1983年 香港。
この映画といえば、ジャッキー・チェンの時計塔から落下。(頸椎(けいつい)損傷の大怪我。よく四肢麻痺にならなかったよ)
あと有名な主題歌『東方的威風(ドンフォンデワイフォン)』。(メロディーは覚えていても広東語(かんとんご)を全く覚える気がない私(笑))
後は、うすらボンヤリな記憶だけが残っている『プロジェクト A』。
こんな『プロジェクト A』を数十年ぶりに観た。(全ては、ここ最近のジャッキー熱と記憶補完の為)
20世紀初頭、イギリスの統治下にある香港では、《海賊》が度々出没しては悪行の限りをつくしていた。
それを取り締まるのが『ドラゴン』(ジャッキー・チェン)が所属する《水上警察》なのだが、ことごとくヘマばかり。
『タイガー』(ユン・ピョウ)たち《陸上警察》の連中は、成果の上がらない《水上警察》に「税金のムダ使い!」と罵倒する。
その果ては酒場で大乱闘。
しまいには、《水上警察》は解散させられ、《陸上警察》に吸収合併させられてしまう。
タイガーは、憎い水上警察の連中が自分たちの傘下に来たことで、毎日イビリまくり。
ドラゴンはイライラをつのらせていく。
それでも《陸上警察》に協力して、マフィアのアジトに潜入し、あわや犯人逮捕というところで、突然現れた陸上警察の『チー総監』に邪魔だてされる。
金持ちのクラブ・オーナーに忖度して、ヘコヘコしている『チー総監』は、逆に騒動をおこした張本人として、ドラゴンに「謝れ!」と命令するのだ。
ドラゴンの我慢はもう限界。
そして、とうとう ……
原案・脚本・監督・武術指導・主演と、ジャッキー・チェンが全てにおいて関わっている『プロジェクト A』。
大怪我をおしてまで撮りあげた『プロジェクト A』を、ジャッキー映画のベスト・ワンに挙げる人も多いだろう。
でも、ゴメンなさい …… 数十年ぶりに観た私の目には、ここまで書き上げた分が、おっそろしく つまらなかったー!(あ、言っちゃった!)
《水上警察》と《陸上警察》のいざこざ、ドタバタ、乱痴気騒ぎ …… ど~でもいい。
ユン・ピョウのアクションも、こんな本筋にも関係ないような酒場の乱闘シーンに使われるのは勿体ないような気がした。
(おっかしいなぁ~、当時は度々テレビで放送されていて、それなりに面白く思えたものだが …… )と思っていたら、ココから『プロジェクト A』はエンジンがかかりはじめて、やっと面白くなる。
「こんな警察なんて、もう辞めてやる!」
警察手帳を叩きつけて、町に出ていったドラゴンは怒りプンプン💢。
そんなドラゴンに声をかけてきたのは、クラブにいて、一部始終を見ていた幼馴染の『フェイ』(サモ・ハン・キンポー)である。(動けるデブ登場(笑))
このフェイは根っからの小悪党であり、《泥棒》を生業にしているのだ。
こんなフェイはドラゴンにトンデモない相談を持ちかける。
「なぁ、今夜、船で大量の銃が着く。それを俺たちが、こっそり横取りして一儲けする。手伝ってくれよ~、もう警察を辞めたなら義理立てする必要もないだろうぉ~?」
ドラゴンはフェイの申し出を受けて、二人はまんまと銃を盗み出した。
翌日、フェイは意気揚々、マフィア相手に早速交渉に出かける。
「銃はどこに隠してあるんだ?」
「川に浮かんでいる丸太の中さ。なぁ~に、誰でも分かりやすいように《赤い布切れ🚩》で目印をしてある。」
だが、川に行ってみると大量に浮かんでいる丸太には大量の赤い布切れがしてあって …… 🚩🚩🚩🚩🚩🚩
「こ、これじゃ、どれに隠してるか分からないっー!」(夜中にドラゴンが全部の丸太に赤い布切れを貼っていったのだ。逆に赤い布切れが無い一本だけが本物)
マフィアはカンカンに怒って、面がわれたフェイとドラゴンを町中、血眼になって追いかけ回す。
そうして、冒頭の場面、時計塔にまでドラゴンは追い詰められる事になるのである。
サモ・ハン・キンポーが登場してから俄然面白くなる『プロジェクト A』。
サモ・ハンのアクションもさすがである。
相手がパンチやキックを繰り出してきても、ソレを上手く受け流して、攻撃に転じている。
その様はアクションなのに小気味よくて、まるで舞踊でもしているようだ。(子役時代から京劇で鍛えられてきた)
これは『酔拳』の師匠・ユエン・シャオティエンに通じるものがあって、彼の動きも音楽にのっているかのようにリズミカル。
シャオティエンが生きてれば、サモ・ハンのセンスを褒め称えただろうと思う。
この後は、海賊に捕まったイギリス人たちを救出するため、ドラゴン、タイガー、泥棒のフェイまでが、三つ巴で団結して、海賊島に潜入。
映画は、怒涛のクライマックスへと流れこんでいく ……
前半、退屈。
中盤、面白い。
後半は、まぁまぁの及第点、って感じの『プロジェクト A』。(総じて星☆☆☆)
と、いうのも敵の描き方がねぇ~ …… (なんとかならなかったのかな)
海賊のボスである男が、この物語では《最大の宿敵》になるはずなのに、後半にやっと出てくるので、その《強さ》や《残忍さ》をはかり知る材料が、観客にはあまり与えられないのだ。
これでは3人がかりで、やっと倒しても《爽快感》は広がりにくいかも。(しかも最後が絨毯でグルグル巻きにして、ダイナマイトで木っ端微塵って死に方も …… なんだかねぇ~ …… )
顔はこんなにインパクト大なんだけどね。
そうそう、この映画も香港映画ならではで、やっぱり漫画みたいな《ブサイク・キャラ》が大勢出てくる。
中でも極めつけはコイツ。
こんな《奇面組》を探すのも香港映画の楽しみ方の1つかもしれない。(最近じゃ、これが唯一の楽しみと言っていいかも)
えっ?映画の見方が不真面目すぎるって?!
まぁ、いいじゃないの、楽しければ(笑)。
長々、お粗末様。