマーのかたきをとってやるぅ~!


それは復讐を決意した、精悍な男の《顔》なのであった ……



ここまでが、この映画の中盤過ぎ。


ここからが、猿をつれた浮浪者風の男(サモ・ハン・キンポー)の指南をうけて、レイの凄まじい修行場面になっていくのだが(その正体は隠密役人) ……


とにかく、ユン・ピョウや他の俳優たちも素晴らしいんだけど、私としては レオン・カーヤンの印象がとてつもなく強く残る


ハッキリ言って、レオン・カーヤンの功夫(クンフー)は、他の人たちに比べて段違いに ヘタクソだ。


特典映像で、本人も自らコメントしているが、元々、何の基礎すらも無いような状態で、功夫映画界に駆け込みで飛び込んでいったそうな。


そんなズブの素人に、手取り足取り、イチから教えていったのはサモ・ハン・キンポー


自分の映画の端役で使いながら、功夫の基礎を学ばせる。


そうして、とうとう、こんな重要な役(ユン・ピョウの親友役)まで与える事になったのである。(だからこそ、サモ・ハン・キンポーは偉大なのだ。分かってもらえるかな、皆さま?)


レオン・カーヤンも、そんなサモ・ハンの期待に応えようと下手なりにも必死だ。


その《必死さ》が観ているコチラ側にも伝わり、胸をうつ。


時折、この人の愛嬌の良さが見え隠れしてるが、多分、地の性格がとても良いのだろう。


今では、立派に実力をつけて武術指導者にまでなったレオン・カーヤンは、いつまでもサモ・ハンへの恩義や感謝を忘れない。

レオン・カーヤンの近影》




そうして、だいぶ脱線したが、レイの修行場面。




縄跳びしながらの連続バック転、腕立て、宙返り …… もう、ユン・ピョウのとてつもない身体能力を、我々は目にする事になる。


コレを観たら、あの「『プロジェクトA』や『ヤング・マスター 師弟出馬』のユン・ピョウは何だったの?」と思ってしまう。(兄貴分のジャッキー・チェンに遠慮して、だいぶチカラを抑えていたのかしら?)



クライマックスは宿敵・『モードゥ』(ラウ・カーウィン)との怒涛の闘い。






『レイ』(ユン・ピョウ)が、連続ウルトラCやら、華麗な足技を繰り広げながらも、中々、簡単には倒れてはくれない『モードゥ』(ラウ・カーウィン)。


この闘いはいつまで続くのだろうか …… (何十分も闘い続けている)


時間が過ぎれば過ぎるほど、モードゥのスピードと強さは、どんどん凄みを増してくるばかりだ。(本当に憎たらしいほど、強すぎるオッサンだ(笑))


見かねたサモ・ハンがユン・ピョウに加勢するも、二人がかりでもモードゥには中々敵わない様子。😱


ラウ・カーウィンの強さに、本気で立ち向かっていくのは、まるで血反吐を吐くようなものなのだ。(まだ、こんな強敵になる人材がいたとは!恐るべし、当時の香港映画界の層の厚さよ)



この映画は米サイトが選んだ「死ぬまでに観るべきクンフー映画」として認定されている。


私の評価も、もちろん星☆☆☆☆☆。(久しぶりにこんな面白い映画を観たわい)


ラストまで瞬きすら与えてくれない男たちの真剣勝負!

どうぞ、ご堪能あれ。




2023年5月3日水曜日

よもやま話 「サモ・ハン・キンポーの日本での悲劇」

 





近年では名前の『キンポー』を取ってしまい『サモ・ハン』に改名してしまったという。(知らんかったわ)


まぁ、我々世代には、いつまでもサモ・ハン・キンポーって事で。(ヨシとしときましょ)



幼い頃から京劇を学び、徐々に功夫(クンフー)映画の端役として出演しはじめたサモ・ハン・キンポーは、とうとう憧れのブルース・リーの映画『燃えよドラゴン(1973)』で端役とはいえ、共演をはたす。


《↑だいぶ感じが違う当時のサモ・ハン(丸っこいのは同じだけど)》
 


その後、ブルース・リーが亡くなり、功夫映画が、やや低迷してきた頃、尊敬するブルース・リーをオマージュにした映画『燃えよデブゴン(1978)』に主演。


この映画、ジャッキー人気の陰に隠れて、日本では公開当時、あんまりパッとしなかったようだ。(「どうせ『燃えよドラゴン』のバッタモンでしょ」って意見がほとんど。)


それでも観た一部の人からは、


「あんなに太っていて、よくもまぁ、あんなに動けるなぁ~」

と驚嘆させたそう。



それは地元、香港でも同じで、「あれだけ動いているのに、なぜ?痩せない?!」と、まで言われていたそうな。(余計なお世話(笑))


でも、その答えは簡単明白。


とにかく消費カロリーを上回るほど、

よく食っていたから!(肥る理由なんてコレ以外にないのだ)


一回の食事でも、ご飯🍚なら、おかわり杯なんてのを日常的にしていたそうだから、そりゃ、あの身体でも納得してしまうだろう。


何にせよ、《サモ・ハン・キンポー》=《動けるデブ》=《燃えよデブゴン》って名称は日本で認知されて、コレは徐々に世間的にも浸透されていく。


…… だが、これが 地獄への序章のはじまり。


映画『プロジェクトA』で、日本でも知名度が上がってきたサモ・ハン・キンポーの映画には、何でもかんでも【 燃えよデブゴン 】の冠がつけられるようになっていくのだ。


続編でもなければ、内容的にも全く無関係なのに。


サモ・ハンが出てるフジテレビが勝手に『燃えよデブゴン2、3、4 …… 』として放送するビデオ発売レンタル店へ(ビデオレンタル全盛期)が一連の流れとなる。


勝手に日本ではシリーズものとして扱われ、乱立されてきたサモ・ハン・キンポーの映画。


ココにその数がどんだけあるか記しておこう。



 ※太文字がテレビ放送時のタイトル、(括弧内)がビデオ及びDVDの変更後のタイトルである。



★燃えよデブゴン(燃えよデブゴン)…… 1978年。これが最初だし、まんまなのは納得。原題も《Enter the Fat Dragon》だしね。


★燃えよデブゴン2(燃えよデブゴン 正義への招待拳)…… 1980年。前作と無関係な続編のはじまりである。


★燃えよデブゴン3(燃えよデブゴン カエル拳対カニ拳) …… 1978年。《2》よりも年代的には前なのに《3》として放送。ここまでくると 内容だけでなく時系列も完全無視である。


★燃えよデブゴン4(燃えよデブゴン4 ピックポケット!) …… 1982年。


★燃えよデブゴン5(モンキー・フィスト 猿拳) …… 1979年。


★燃えよデブゴン6(燃えよデブゴン 豚(と)んだカップル拳) …… 1979年。改名後も、おふざけが過ぎる酷いタイトル。


★燃えよデブゴン7(燃えよデブゴン7 鉄の復讐拳) …… 1979年。


★燃えよデブゴン8 クンフー・ゴースト・バスターズ(妖術秘伝・鬼打鬼)…… 1980年。


★燃えよデブゴン9 (プロジェクトD) …… 1979年。もしかして改題の《D》は《デブゴン》の《D》って意味?


★燃えよデブゴン10 友情拳(同一) …… 1978年。


★燃えよデブゴン お助け拳 …… 1980年。カウント数字が無くなったものの、ビデオやDVDのソフト化すら、今だに無し。


★燃えよデブゴン 出世拳(デブゴンの太閤記) …… 1978年。


★燃えよデブゴン 地獄の危機一髪(斗(たたか)え!デブゴン) …… 1980年。


★デブゴンの怪盗紳士録(同一) …… 1984年。


★デブゴンの霊幻刑事(サモ・ハン・キンポーのオバケだよ全員集合!) …… 1986年。


★帰ってきたデブゴン 昇龍拳(ベティキャブ・ドライバー) ……  1989年。


★痩せ虎とデブゴン(ハチャメチャ刑事 マックとロン) …… 1990年。日本でDVDになったのは2015年。(約25年ぶりである)


★おじいちゃんはデブゴン(同一) …… 2016年。DVD化は翌年2017年。コレはレンタル店で最近見かけたものの、「また、デブゴンかよ …… 」とウンザリした記憶がある。




ざっと書いてみて、サモ・ハンの《デブゴン》はこんなところである。

他にも番外編としてドニー・イェンの《デブゴン》もあるらしいが、サモ・ハンは一切関係なし。


さらに調べてみると、〜デブゴン6まではフジテレビのゴールデン洋画劇場で放送されていて、デブゴン7〜以降は、フジテレビの深夜枠で、ご覧のような《デブゴン》表記で放送されていたそうな。(そりゃ、こんな安易なタイトルばかりではゴールデンの視聴率は稼げませんわ(笑))



それにしても、恐ろしきは、当時のフジテレビである。😱



映画の内容なんて 一切観ていない 担当者によって、勝手につけたタイトルで、何年も放送していくなんて …… (今なら放送事故、訴訟モノだろうよ)



なんで《観てもいない》って分かるか、って?



映画を観れば一目瞭然。




例えば『燃えよデブゴン5』なんてタイトルで放送されたモノなんて、監督や出演をサモ・ハン・キンポーがやっていても、この映画は ユン・ピョウが主役



サモ・ハンなんて映画の中盤過ぎまで姿を一切現さないのだ。



元々、俳優になるのには尻込みしていたユン・ピョウ

それを「お前は顔がいいんだから、絶対俳優を続けるべきだ!」と叱咤激励したのはサモ・ハン。


そうして自ら監督をして撮りあげた映画が『モンキー・フィスト 猿拳』で、コレはユン・ピョウにとっては、おめでたい初主演映画なのである。



それをフジテレビでは勝手に『燃えよデブゴン5』だなんて ……




後年、この映画は『デブゴン』の冠が取れて(当たり前だっつーの!)『モンキー・フィスト 猿拳』のタイトルでDVD化されているけど、マニアックなフアン以外には、ほとんど知られていないかもしれない。



私はコレを最近観た。(とても面白かった!)


後日、この映画に関してはキチンとした形でblogに取り上げるつもりである。





他にも、ズラズラあるが、これらのほとんどを私は観ていない。(全てが傑作とは思えないが、中には掘り出し物もあるかもしれないのにね)



まぁ、こんな阿呆タイトルばかりじゃ、観てこなかったのもしょうがないか。



ビデオレンタル時代には、こんなタイトルが並んで陳列されておりましたが、DVDに移行してからは、サモ・ハン・キンポーの主演映画は、パッタリと見かけなくなってしまいました。




日本においては、雑な扱いをされてきたサモ・ハン映画。



さすがに2000年代を過ぎれば、それもおさまるだろうと思っていたら、またもや『おじいちゃんはデブゴン』なんて糞タイトルを久しぶりに見た。(原題は《the bodyguard》)




何でもかんでも、デブゴンデブゴン …… 

明けても暮れても、デブゴンデブゴン …… (スティーブン・セガールに至っては、何でもかんでも『沈黙 … 』脱線した(笑))




担当者のやる気の無さ、

この映画を実際、ちゃんと観てもいないだろうし、本気で「売り出したい!」という気持ちすらも見えてこない。



邦題一つの付け方で、そんなモノが観る側にも、伝わってくるのだ。





近年、持病の糖尿病の悪化で車椅子姿のサモ・ハン・キンポー。


そうして、さらに激ヤセしたサモ・ハンの姿を見てしまった。



弱々しい姿のサモ・ハン・キンポー。



多分、『おじいちゃんはデブゴン』なんて悪題をつけられた映画が、最後の主演作になるかもしれない。



糖尿病になってしまったのは、昔からの暴食を続けた自己責任もあるだろうが、本人が健在のうちに、何とか良い作品だけでも、タイトルの是正をしていってほしいものである。




この人は俳優としてだけじゃなく、映画監督としても武術指導者としても、本来、もっと評価されてもいい人物なのだから。




以上、サモ・ハン擁護の為に、ちょこっと書いてみた一文でございました。




2023年4月26日水曜日

映画 「プロジェクトA」

 1983年  香港。




この映画といえば、ジャッキー・チェンの時計塔から落下。(頸椎(けいつい)損傷の大怪我。よく四肢麻痺にならなかったよ)


あと有名な主題歌『東方的威風(ドンフォンデワイフォン)』。(メロディーは覚えていても広東語(かんとんご)を全く覚える気がない私(笑))


後は、うすらボンヤリな記憶だけが残っている『プロジェクト A』。


こんな『プロジェクト A』を数十年ぶりに観た。(全ては、ここ最近のジャッキー熱と記憶補完の為)



20世紀初頭、イギリスの統治下にある香港では、《海賊》が度々出没しては悪行の限りをつくしていた。


それを取り締まるのが『ドラゴン』(ジャッキー・チェン)が所属する《水上警察》なのだが、ことごとくヘマばかり。


『タイガー』(ユン・ピョウ)たち《陸上警察》の連中は、成果の上がらない《水上警察》に「税金のムダ使い!」と罵倒する。


その果ては酒場で大乱闘。


しまいには、《水上警察》は解散させられ、《陸上警察》に吸収合併させられてしまう。


タイガーは、憎い水上警察の連中が自分たちの傘下に来たことで、毎日イビリまくり。


ドラゴンはイライラをつのらせていく。


それでも《陸上警察》に協力して、マフィアのアジトに潜入し、あわや犯人逮捕というところで、突然現れた陸上警察の『チー総監』に邪魔だてされる。


金持ちのクラブ・オーナーに忖度して、ヘコヘコしている『チー総監』は、逆に騒動をおこした張本人として、ドラゴンに「謝れ!」と命令するのだ。


ドラゴンの我慢はもう限界。

そして、とうとう ……




原案・脚本・監督・武術指導・主演と、ジャッキー・チェンが全てにおいて関わっている『プロジェクト A』。


大怪我をおしてまで撮りあげた『プロジェクト A』を、ジャッキー映画のベスト・ワンに挙げる人も多いだろう。


でも、ゴメンなさい …… 数十年ぶりに観た私の目には、ここまで書き上げた分が、おっそろしく つまらなかったー!(あ、言っちゃった!)


《水上警察》と《陸上警察》のいざこざ、ドタバタ、乱痴気騒ぎ …… ど~でもいい。

ユン・ピョウのアクションも、こんな本筋にも関係ないような酒場の乱闘シーンに使われるのは勿体ないような気がした。


(おっかしいなぁ~、当時は度々テレビで放送されていて、それなりに面白く思えたものだが …… )と思っていたら、ココから『プロジェクト A』はエンジンがかかりはじめて、やっと面白くなる。



「こんな警察なんて、もう辞めてやる!」

警察手帳を叩きつけて、町に出ていったドラゴンは怒りプンプン💢。


そんなドラゴンに声をかけてきたのは、クラブにいて、一部始終を見ていた幼馴染の『フェイ』(サモ・ハン・キンポー)である。(動けるデブ登場(笑))


このフェイは根っからの小悪党であり、《泥棒》を生業にしているのだ。


こんなフェイはドラゴンにトンデモない相談を持ちかける。


「なぁ、今夜、船で大量の銃が着く。それを俺たちが、こっそり横取りして一儲けする。手伝ってくれよ~、もう警察を辞めたなら義理立てする必要もないだろうぉ~?」


ドラゴンはフェイの申し出を受けて、二人はまんまと銃を盗み出した。


翌日、フェイは意気揚々、マフィア相手に早速交渉に出かける。

「銃はどこに隠してあるんだ?」

「川に浮かんでいる丸太の中さ。なぁ~に、誰でも分かりやすいように《赤い布切れ🚩》で目印をしてある。」


だが、川に行ってみると大量に浮かんでいる丸太には大量の赤い布切れがしてあって …… 🚩🚩🚩🚩🚩🚩


「こ、これじゃ、どれに隠してるか分からないっー!」(夜中にドラゴンが全部の丸太に赤い布切れを貼っていったのだ。逆に赤い布切れが無い一本だけが本物)


マフィアはカンカンに怒って、面がわれたフェイとドラゴンを町中、血眼になって追いかけ回す。


そうして、冒頭の場面、時計塔にまでドラゴンは追い詰められる事になるのである。



サモ・ハン・キンポーが登場してから俄然面白くなる『プロジェクト A』。

サモ・ハンのアクションもさすがである。


相手がパンチやキックを繰り出してきても、ソレを上手く受け流して、攻撃に転じている。

その様はアクションなのに小気味よくて、まるで舞踊でもしているようだ。(子役時代から京劇で鍛えられてきた)


これは『酔拳』の師匠・ユエン・シャオティエンに通じるものがあって、彼の動きも音楽にのっているかのようにリズミカル。


シャオティエンが生きてれば、サモ・ハンのセンスを褒め称えただろうと思う。



この後は、海賊に捕まったイギリス人たちを救出するため、ドラゴン、タイガー、泥棒のフェイまでが、三つ巴で団結して、海賊島に潜入。


映画は、怒涛のクライマックスへと流れこんでいく ……




前半、退屈。

中盤、面白い。

後半は、まぁまぁの及第点、って感じの『プロジェクト A』。(総じて星☆☆☆)


と、いうのも敵の描き方がねぇ~ …… (なんとかならなかったのかな)


海賊のボスである男が、この物語では《最大の宿敵》になるはずなのに、後半にやっと出てくるので、その《強さ》や《残忍さ》をはかり知る材料が、観客にはあまり与えられないのだ。


これでは3人がかりで、やっと倒しても《爽快感》は広がりにくいかも。(しかも最後が絨毯でグルグル巻きにして、ダイナマイトで木っ端微塵って死に方も …… なんだかねぇ~ …… )



顔はこんなにインパクト大なんだけどね。

《↑昔のアメリカのTVアニメ『大魔王シャザーン』みたいな海賊ボス(「出てこい!シャザーン!」皆んな知ってる?)》



そうそう、この映画も香港映画ならではで、やっぱり漫画みたいな《ブサイク・キャラ》が大勢出てくる。



《↑パパイヤ鈴木にしか見えない悪党》




《↑『マジンガーZ』の兜甲児のようなモミアゲ男》


中でも極めつけはコイツ。

《↑鼻の横のホクロから長くて太いチンチロ毛が出ている男》



こんな《奇面組》を探すのも香港映画の楽しみ方の1つかもしれない。(最近じゃ、これが唯一の楽しみと言っていいかも)


えっ?映画の見方が不真面目すぎるって?!


まぁ、いいじゃないの、楽しければ(笑)。

長々、お粗末様。


2023年4月24日月曜日

映画 「越境者」

 1950年  イタリア。




イタリアはシチリアの貧しい村に、たった一つだけある鉱山。


そこが突然《閉鎖》される事になった。


働いている村の男たちにとっては、まさに死活問題。

地下400mのゴツゴツした岩場で、ストライキがはじまる。


女子供たちは地上で、そんな男たちの安否を気遣って居ても立っても居られない様子だ。




坑夫たちと長い付き合いの経理士さんがトロッコで降りてきて必死に皆を説得。


「こんなに硫黄が充満していて空気が悪いところで …… 早く上がってくるんだ! もう、一晩も持たないぞ!」


『サロ』(ラフ・ヴァローネ)や他の坑夫たちもやっと観念して地上へと戻ってくる。


(でも …… これからどうやって暮らしていったらいい? …… )


行き着く不安は、やっぱりソコヘとかえっていく。


妻が亡くなり、男やもめになったサロには幼い3人の子供たちがいるのだ。(上2人が女の子、下の男の子なんて、まだ4歳だ)


(この子らを、これからどうやって食べさせていったらいいのだ …… )


そんな折、一人の中年男『チッチョ』が村の酒場にふらりとやって来て、こんな提案を話し始めた。


「こんな土地にしがみついてるより、是非フランスへの移民をオススメするね!  私ならそれが出来るぞ! なぁ~に、それなりの金を払ってくれるなら私が道中のガイドになってやってもいいし、上手く憲兵たちにも取り計らってもやれるぞ!」←(チョー胡散臭い)



「俺はフランスへ行くぜ!」

誰かが先陣をきって言い出すと、2、3人が賛同しはじめて、しまいには酒場に居た全員が賛成する事になった。

もちろん、サロも ……


家財道具一式を売り払って、わずかな金を工面した数十名たち。


「新天地《フランス》でやり直すのだ!」

皆が命がけで明日への希望に燃えている。


そんな夜、一人の女がチッチョを訪ねてきた。


「二人分、お願いしたいの …… 」

伏し目がちで暗い表情の『バルバラ』(エレナ・ヴァルツィ)である。


彼女は村でも評判の悪い男・ヴァンニと付き合っているのだ。

母親にも反対され、村人たちからも白い目で見られているバルバラ …… でも、悪党とは分かっていても、どうしてもヴァンニとは別れられない。(女心は複雑なのね)


(新しい土地に行けば、あの人だってきっと変われるはず …… )←(根拠のない希望)



こうして、様々な事情を抱えた者たちがバスに乗り込んで出発した。

まずはシチリアから列車に乗り換えて〜ナポリまで。


だが、長い旅路はどんどん困難を極めていき ……





原案・脚本には、あの有名なフェデリコ・フェリーニが関わっている。(『道』、『青春群像』など)


監督はピエトロ・ジェルミ。(これまたイタリア映画界では有名人。監督だけではなく俳優も兼任された方。監督作では『イタリア式離婚協奏曲』を観て、ココでも取り上げました)



で、主演が『にがい米』や『アンナ』にも出演していたラフ・ヴァローネさんである。



ラフ・ヴァローネさんは元々俳優になるつもりはなかったのだけど、勧められて続けるうちに、たまたま出演する作品にも恵まれて大スターになったという稀なお人だ。(どんだけラッキー)


この映画は、そんなラフ・ヴァローネの長い映画人生においても、ある意味、特別な作品となっている。(それは最後に後述しとく)




それにしても、名だたる監督や俳優たちで、よくもまあ、こんな映画を撮りあげたものだ。



なんせ、

《イタリアがあまりにも貧乏過ぎて、絶望して、皆でフランスに行きましょうよ!》

ってのが主題。



それを当のイタリア人たちが総出で撮っているんですもんね。


普通なら逆に《イタリアの素晴らしさ》をアピールしてもよさそうなものを。(当時、この映画は検閲に引っかからなかったのかしらん?)




確かに冒頭に映し出されるシチリアには悲惨さが滲み出ている。

村には木はおろか、草一本はえていないような岩だらけの乾いた場所で、石造りの家しか並んでいない。


これじゃ、農作物なんてのも育たないし、皆が飢えや貧困にも苦しむはずだわ。(※イタリアの貧困はその後も1960年代まで続く。アメリカ経済に助けられ、やっと息をふきかえす事になる)







案の定、ガイドの男は詐欺師だった。



村人からお金だけを巻き上げてトンズラする気だったのだ。(やっぱり!)



ナポリの駅で逃げる男に、悪党ヴァンニが懐(ふところ)から《銃》を取り出して発砲。

駅周辺は大騒ぎになる。



すぐに警察が駆けつけてくるも肝心の二人は捕らえられず、代わりにサロや村人たちが逮捕されてしまう始末。


「いいか!これは恩情だぞ。三日以内に皆んな故郷のシチリアへ帰るんだ!これは警察の命令だ!!」

変な命令書を渡されて苦渋に満ちた顔の村人たち。



警察からやっと開放されると、それをサロはビリビリと破り捨てた。


「今更、家に帰れるか!家財道具も全て売り払ったんだぞ!俺は何としてもフランスへ行くぞ!!」


バルバラも(国境まで行けばヴァンニと出会えるかも ……)そんな期待でフランス行きを決意する。

でも村人の半数は警察怖さに故郷に戻ってしまった。



残りの村人たちは不安ながらも、サロを先頭にして再び歩きはじめる ……





この後も一難去って、また一難。



サロと村人たちは農場で小作人として雇われるも地元の人たちから「よそ者は出ていけー!」の罵声が飛び交う。


そんな中でサロの娘が怪我をしてしまい動けない状態。

バルバラは単身、村まで医者を呼びに行ってくれたりすると、(オヨヨ ……?)二人は何だか良いムードになってきたぞぉ~。




ヴァンニの事が気がかりでも、誠実で子供に優しい『サロ』(ラフ・ヴァローネ)にどんどん惹かれていく『バルバラ』(エレナ・ヴァルツィ)。



映画は大方の予想通り、二人は相思相愛になっていくのだが、この二人、現実世界でも、やがて本当の夫婦になるのである。(なんと!(⁠´⁠⊙⁠ω⁠⊙⁠`⁠)⁠!)



エレナ・ヴァルツィは女優を辞めてラフ・ヴァローネと結婚。

二人は死ぬまで添い遂げる事となる♥。(二人ともに2002年に亡くなっている。どんだけ仲が良かった《おしどり夫婦》だったのかしらん)



この映画の撮影は、後半、過酷過ぎるくらい過酷になり、猛吹雪の中の山越えシーンなんてのは、撮影クルーにしても、俳優たちにしても本当に命がけだ。




こんな困難な撮影を、ともに乗り越えたからこそ、妙な連帯感が生まれて、それが愛情へと変わっていったのかもしれない。




尚、この映画は第1回の《ベルリン国際映画祭》で銀熊賞(監督賞)を受賞している。(ちなみに第52回(2002年)に『千と千尋の神隠し』で宮崎駿金熊賞を受賞している)



だからこそ、ロード・ムービーとしては秀逸の出来。



果たして皆は無事、フランスへとたどり着けるのか …… を最後まで語るのは、いちいち野暮というもの。



是非、ご覧あれ。(オススメしとく)

星☆☆☆☆。


それにしても絵になるくらい格好いい夫婦だなぁ~)