1998年4月〜6月。
『戸越杳子(とごし ようこ)』(加藤紀子)は、明るいけど少々ノーテンキな娘。
友人の結婚式に参列して、ブーケトス👰を受け取った杳子は、すっかり浮かれて舞い上がっている。
「杳子、次はあなたの番よ!」
そう、杳子も《結婚》が決まっている。
お相手は大手商社で働くエリートサラリーマン『小椋貴史(おぐら たかし)』(保阪尚輝)だ。
そうして、とうとう貴史の実家で、両親との初顔合わせの日。
貴史に伴われてやって来た杳子は、とても緊張していた。
(まさか、こんな大きなお屋敷だったなんて …… )
小椋家は、100年以上も続いているという茶道の家元だったのだ。
そこで紹介されたのが、貴史の両親・『小椋孝夫』(田村亮)と『小椋綾乃』(山本陽子)。
妹の『紗江子』(佐藤仁美)である。(この面子が揃うだけでヤバい空気がムンムンしている!)
広い庭で、やっと一人きりになった杳子は、茂みの奥に隠れて食べ物をむさぼっている、奇妙な老婆(三條美紀)に遭遇する。
「許しておくれ〜!お腹が空いていたんだよぉ~!!」
(なんなの?!この人は …… !!)
それと平行して杳子の所にかかってくる謎の電話。
「あなたが見た、あの《餓鬼(がき)》のような老婆は貴史の祖母よ。離れの方に一人だけ幽閉されているのよ。小椋家ではあの薄汚い老婆の下の世話をあなたにさせたいだけ。よ〜く覚えておくことね」
電話をかけてきたのは、昔から貴史に恋していた従兄妹の『涼香』(伊藤かずえ)だったのだ。(当然、杳子と貴史が結婚するのはクソ面白くない)
どんどん、不穏な空気に変わっていく杳子の周辺 ……
そんな折も折、杳子の実家では《ガン》で闘病中だった父親が亡くなってしまう。
お通夜の晩、人の言い争う声で目覚めた杳子は、目の前で取っ組み合いをしている自分の祖母と母親・『静江』(赤座美代子)を見て愕然とする。
「この 鬼嫁 め!お前がろくなモノしか食べさせなかったから息子は死んだんだぁーー!」
「何を言うかー?!この 鬼婆 が!あたしが今までどれほど我慢してきたことか …… 謝れ!謝りなさいぃー!!」
今まで仲がよかったと思っていた祖母と母親の殴り合い、凄絶な修羅場。
包丁を取り出して襲ってきた祖母を、なんとか力でねじ伏せた静江は、髪を振り乱した姿で、側にいる杳子に熱を帯びた感じで語りかけた。
「杳子、覚えておきなさい。女が間違った結婚をすると、女を醜い《羅刹(らせつ)》に変えてしまうのよ」
「《羅刹》 …… ???」(ノーテンキな杳子はメジャーでもない、まるで聞いたこともない言葉にポカ〜ンとする←当時視聴してた自分も初めて知った)
《羅刹》とは、「人の心に住み着き、惑わし、人を喰らうという恐ろしい魔物、悪鬼👹」の事なのだという。
こんな光景を見せられて、近づいている結婚式にも不安な暗い影がのしかかる杳子。
(でも、私は貴史さんを愛してるんだもの …… )
その一点だけで強行に結婚式を行うも ……
出たぁーー!あの餓鬼のような老婆(三條美紀)が、結婚式に呼ばれてもいないのに参上!!(ダジャレかよ(笑))
杳子の指輪に噛み付いたり、ウェディング・ケーキはなぎ倒すわで、結婚式場は大パニック。
当然だが、メチャクチャな状態になってしまう。(↑この笑顔で誰が企んだか一目で分かるはず。)
溺愛する息子の結婚式を台無しにされた『綾乃』(山本陽子)は、顔を真っ赤にして怒り心頭。
「許せませんわね …… 」
いつの間にか結婚式場から祖母(三條美紀)を連れ出すと、自宅の離れでは凄絶な折檻が始まっていた。
ああ、恐ろしや《羅刹の家》……
こんな家に嫁いでしまった杳子に、安息の日はやってくるのか ……
つい先日(2024年2月20日)、女優の山本陽子さんがお亡くなりになった。享年81歳だった。
よく俳優さんや女優さんが亡くなれば、これまでの代表作がいくつか挙がって、メディアでもチラリと、その映像が流れたりするものだが、この『羅刹の家』に限っては全く無し。(まぁ、こんな内容だし、「やっぱりな …… 」とは思っていたけど)
でも、自分にとって山本陽子さんといえば、やっぱり『羅刹の家』なのだ!(貼り付けた場面が、画質の悪いのばかりでごめんなさい。.·´¯`(>▂<)´¯`·.)
このドラマでは、数多くのアクの強い俳優陣たちが揃って出演しているが、そんなのの向こうを張って、やっぱり山本陽子さんは最強のボスキャラ!(ノーテンキな芝居では、別次元で加藤紀子も最強クラスかも)
とにかく、羅刹の家ならぬ、この家の周辺は淀(よど)んだ 負のオーラ😰で満ち溢れている。
なにせ、《呪いの藁人形🔨》で、人を呪い殺す《丑の刻参り》が、ブームになっているような町なのだ!
最初は近所の主婦(いしのようこ)が、姑憎さに《丑の刻参り》をしているが、満願成就(願いが叶う)前に、その姿を杳子見られてしまい願いは叶わない。(残念!)
お次が、あの杳子。
祖母(三條美紀)が死んだ後、綾乃のいじめのターゲットが嫁の杳子に移り、その結果、ストレスで初めての子供を流産してしまう。
すると、杳子も綾乃を激しく憎むようになってくる。
(いつか見た《丑の刻参り》…… アレを利用して、お義母様を呪い殺してやろう …… )と。(結局、行き着く先は、こうなってしまうのでした(笑))
そうして、綾乃は《丑の刻参り》の効き目を存分に知っているので、最初からやる気満々。
夫の『小椋孝夫』(田村亮)が、若い愛人・史子(ふみこ)を孕(はら)ませると、その子を呪い殺してしまおうと《丑の刻参り》を躊躇なく決行する。
こちらは無事、満願成就を達成した。(愛人の子は流産したのだ)
強い意志と精神力がなければ、《丑の刻参り》は、簡単には成功しないのである。
恐ろしい羅刹よりも、さらに恐ろしい『綾乃』(山本陽子)は、やっぱり最強。
でも、こんな家や近所には住みたくないよねぇ~
いつまでも忘れられない思い出のドラマである。(なんせ、あちこちの木には、呪いの藁人形を打ち込んだ釘跡だらけ(笑))
おしまい。
星☆☆☆☆☆。