2023年2月16日木曜日

ドラマ 「特捜最前線」

 1977年〜1987年。(全509回)




刑事ドラマ全盛期の頃、一番良く観ていたのが『Gメン’75』。


そして、この『特捜最前線』は、Gメンに続いてわりと観ていた方だと思っている。


それにしても、この『特捜最前線』は観るのに相当苦労した思い出が ……


なんせ一週間のド真ん中、水曜日の夜10時〜11時に放映。


当時、小学生や中学生の自分が眠い目をこすりながら、何とか観れても、明日が学校となりゃ大変。(次の日の授業中はとにかく眠いのだ)


それでも、出演者たちのダンディズムは、当時も、そして今観ても色褪せる事なく、とても格好よいのである。



二谷英明(神代警視正)


1930年生まれの二谷英明さんは単純に計算してみても、この『特捜最前線』の頃は47歳〜57歳。


今の自分の歳に、ほぼ当てはまるのだが、それにしても …… ボソリ (老けてるなぁ~(笑)) 



晩年は奥様の白川由美さんとの《おしどり夫婦》で、好感度No.1。

CMに引っ張りだこだったが、この人、元はもっぱら《悪役》や、主人公の《ライバル役》だった御方。


それを、この《特捜最前線》では、いきなり《主役》に抜擢するのだから、当時のプロデューサーは大胆というやら …… 


たぶん、こんなキャスティングは今じゃ簡単に通らないだろう。


安全牌の人気俳優にしか主役の座はまわってこないはずだ。(だからテレビドラマがツマラナイのだ)


この二谷英明さんの起用は幸をそうして、番組は10年間も続くロングランになったのだった。(今の『相棒』みたいに半年休んで半年放送なんてスタンスならまだしも、毎週毎週の放送である。途中、スキーロケでの大怪我があったものの、よ~やったよ)



本郷功次郎(橘警部)


番組が1年以上過ぎてからの途中参加だが、この人が《特捜最前線》では実質、ナンバー2の存在。(『Gメン』なら若林豪、『太陽にほえろ』なら露口茂ってところか。ナンバー2も刑事ドラマでは希少な存在なのだ)


この一見、厳しそうで強面の、この人も当時は、まだ若かったのだ。


1938年生まれで、放映期間(1年遅れの参加だったので、1978年〜1987年の期間)には、まだ4049 歳。(この見た目で信じられない!)


昔の人は、総じて老け顔なのだ。


ドラマでは、射撃の名手設定だったが、《特捜最前線》自体、リアリズムを追求していた為か、あんまり発砲するシーンは少なかった気がする。

橘警部といえば、そこら中を汗だくで走り回ったり、駆けずり回っていた印象である。(まぁ、お疲れ様)



誠直也(吉野刑事(右))★藤岡弘、(桜井刑事(左)近年は名前の最後に《、》をつけた)


ご存知、初代仮面ライダーアカレンジャーの二人。


小学生でこの二人を観ていた自分なんかは、当然の流れとして、この《特捜最前線》を観るに決まってる。(ヒーローモノの元祖ですものね)


思い立ったら、即、行動の直情型『吉野刑事』(誠直也)は、ここでは若手扱い。(イケメン枠)


『桜井刑事』(藤岡弘、)は、仮面ライダーを卒業した後、このドラマではヘリコプターやら漁船?などを乗り回して捜査する。(それにしても、資格まで持っているなんて、どんだけ乗り物好きなんだ、藤岡弘よ(笑))



後、『津上刑事』(荒木しげる)や『紅林刑事』(横光克彦)、『叶刑事』(夏夕介)も印象深い。



他にも西田敏行桜木健一三ツ木清隆も出ていたそうだが、あんまり覚えておりません。(出演回数が少なかった?)



そうして、最後に、

大滝秀治(船村刑事)


精鋭の若手揃いの特命捜査課に、《おじいさん》が一人だけいる。


でも、1925年生まれの大滝秀治さんは、番組開始当初(1977年)はこの見た目でも、まだ若かったのだ。

なんと 52 歳!(それこそ「ウソだろー?!」ってな驚くほどの老け具合だ)


そっから8年間(途中抜けて、また復帰した)でレギュラーを務めた。(それでも60になったか、ならないか)


けっして番組の中では「おじいさん!」なんて呼ばれてなかったが、それでも「おやじさん!」呼ばわりだった。(やっぱ戦争体験者は若い時に充分な栄養をとれてないから、老けていくのも早いのかなぁ~。今の平和に感謝である!)



こんな船村刑事は一度警察を辞職している。


ドラマの中では奥さんが《癌》に侵されて、その介護の為に郷里へと戻った。(実際は演じる大滝秀治さんが《黒澤明監督》の映画に出演する為である)

 

で、その後は介護の甲斐なく奥さんは亡くなり、一人娘と再び上京して《ビーフシチュー》のお店をはじめる。


そこで事件に巻き込まれて、特命捜査課の面々と再会。

めでたく復職するのである。(?)



で、しばらくすると、またもや辞職

今度は持病の心臓が悪くなったのだ。


でも、心臓が悪いにも関わらず、お次は《倉庫番》の仕事を始めちゃう船村刑事。(家でジッとしてればいいのに)


そこでも、またもや事件に遭遇して、特命捜査課の面々と再会してしまう。



辞めて、戻って、また辞めて ……


でも、当時、中学生や高校生でも分かること。


一度辞めた警察官が、こんなに簡単に復職できるの?!(笑)


あれだけリアリズムにこだわっていた《特捜最前線》も、この辺りからガラガラ崩れだして、何だか珍妙な世界へと突入する。


435話で殉職した『吉野刑事』(誠直也)が最終回前の499話と500話で登場した時は、心底ぶったまげた。(瓜二つの暴力団員役だけど)



まぁ、それでも刑事ドラマには珍しく、殉職者が少なかったのはアッパレか。(死んだのは結果、『津上刑事』と『吉野刑事』の二人だけですから)


《爆弾事件》、《誘拐事件》、《強姦事件》…… 諸々の幅広いテーマで毎週みせてくれた一話一話は、今観ても珠玉の出来。


これも印象に残った昭和ドラマとして、これからも語り継いでいきたいものである。


星☆☆☆☆。(10年も続くと辻褄の合わない事も多々ある。そこは大目にみてね〜)


ジャガ、ジャ~ン!


ギターの旋律が流れて、ファウスト・チリアーノが熱唱する主題歌『私だけの十字架』は名曲中の名曲ですぞ。